おつまみ探しと邪龍?と配信?? その7
サブタイのサブタイ
『怒り』の領域
諸事情で二分割で改稿しました。
お騒がせして申し訳ございません
臥怒れ邪悪龍が仕掛ける。遠距離攻撃のブレス。(強化済)
回避しながら、宙に新時代の万有引力を発動。レオとフェーネも使えるように許可する。
造り出された道を闊歩するレオ。
レオに続く私。
「うんな、脆い道壊してやるぜぇえええ!!」
臥怒れ邪悪龍の爪攻撃。
「何!!?」
臥怒れ邪悪龍の攻撃は当たらない。触れることができない。
「残念!! 【新時代の万有引力】に触れるには私の許可が必須よ」
「小賢しい真似を......」
臥怒れ邪悪龍が怒り口調になる。
その状態を見逃さないレオ。星希の皇望剣と星未の戦来斧の攻撃を繰り出す。
「今度は手応えアリ!」
【灼熱】と【医酒同源】の重ね掛け。臥怒れ邪悪龍と対峙する前からしこたまお酒を飲んでいた。きっとステータスが只の掛け算ではなく累乗加算されている可能性がある。
私たちの攻撃が全て10倍減少していても上回る攻撃を与えれば、ダメージは入る。
私は確信した。いくら臥怒れ邪悪龍が【大発狂】状態で強化されてもシステムによる強化補正。臥怒れ邪悪龍本来の弱点は変わってない。同時に臥怒れ邪悪龍の攻撃力と防御力が高まる能力も健在。
臥怒れ邪悪龍の能力は一定領域にいる生命体を【怒り】状態にする。特殊演出があるわけでもない、臥怒れ邪悪龍の姿を見た者が強制的に受ける状態異常攻撃。
臥怒れ邪悪龍の能力で、自分以外の【怒り】状態の生命体の数だけ臥怒れ邪悪龍のステータスが倍増する。元々ある攻撃力と防御力に上乗せされるわけ。非常に厄介な能力だ。
対策としては常に状態異常を治すこと。少数精鋭は必須事項。【怒り】状態の生命体の数でステータス変化する。数人ならちょっと苦戦する程度。これが仮に100人のレイドパーティーで臥怒れ邪悪龍に挑むなら間違えなくレイド戦は失敗する。
あとは心の問題。臥怒れ邪悪龍の能力を知っている者なら無意識で発生する【怒り】を鎮めれる場合がある。
この非常に厄介な能力も悪いことばかりではない。
臥怒れ邪悪龍の能力は一定領域にいる生命体を【怒り】状態にする。生命体に臥怒れ邪悪龍も含まれている。自分が【怒り】状態になると攻撃力と防御力が減少する。自分の【怒り】と敵から手に入れた【怒り】で相殺される現象が発生してしまう。
臥怒れ邪悪龍に挑む者たちの【怒り】の数が多いなら臥怒れ邪悪龍のステータスは上り続ける。逆に臥怒れ邪悪龍自身の【怒り】が多いなら臥怒れ邪悪龍のステータスは下がり続ける。
これが以前の戦いで得た臥怒れ邪悪龍の情報。
つーか。アイツ。自分の能力なのに自分が喰らうのはどうなのよ? ギャグですか......
しかし、今回臥怒れ邪悪龍の能力強化はない。何故ならこのフィールドには私たち三人しかいない。能力を知っている以上、対処も容易。
「『輝を射抜け、真なる青よ』」
極光と蒼焔のミックス攻撃魔法は臥怒れ邪悪龍の硬い鱗を焼くだけだった。元々ダイヤモンドと同じくらいの硬さを持っている臥怒れ邪悪龍。VIT値が高く設定されていると思う。加えて【大発狂】状態で私たちの全ての攻撃は微々たるモノになっている。
臥怒れ邪悪龍の周囲に【新時代の万有引力】の新たな道を建造する。レオの攻撃のサポートに活用。
『輝を射抜け、真なる青よ』を連発しつつ、【簡易の偽月】で【EM】を回復。
現状私は装備を変更できない。『清浄なる世界へ』を多用せざるを得ない。
『輝を射抜け、真なる青よ』は一度止める。『清浄なる世界へ』と【新時代の万有引力】に【EM】を使用すればいい。
枯渇する勢いで魔法攻撃を続けた。
「『ブリザード・サイクロン』」
『魔法融合』で後方から複合魔法攻撃を繰り出す。氷と風で鱗を剥がし、剥き出しなった部分を狙い撃ちする。
魔力量は気にしない。メインジョブ【星霜の女王】の効果、サブジョブ【魔導龍王】の効果、装備品の効果。諸々でMPは5万以上保有してる。
(仮にMP枯渇しても『月光からの愛』で即効全回復......)
戦闘開始から30分が経過した。
「何この音?」
始まりはフェーネの言葉だった。
「足音......?」
フェーネの後ろ。ムートンの街がある方角だ。砂煙が膨れ上がってる。
「不味いよ、ユミナ!!?」
直感した、砂煙の正体。多くのプレイヤーが走ったことで発生させたモノ。人が人を呼び、続々と引き連れていく。
「こっちもヤベーぞ!!」
上空を飛ぶ臥怒れ邪悪龍とレオは対峙してる。レオは私が絶えず造ってる【新時代の万有引力】で宙を走ってる。当然、下の情報も入ってくる。九番目の街、サンジュの方角からも多くのプレイヤーが進軍してくる。
3人が臥怒れ邪悪龍と戦闘している場所はムートンとサンジュの中間地点。ムートンは数多の生産職が活動拠点として活用している街。サンジュは行ったことはない。でも、高レベルのプレイヤーはいる。
しかも突如出現した龍型のモンスター。MMORPGの特性かもしれない。我先に未確認のレアエネミードラゴンを討伐し、レア素材をゲットする。誰よりも先に自分を強化する。ゲームなら当然の行動。誰も咎めない。
醜悪の笑みを浮かべる臥怒れ邪悪龍。臥怒れ邪悪龍も周囲の状況を把握した。
数秒の時間。無駄にできない。
「レオぉおおお!!!」
レオは私の意図を理解する。
星希の皇望剣、星未の戦来斧にそれぞれ【破邪爪】と【希望の煌】を使用。両手の剣と斧に黄色と白色が混じったエフェクトが出現。
臥怒れ邪悪龍の背中を切り裂く。一瞬の怯み。飛行解除し降下していく。
フェーネも即座に私の服に入る。捕食者の影爪を装備。
【加速スキル】......【勝利翔】、【宵明星】、【嫦娥】を発動。
臥怒れ邪悪龍が視認できない速度で走り続ける。【新時代の万有引力】で造った坂道を登る。臥怒れ邪悪龍との距離を詰める。
巨大な漆黒籠手を引く。【打撃スキル】......【天照神】、【天界女王】を発動。
巨大な籠手が光焔の輝きと濡羽色の闇を纏う。
「場所を変えましょうか!!」
臥怒れ邪悪龍の腹部に特大のボディブロー。余波と衝撃は周囲を怯ませる。立つこともままらない状況。
臥怒れ邪悪龍は私のストレートを腹にもろに浴びる。口をゴボッと大量の液体を吐く。
強化された捕食者の影爪に耐える事ができず、臥怒れ邪悪龍は吹っ飛んでいく。
「森に生命体がいませんように......」
「無理だろ」
メスライオン姿になったレオに乗り、ぶっ飛ばした臥怒れ邪悪龍へ駆ける。




