リアルフレンド、ゲームの世界へ。その11
サブタイのサブタイ
縛りプレイはお手の物
私の前にクエストウィンドウが表示させる。
《繧ュ繝ウ繧ー 繧ス繝ュ繝・ドゥームズデイからの試練》。どうやら強制イベントらしい。私自身に決定権はなかった。挑戦は一度のみ。ガイコツと72体のゾンビを討伐しないとクエストはクリアできない。クエスト失敗すると私の星刻の錫杖は完全に消滅するか......悪趣味だこと。
そしてやはりというか案の定と言いますか、ガイコツが私を招待した考えてもて間違えないだろう。ガイコツの意思で私を特殊フィールドに呼んだというより、星刻の錫杖を持つプレイヤーが特定の場所に出現した時に発生するクエストみたいだ。
てか、クエスト内容で分かったけど、このクソ長いトンネルの名称。バビロンの穴って言うんだ。クエストクリアすればフィールドは消滅し、2度と立ち寄ることはできない。
ゾンビ軍団をけしかけたのは星刻の錫杖を持つプレイヤーに対して試練だった言うことか。難なく突破したから次は本命のラスボスガイコツが相手する。そこまでは理解した。問題があるとすれば......
「繧ュ繝ウ繧ー 繧ス繝ュ繝・ドゥームズデイ。謎な文字化け」
秘匿性が高いのか、単なるシステム障害なのかは分からない。ボスの名称に態々文字化けを使うのは如何なものか。
これがミステリー系のクエストなら文字化けの箇所を探し出して、真実を見つける。そのためにわざと文字化けしている意図はある。真名が判明した瞬間に仲間になるなら分かる。
でも、今私が行なっているのは討伐系クエスト。繧ュ繝ウ繧ー 繧ス繝ュ繝・ドゥームズデイも討伐対象となる。文字化けする意味がない。
「ただの雰囲気って結論にするしかないか」
星なる領域の効果時間が終了。結界が割れた瞬間に後ろへ跳ぶ。新時代の万有引力で道を創造。煌めく流星で光速移動。ガイコツへ距離を詰める。
「くっ!」
光速に適応できるゾンビがいた。横っ腹を蹴られたユミナは一直線に床へ。凄まじい速度と衝撃。そしてユミナが床に叩きつけられたことでフィールドが大量の煙に包まれる。
落下地点に集まる複数のゾンビ。煙を避けながらユミナを探す。視界が悪いのも影響してユミナの捜索は難航していた。
「............ほぉ」
ゾンビを統べるガイコツ王は関心していた。3体のゾンビの頭が宙へ吹っ飛ぶ。近くにいた別のゾンビ1体は顔を潰させていた。3体は鋭利な刃物による切断。1体は巨大な籠手から繰り出させた殴りにより顔が変形。
「まったく......」
口を拭う仕草をして煙から現れたユミナ。右手には真紅のナイフ。左腕にはユミナの身長以上ある巨大な漆黒の籠手。籠手の甲部分から淡い黄色の刃物が生えてきた。
「女の子には優しくって教わらなかったのかな」
「今ノ攻撃デ死ぬようでハ、何も護レナい」
「ご忠告どうも。お礼に......」
籠手を引っ込める。
「私が受けた傷返すわ」
ガイコツへ飛び出すユミナの前にたちはだかる障害。両腕に巨大な盾を装備しているゾンビがユミナに向かう。
攻撃対象を変更。急速に距離を縮められる。眼前に現れたユミナに、一瞬硬直したゾンビ。
即座に体を動かし盾を構える。分厚い盾、否壁そのものだった。
この壁を攻略するのは苦労する。誰もがそう思うだろう。
「硬朱の甲ぉおおおおおお!!!!!!!!」
ユミナの叫びと共に繰り出させた垂直のパンチ。撃鉄を打ち鳴らし、籠手本体から放出される輝く黄色。
勢いを増す拳が容赦なくゾンビに降りかかる。まともに受けた分厚く巨大な盾は亀裂が発生し、粉々に砕け散る。ユミナから繰り出させた拳攻撃の爆発的な衝撃に耐えることはできない。フィールドの壁に打ち付けられ、ゾンビは絶命した。
「次は...... 当てる」
「ユミナ。お前はヒトか」
新たに生やした鉤爪。三本の【リッキープレイド】。
ゾンビの猛攻を回避し、神がかった移動で肉薄。鉤爪攻撃を頭から受けた者たちは縦に四枚。横攻撃で細切れになる。音もなくユミナの背後を攻める1体のゾンビ。
「アサシン系か。もう......知ってる」
裁紅の短剣を逆手持ちに持ち帰る。後ろを見ずにゾンビを刺す。
体がバラバラのゾンビ、脳天を突刺させたゾンビがユミナの前に倒れる。
裁紅の短剣と捕食者の影爪を解除。
星刻の錫杖を装備する。飛翔し、下へ杖の先端を向ける。
「輝を射抜け、真なる青よ」
灼熱の青と極光のビームの合わせ技。陣形を組んでいたゾンビを一掃させる。青く燃える肉体は逃れれない痛みを喰らう。
怯みを見せるゾンビたち。行動を悩むモーションを発生させる。
「遠慮なく回復させてもらうわ。月光からの愛。簡易の偽月」
ユミナ自身のHPが回復。同時に星刻の錫杖の【EM】も全回復する。
半数のゾンビが消し飛んだ。この事実は変わらない。
「私は人だよ。女王という肩書き付きですが〜」
「面白い」
ガイコツが虚空から出したのは本。ユミナの持つ魔導本よりも古く高価な代物だった。
「『アルス・パウリナ』」
虹霧がユミナを襲う。
「状態異常はない。ダメージもない。不発のようね」
もう一発、輝を射抜け、真なる青よを打ち出すための星刻の錫杖を構え......あれ??
