表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

260/379

厄除け串団子は激戦品。その6

サブタイのサブタイ

強制ウサギさんプレイ!!?

 ヴァルゴのいつもの所業から30分位アンコウ狩りに徹した。十分すぎる量を獲得。私とヴァルゴは次に進むことにした。


「通過者減ったね」


 私とヴァルゴは三番目の門の前までたどり着いた。

 私たちの前を駆け抜けていった参加者はみるみる減っていた。進むに連れて四つん這い率が高くなってきた。

 自分たちが長年実力者として君臨していたのに、ポッと出の奴にあっさり実力が抜かれたみたいな雰囲気を醸し出していた。哀愁漂う参加者を無視する。私たちの目的は参加者の心のケアをするためではない。『くし団子』を入手するためである。


 熟練者の参加者が意気消沈している理由は、私の腕を抱きしめているヴァルゴに原因がある。


【炊きLv.10】を討伐した参加者は歴史の長い和ノ國(わのこく)でも片手で数える存在しかいない。

 良いところ【炊きLv.9】で断念する参加者が圧倒的。今回のイベントもそう予想されていた。


 従者にこのフィールドでの攻略法を伝授。残留組は微妙な表情をヴァルゴに向ける。

 特にアクエリアス、アリエス、スコーピオン、タウロスは呆れを通り越して無表情になっていた。

 分かるよ、みんな。私は呆けていたし......


「頑張ってね、みんな!!」


 主からの声援を燃料に、従者は獲物を狙う怪物になっていた。


「行こうか」


「そうですね!」


 三番目の門、【千腕餅門】は橋の中央に聳えていた。アーチ型を描く橋。かなりの急勾配。


「綺麗ね」


 流れている川の水。澄んでいた。一般的な鯉も多く生息している。

 橋の上に来た。門番がいない。


「黙って通過するのも行儀悪いかな」


「餡子を川に流せば来るのでは」


「やめなさい」


 などと言っている私たち。川が動く。橋を挟んで川に渦が発生。浮上する物体が二つ。

 右はアンコウの顔、身体が人間を模した石像。天衣と袈裟を身に付けている。親指と人差指の間に独鈷杵を挟んで持っていた。左もアンコウの顔、身体が人間を模した石像。こっちは天衣のみ。左右で別々の物を持っていた。左手は金剛杵、右手には金剛棒を所持していた。


 アンコウの顔が私たちを凝視する。絵面がシュールだけど。

 特に問題はなかった。餡子持ちの私たちは次のフィールドへ足を進めた。







 うん?? 門を潜ってから違和感がある......動きが鈍い感覚がする。


「お嬢様!!?」


 驚く声を出すヴァルゴ。うん? どうした?


「いつの間にウサギの格好に......」


 何を寝ぼけている......嘘でしょう!!?!??!?



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 PN:【ユミナ】《特殊状態:【怨念:餅兎】》

 職業:①:【魔導龍王】

 ②:【魔導剣士】


 〜装備欄〜

 頭:餅つきウサギ:連体服

 上半身:餅つきウサギ:連体服

 下半身:餅つきウサギ:連体服

 足:餅つきウサギ:連体服


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 私は自分の姿を確認。ヴァルゴの言う通り私の装備は全部変更されていた。全身ウサギの着ぐるみになっていた。ウサギフードを取る。パジャマとして使えそう。じゃなくて!?!?


「ヴァルゴもじゃん」


「えぇ......ウソ!!?」



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 NPCN:【ヴァルゴ】《特殊状態:【怨念:餅兎】》

 種族:【星霊】

 職業:MAIN:【剣星】

 SUB:【悪魔】


 〜装備欄〜

 頭:餅つきウサギ:連体服

 上半身:餅つきウサギ:連体服

 下半身:餅つきウサギ:連体服

 足:餅つきウサギ:連体服


 右武器:木造杵

 左武器:木造杵


 〜装飾品〜

 ①:乙女座の指輪

 ②:ウラニアの指輪

 ③:誓いの指輪


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ヴァルゴも私と同じウサギの着ぐるみに早着替えしていた。後ろに来た私の従者も全員強制的にウサギの着ぐるみを着ていた。みんなのウサギさん姿、可愛い♡ スクショしよう♡


 スクショの準備。そういえばステータスに変なモノが追加されていたな......


「怨念とか、物騒な単語」



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 《特殊状態:【怨念:餅兎】》


 ・【千手餅門】から【源徳寺入口】まで発生する呪い

 ・《特殊状態:【怨念:餅兎】》は解呪はできない

 ・《特殊状態:【怨念:餅兎】》時、装備変更できない


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「星刻の錫杖も対象か」


 ここに来ての参加者に縛りプレイを強要するスタンス。


【千腕餅門】を潜った参加者は強制的にウサギの格好をさせられる。装備変更が出来ない仕様だけど。設定的に餅つきしていたウサギが何らかの恨みを残していなくなった。残ったウサギだったモノに呪いが込められ、【千腕餅門】を通過した者に取り憑くって所かしら。怖ッ!!?




 爆発音が聞こえる。視線を向けると、レオとサジタリウス、カプリコーンとピスケスが白い触手と戦ってる。


『オラァアアア!!!!』


 レオの声。白い触手めがけて攻撃していた。違和感があった。


「レオって(きね)持ってた?」


 いつもの専用武器、星希の皇望剣(ホープ)星未の戦来斧(ネメア)を装備していない。代わりにレオの体型にあった二本の巨大な杵をぶん回している。豪快だな、レオ姐さん。


 杵が白い触手に触れる。トカゲの尻尾のように切断された。ドロっとした粘性を持つ物体をレオはキャッチ。そのまま下に投げた。


「臼に着地。コントロール上手ッ!!」


 関心している場合ではない。何やってるの??

