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義姉は突然に...

「せつな、突然だが父さん。再婚しようと思うんだ」




 学校帰りの私、弓永(ゆみなが)せつなは自宅のリビングにいた父親である弓永(とおる)から唐突の爆弾発言を聞いた。初めは驚いた。でも、すぐに冷静になる。


「急だね……」


「ごめん、言うタイミングが分からなくて……」


「よいと思うよ。父さんだって幸せになる権利あるんだから」


「そ、そっか。ありがとう」

 妙に照れている父を見ているとなんとも歯がゆい気持ちになる。


「でも、再婚になるとせつなは大丈夫か?」


「何が?」





「え? だってせつな……人見知りだし」


「実の父親から自分の娘は人見知りと言われる日が来るなんて……なかなかのダメージです。今日は寿司がいいな〜 勿論、回らないやつで」



「ははぁ、ごめんよ。お寿司はまた今度で」


「……なんとかやってみるよ」


()()、来るんだ」


「『来る』って……まさか!?」


「今からから相手さんがお子さんを連れて挨拶に来るんだ!!」

 少し早口で喋る父親を見て、若干キモいと思える女子高生の私であった。


「父さん……」


「......大丈夫か?」


 お腹を抑えるふりをする私。

「謎の腹痛がきたので引きこもります......」


 私が自室に戻ろうとした瞬間。




 ピンポーン!!


 自宅のインターホンが鳴る。


 挙動不審し始める私。

 父は私の様子を遠目で見ながら、玄関に向かう。




 側から見たら不思議な踊りをしている格好だろう。だって、仕方がないじゃん。数分前に父から爆弾発言をもらったばかりなのに、間髪入れずに次弾(発言)が発射されたんだ。驚かない方が不思議だよ。

 もうないよね? もし次なる爆弾が到来するもんなら私の体は風穴だらけ……

 リビングでUターンを繰り返していた私は、父に言われるのは不本意。……人見知りモード発動しました。



「とりあえず……解決法を真凪(まな)に聞いてみよう」

 私の数ある友人の新藤(しんどう)真凪(まな)にメッセージを送ろうとした時——————










 少しして父と母親になる予定の女性が入ってきた

「せつな。お前のお母さんになる......」



「初めまして、巻波梨子(まきなみりんこ)です」



 綺麗な人。私にとっての感想はただ一つだった。

「今日は私だけじゃなくて娘も一緒にきました。ほら、あなたもご挨拶しなさい」


 梨子(りんこ)さんの後ろから出てきたのは黒髪ロングが良く似合う美人さん。見た目から同い年の印象だった。



 うん? 美人さん、見た記憶がある容姿だし……巻波(まきなみ)

 確か、私が通っている高校にも似た名前の有名人がいた気がする……まさかね。偶然だよな。私の頭上に答えの落雷が落ち、自分が冷や汗をかいているのに気づいたのは数秒後だった。


「初めまして、巻波(まきなみ)白陽姫(かすみ)です。母ともどもよろしくお願いします」


 私の体力は限界を迎え、家の出入り口で倒れる。

 はい、見事に私の体は穴だらけになりました。














「で、結果……せつなは無様に倒れたと」


 コーヒー牛乳を飲んでいるのは私の数いる友人の新藤(しんどう)真凪(まな)


「『無様』は余計。まぁ……はい。真凪(まな)のいう通りです」


「しかし、まさかせつなが学園の有名人の巻波さんと姉妹になるなんてね」



 巻波(まきなみ)白陽姫(かすみ)

 私の通っている()()(みい)(うら)学園の有名人である。


 黒髪ロング、美人で成績優秀。少し感情を出すのが不得意、でも美人。不得意を抜きにしても告白する男子は数知れず。でも、結果は毎回男子はフラれる。屍の山が形成されつつあるとかなんとか。




「ガツガツした系じゃなくて良かったじゃん。だって、せつなは人見知りだし。体育会系の人が姉妹だと心労がたたるだろうし〜」


「なぜ昨日含めて、私が”人見知り”攻撃を何度も何度も受けなきゃいけないの……」


「......攻撃の真意は置いといて」


「置かないでくれるかな!?」


「実際、白陽姫(かすみ)と暮らしてみて何か感じた?」


「『感じた』とは?」


「学園一有名人の巻波さんと一つ屋根に下の生活は?」


「う〜〜〜〜ん。意外と世話好き……かな」


 倒れた私が目を覚ましたのは自室のベッド。隣には巻波さんがいた。後で父さんに聞いたら私を看病してくれたとか。私の額にあった濡れタオルを何度も変えてくれたらしい。


「ふ〜〜ん!」


「で、真凪(まな)に相談があるの」


「 私、急に喉が渇いたな〜 コーヒー牛乳があと3本ないと潤わないかな〜」


「はいはい。何本でも買ってあげますよ。何十本でも何百本でも」


「いや、さすがに何百本も奢ってもらうと飲み切るまで時間がかかるよ」


 あっ、今。悪の友人さんは私にコーヒー牛乳を百本単位で買わす気だ。真凪(まな)さんや〜 せめて気持ちだけいただきますだよね!? 真凪(まな)には大和撫子の遺伝子はないのかぁ〜 しまいには高校二年生の歳で糖尿病になるわよ。気をつけなさいって……



()に、何を望むのかな。哀れな子羊よ」


 何、神様ポーズしているのよ……まったくも〜


「巻波……いや、白陽姫(かすみ)さんとちゃんとした会話したい。なので、手っ取り早く人見知りを治す方法を教えてください」


 悪友の真凪(まな)に乗っかる私も同類かな〜


「ぜひとも私に神の恵みを……」






「えっ!? 無理」


「なら、私が買ったコーヒー牛乳返して」





「せつな……いいよ。私の飲みかけが飲みたいんだね。いいよ!!」


 ()()、頬を赤らめる!? ()()、頬を赤らめたの!?!?! 大事だから二度言いました。



「冗談だよ。人見知りのせつなを社会復帰させる方法か〜」


 しばし考えた悪友の真凪(まな)妙案(アイデア)を閃いたのか携帯端末の画面を私に見せてきた。


「オニキス・オンライン? VRゲームだよね、真凪(まな)?」



 VRMMORPG【オニキス・オンライン】


『世界を旅しろ、愛しき子どもたち』をキャッチコピーとして売り出されたVRゲームは圧倒的評価と人気を獲得していた。



「正解。少しだけ有名で、搭載されているAIやグラフィックが高いVRMMORPG。せつなのリアルでは圧倒的に時間がかかるからゲームの中なら多少、短縮できるでしょう」


「ゲームか〜」


「私もときどき、やってるし!!」



お読みいただきありがとうございます!!

評価、ブクマ、感想ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 有名人と急に姉妹に! これはなかなかハードル高いですね。 やはりVRゲームで仲良くなるのかな?
[良い点] 先が楽しみです!w
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