「消えてる!!?」
さっきまで装備していた星刻の錫杖はユミナの手から消滅していた。
即座にウィンドウを開く。武器欄はちゃんと星刻の錫杖がある。安堵するユミナ。急いで星刻の錫杖をタップするが反応がない。出現しない。何も起こらない。
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《一定時間、武器が装備できません》
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ユミナの前に現れた画面。疑問を解消するためにステータス画面へ。
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PN:【ユミナ】
職業:①:【魔導龍王】
②:【魔導剣士】
Lv:140
HP:200 (+10000)
MP:500 (+10000)
STM:100(+5000)
STR:60 (+5000)
MAT:100 (+5000)
DEX:50 (+5000)
AGI:100 (+5000)
VIT:30 (+5000)
LUC:60 (+5000)
CHR:70 (+5000)
〜装備欄〜
頭:沈黙の古代帽子
上半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
下半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
足:救世の光
右武器:※装備不可
左武器:※装備不可
〜装飾品〜
①:覇銀の襟飾
②:真竜の手袋
③:薔薇襲の荊乙姫
④:天花の耳飾り
⑤:星王の創造
⑥:聖女の誓い
⑦:悪魔の愛
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「よそミをしテイる場合ではないゾ」
ガイコツは新たに二冊の魔導本を開く。
「『ゴエティア』、『テウルギア』」
『ゴエティア』からは黒い霧、『テウルギア』からは白い霧が発生した。
黒い霧と白い霧がユミナに迫る。高速移動しても追いかけてくる。
直撃したユミナの体には目立った変化はない。勿論ダメージもなかった。
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《一定時間、スキルが使用不可になりました》
《一定時間、魔法が使用不可になりました》
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システムアナウンス。武器は装備できない。魔法もスキルも発動できない。
恐らく黒い霧がスキル封じ。白い霧は魔法封じの攻撃。
そして......
上を見上げるユミナ。ガイコツの周りには宙に浮いてる魔導本が三冊あった。どれも本が開きっぱなし状態。
あの魔導本を破壊なり何か対処しないと武器装備もスキル・魔法も再使用できない。
「こちラはマダ余力ガあるぞ」
頭上に先ほどまでなかった魔力の塊。ガイコツが溜めた魔法は五種類。炎・水・風・土・雷だった。
絶え間なく放たれる。床に衝突後生み出させた瓦礫。
「こうヤルのだったな」
ユミナの返事もないまま極光を繰り出すガイコツ。一度見たユミナの魔法攻撃を見様見真似で放つ。蒼炎の原理は知らないが極光は放てる。
荒れるフィールド。地形は変わる。ユミナと同じ場所にいたゾンビたちは無傷。
黄金の杖、スライマーン。自分の眷属を無限に生み出せる魔法、グリモワール。眷属は自身の盾、敵を撃つ槍となる。自分で殺すことも眷属が主を殺す行動は行えない制約がある。
極大属性魔法、人など一瞬で消える威力を持つ光魔法、極光。全ての攻撃は床にいたユミナへ放たれた。逃げ場などない。仮に生き残っても五体満足とはいかない。
煙は消え、無惨になったユミナを探す。
「イない、か......」
ガイコツはため息をつく。
瓦礫を一つ一つどかし、ユミナを探すゾンビ。だがカケラすらも残っていなかった。
「やハり、お前もただのヒトだったか」
かつての部下は偉大なる創世神によって星霊の一員になった。ワタシの72体の部下の中で唯一創世神に攻撃を与えている。それだけでも一目置かせる存在だった。アイツの活躍は周知していた。同時に環境が変わっても信じられるのは己のみを貫き通していることに深く不安感が募っていた。
邪神討伐後突如として消えた星霊。何処で何をしているのか誰も分からず月日が経った。
星刻の錫杖を持つ者と対峙した時には心が躍った。星霊を知るものがこの時代にもいたのか。再びアイツに会えるのか。様々な思惑が重なり、新たな星刻の錫杖を受け継いだ者を試した。
少々アイツの面影がある戦い方。しかし死に行くワタシに倒されるようでは精鋭揃いの星霊を束ねることはできない。
「ユミナか。死んだガオ前ノ名、忘れんゾ」
『勝手に殺すな』
少女の声。恐怖と驚愕の顔を浮かべるガイコツ。声がする方を顔を向ける。
白銀のユミナ。繰り出された回し蹴りが顔面に直撃。頬だった箇所に大きな亀裂ができる。バランスを崩すガイコツ。床は再び煙が舞うのだった。
次話、12時位に投稿します!