 着地した白い粘性物体に湯気が立ち込める。熱々。即座に臼に集まる私の従者たち。各々自分の体型にあった杵を持っていた。


「「ぺったん! はい! ぺったん! はい! ぺったんこ!!」」


 餅つきをし出す私の従者......

 息のあったコンビネーションで高速餅つきを行なってる。数秒後に餅が光だす。棒状に形成したお餅が完成。そのままサジタリウスに渡す。そしてまたレオから託された白い粘性物体をつき始めた。


 カプリコーングループもレオグループと同じだった。まずカプリコーンが正確に白い触手を攻撃した。切断された粘性物体をレオグループと同様に臼に投げる。で高速餅つきで棒状のお餅を完成させた。最後はピスケスのウラニアの指輪に収納されていく。



「レオとカプリコーン。あんな動きにくい姿なのに、よく動けるね」


 行動範囲が狭まっている状況なのに、いつも通り機敏に動けてる。流石と一言。


 先に餅を回収している参加者全員がウサギの着ぐるみを装着していた。全員杵を装備。石畳には臼が設置されていた。



「これを持てば良いのか」


 武器欄にある武器をタッチしても反応がなかった。代わりに。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ・プレイヤー:ユミナは《特殊状態:【怨念:餅兎】》のため、武器装備不可

 ・特定の武器のみ、装備可能


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 システムからの妨害を受けた。


「特定の武器か......」


 気になってる物体はある。空中に浮いてる物体。木製の杵が無数に浮いていた。

 先に到着した参加者が全員杵を装備している。《特殊状態:【怨念:餅兎】》の参加者は特定の武器しか装備できない。なら、答えは一つ!



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 右武器:木造杵

 左武器: 


 〜装飾品〜

 ①:覇銀の襟飾(ヴァイセ・エーゲン)

 ②:真龍の手袋

 ③:薔薇襲の荊乙姫(ブラック・ローズ)

 ④:天花の耳飾り

 ⑤:星王の創造(ステラ)

 ⑥:聖女(アシリア)の誓い

 ⑦:悪魔(ヴァルゴ)の愛


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「装備出来ちゃったよ」


 私は杵が一本。ヴァルゴは二本の杵を装備できた。普段使ってる武器種が関係しているのかもしれない。



 現状は把握した。次行ってみよう!!

 奥に見えるのは源徳寺に続く長い石階段。ゴールは目前だ。石階段の入り口で結跏趺坐する......黄金のお堂?


 神仏を祀った小さな建物が、お堂とされている。結跏趺坐、両足の甲をそれぞれ逆の足の太ももに乗せて足を組む姿勢だ。お堂が仏像みたいに姿勢を取るのもおかしな話。三角屋根が顔。扉部分がお腹。御開帳していない。で、本来あり得ない腕と足を生やしているお堂。腕と脚は白い。レオとカプリコーンが戦ってる白い触手に類似してる。


「モンスターと考えれば......妥当?」


「お嬢様。臼確保しました」


「え? ありがとう」


 石畳に設置されていた臼。見た目は普通の臼だ。


「特に変化はない」


「ご主人様、来ます!」


「ユミナ、ボーナスタイムだ!!」


 え!!? 何が??


 黄金のお堂。腹部分が開く。御開帳だ。中から神仏が登場なら納得。しかしそうはならない。


「餅が降ってきたぁあああ!!!!!!」


 発射されたお餅。二種類の玉が入り混じった状態。白色と黒色。どちらも棒状の餅だった。雨のように絶え間なく降ってきた。


 私とヴァルゴの方にも迫る二種類の餅。


「どうします?」


「白を......」


 普通なら白色を選ぶ。だって餅は白色だもん。


「いや......」


 でも違う......

 一瞬頭を過った。これまでの内容を踏まえる。


「黒餅を回収」


「畏まりました、お嬢様」


 黒餅を回収。アンド確認。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ・【厄に呑み込まれたのお餅:状態《呪い》】x1個     


 棒状に形成された『くし団子』に適したお餅だった物

『厄』に晒され、神聖なお餅は呪られた不浄なモノへと変わり果てる。

 現状のお餅を食す場合、身体が呪いに蝕まれる。

 浄化するには源徳寺の代々巫女たちによって受け継いできた特別な妖術が必要となる。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ホォ! 正解を引けたよ」


 やはり、これまで呪いを受けた素材が主なだった。黒餅を見れば、無意識に避けてしまう。だって餅は白色だから。きっとこれが罠だろう。では、白色の餅はどうなのか。


「溶けてる......」


 石畳に白色の餅が落ちた瞬間に穴が空いた。腐食のように餅が触れた部分が溶けていた。

 恐ッ!!?


 黒餅を回収して速攻ヴァルゴのウラニアの指輪に収納。続々と入れられる黒色の餅。

 白餅にスピードはない。余裕で回避できる。杵では白餅を切断出来ない。いや切断出来たとしても途中で溶解液とか噴射するモーションが発生するかも。


 次々降ってくる白色の餅を回避......したはずだった。







「お餅は爆発物じゃなぁあああああい!!!!!」


 逃げ惑う私含め参加者たち。

 石畳に触れた瞬間に白色の餅は爆発した。同時に各所で爆発音と炸裂音が鳴り響く。

《現在のユミナとヴァルゴ》

【仁王門】(スタート地点)

↓ 

↓  ←キャンサーとリブラ&1000人のアンドロイド

【黒竹門】

↓  

↓  ←タウロス、アクエリアス&白エルフ

↓  ←アリエス、スコーピオン&黒エルフ

【餡子門】

↓ ←ここの位置

【千腕餅門】

【源徳寺】(ゴール地点)


次話で「厄除け串団子は激戦品。」が終わります。

更新明日6時です!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