おつまみ探しと邪龍？と配信？？ その１１
サブタイのサブタイ
やったか！？
今の臥怒れ邪悪龍の内部では急激に水分が減っている。苦しむのは当然だ。
「これかぁああ！！！」
バキンッ！！
臥怒れ邪悪龍は刺さったままの婥約水月剣を勢いよく抜いたことで刀身と持ち手に分裂した。
「ぎゃぁあああ！！ 折れたぁ！？」
............後で回収するとして、怯んでいる今がチャンス
武器を即座に鬼蜂の拳にする。弱っている間に毒針を連続発射。
「っち！」
両翼を広げ上空へ逃げる。発射した毒針は全て周囲の大木に刺さる。今のうちに婥約水月剣だった残骸を回収。
「ヤバいヤバい、タウロスに殺される。お前ぇええ！！ 絶対に許さないぃいい！！」
「ユミナが悪いだろう」
呆れたレオをほっとく。星刻の錫杖を装備。
「【無限と夢幻】」
黒色の大きな渦が出現。
「レオ。数秒よろしく」
「ほ〜い！」
無限と夢幻空間に入る。中に漂ってる婥約水月剣を回収。
他に有能なスキルや魔法はない。無限と夢幻空間を退出した。
「良かった〜」
無事に戻った婥約水月剣。うれしくなり頬擦りしてしまった。もう土下座プレイはしたくない。
杢蔵と臥怒れ邪悪龍は開いた口が塞がらない。
武器防具の耐久値がゼロになれば消滅する。恐らく婥約水月剣は保って数秒の命だった。謎の黒い渦からでたユミナの手には完全復活した双剣があった。
「壊したはずだぁああ！！！」
上空から雄叫びが響く。
「過去を変えただけよ！」
婥約水月剣をしまう。
「おもしれぇ！！ だったら変えちまう前にお前を消すだけだぁああ！！！」
臥怒れ邪悪龍は腹部を肥大させる。
「喰らえぇええ！！」
ヤバい！！？
レオはフェーネを捕まえ脱出。私は杢蔵を抱える。
「急にお姫様抱っこ！！？」
状況が読めない杢蔵。レオとフェーネは回避できる。でも私たちは間に合わない。
臥怒れ邪悪龍が口から吐き出したのは火炎球。緑色でしかも巨大。おまけに【大発狂】状態であの火炎球も威力が倍増しているはず。
捕食者の影爪を装備。
「杢蔵、失礼！」
「え！！？ きゃあ！！」
杢蔵をお姫様抱っこから左腕で抱えるように変更した。
「魔魂封醒、起動」
私の声に反応。捕食者の影爪は鮮あざやかな黄色を光らせる。
迫りくる火炎球に向かって拳を出す。特大の緑の火炎球は消滅した。
捕食者の影爪の中に吸収。
「なっ！？」
いつに間にか距離を詰めていた臥怒れ邪悪龍の姿があった。
コイツ、動きが速くなってる！？
臥怒れ邪悪龍の巨大な拳が飛んでくる。まともに受ければ人間は一瞬にして肉塊になる。
回避が間に合わない。迎え撃つしかない。
「硬朱の甲！！！！！！！」
腕を伸ばし捕食者の影爪を前に出す。拳スキルのリキャストタイム終わってない。間に合わない。
素の捕食者の影爪の攻撃力だけで受けなければならない。付属品として臥怒れ邪悪龍の火炎球がある。これでどうにかしないといけない。
拳と拳がぶつかる。
「あめぇんだよぉおおっ！！！」
私の体は後方へ吹っ飛ぶ。無様な私に哄笑する臥怒れ邪悪龍。
「グハハッ！！ 小娘の拳に俺様の拳は負けねえよぉおおっ！」
お腹喰らっただろう。ま、いっか。
アイツが吹っ飛ばしてくれたことで計画通りに事が運ぶ！！
空中で静止する。【大地理】で生成した薄い板に着地。板を踏み台にして勢いよく降下した。
星王の創造を叩く。中から溢れる銀色の液体。私の体を這い寄るように移動。液体金属は100％、全て捕食者の影爪に集束する。銀色の液体は捕食者の影爪と同じ漆黒へと色を変える。
「アンタが引きこもっている間に編み出した技よ！」
臥怒れ邪悪龍を身長を何十倍も超える巨大な籠手。
「お返しだぁああ！！」
落ちる私。落下する身体は速くなる。構えた拳を放つ。臥怒れ邪悪龍の突き出した拳。受け止めようとする。だが質量の問題。赤ちゃんの拳と巨人族の拳。その差がある。
「私の攻撃は全て、お前ら欲求のために殺された【龍の都】の怒りだぁああああ！！！！」
私たちの攻撃が全て10倍減少するなら、10倍以上の攻撃をすればいい。マイナス１０倍を経て残った物が100倍ならアイツにダメージを与えられる。
「喰らえぇッ！！」
臥怒れ邪悪龍の身体に大質量の拳が直撃。拳落下地点周辺。森林のど真ん中。空から落下した大質量の塊。地面が裂ける。余波で木々は吹っ飛ぶ。巻き上がった粉塵は荒々しい。爆風だ。それは局地的に出現した台風のようだった。残った大地には草などない。不毛の大地へ。全て消え去った。大地もまた甚大な被害を受ける。巨大なクレーターと化していた。
「死んで詫びろ......」
着地に成功。星王の創造を解除。
「ふ〜う」
私と杢蔵は尻もちをつく。
一気に力が抜ける感覚。脱力感が半端ない。『戰麗』になってないのにひどく疲れた。
あと......右腕が痛い。想像はしていたけど、ここまでとは......
「あれま〜」
纏っていた星王の創造がなくなる。元の捕食者の影爪に戻った。しかし損傷は激しい。星王の創造を纏っていてこの破損状態。連発は厳しい。壊した瞬間にリリス様による無限死刑の刑に処されるかもしれない。
「念の為。【無限と夢幻】」
匍匐前進で空間内に入る。
「あれ？」
空間内に捕食者の影爪がない。そればかりか裁紅の短剣と賊藍御前もない。どう云うこと？
ウィンドウが出た。
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《特定武器の【無限と夢幻】効果を受け付けません》
以下、特定武器の名称。
・裁紅の短剣
・賊藍御前
・捕食者の影爪
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あれまぁ〜 修正されちゃったね〜
今までは裁紅の短剣、賊藍御前、捕食者の影爪の三つも【無限と夢幻】で回収可能だった。運営によって魔法の改訂がなされた。ま、【無限と夢幻】自体が弱体化していないだけ良しとしますか......
「あ、出てきた」
「ただいま〜」
「匍匐前進で挨拶する人、初めて見た」
「私はいつだって時代の先を行く女王よ（キリッ）」
「そんな時代は来なくていいよ〜」
私は周囲を確認した。レオとフェーネが近づいてくる。無事に何より......
あとはレオに乗って散らばってる素材を回収して終......？？
あれ？ いや待てよ......
「どうしたの？」
「クエスト、クリアした......よね？」
脱力感でまともにメニュー画面を出せない。代わりに杢蔵が確認してくれた。
数秒後、怪訝な顔を受けべる木蔵。あたりを見渡す。警戒している顔だった。
レオとフェーネが私たちの所へ到着した時。
地面が動く。
振動は大きく。
地面が盛り上がる。
臥怒れ邪悪龍は地中から空へ舞い上がる。
次話、日曜日７時更新します！
