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思えば思わるる

 ヴィクトール魔法学園の中庭で演奏しているアクエリアスを回収した。本日のオトモなのにアクエリアスは独断専行。カグヤは初めての外界だし”魔法”という新たな発見をしたから良しとしたけど。アクエリアスは私は永住クエストを終えるまで、中庭で歌っていた。警戒はしてくれているけどなんとも自由なアイドルさんだこと......


「人多いね」


「ここ数日で、入学希望者が十倍以上らしいです」


 カレッタも驚いていた。ニッカやカステラ曰く、どこかの百合姫ちゃんが大暴れしているのが原因と。

 一体誰のことだろうね。


 私が雲隠れを決め込んでいる。唯一の手がかりは魔法学園だけ。なので、多くのプレイヤーが魔法学園に入学しようと長蛇の列が出来上がっている。


「入学者をただ増やしても学園の風紀が乱れる恐れがあることで、学園長がレベルを大幅に上げたと」


 学園長ならびに運営さんも鬼調整をしたんだろうね。

 昨日から実施されているから、簡単には入れない仕様になっている。


『みんな、ありがとう!!!!』


 応援してくれたファンに手を振るアクエリアス。ライムグリーンの髪を靡かせ、私に下に近づいてくる。

 元々アイドル衣装みたいな装備の【水瓶の星雲-Duo】。歌唱力とカリスマ性が高いので一躍スターの道を歩んでいる。しかし今は魔法学園限定。本人もスタートは一箇所だけで良いとか。大変満足してる。


(もしかして、魔法学園の入学者が多いのは......アクエリアスに会いたいためだったりしないかな〜)



「凄い叫びだね」


 未だにやまない黄色い歓声。ステージで応援していたファンだけではない。入学クエを待っている多くのプレイヤーからも。


「やっぱり歌はサイコーね!!! イモナちゃんも歌えば」


「私は......その......」


「なるほどね。料理だけじゃなくて歌もダメダメなのね」


 心臓を刺された気分。ヤケクソ気味になる。

「どうせ私はダメダメですよ」


「ふてくれたわね」


「そうですね」




 安住の地。ヴィクトール大図書館に入る。カレッタの目が輝く。


「凄いです。本棚が浮いています!!」


「『リリクロス』で魔法書も収集していてね。城で保管するよりも大図書館の方が良いかなと」


 集めたのは良かったけど、ストレージには限度もある。収納するスペースがなくて、大図書館の中央は吹抜け。階段の邪魔にならない工夫を施した本棚を完成させた。サイコロ状の本棚で、四方にぎっしり書物が詰め込まれている。重力魔法の応用でなんとか実現できた。


 人間的な身長に変更したアクエリアス。


「ただイモナちゃんが持ってくるのが面倒くさいからが元の案だけどね」


「分厚い本を抱え込むの......辛いから」


 カレッタが周りを見渡す。


「人、増えましたね」


 プレイヤーや魔法学園の生徒NPCではない。全員私の従者たちが大図書館で作業している。


『エルフに会えるとは、生きてて良かった』


「ケンバー、死んでるじゃん」


 美女エルフがメイド姿で図書館をケンバーの指示の元、改造している。


 エルフ。ファンタジー世界ではお馴染みの種族。『オニキス・オンライン』にも存在するが、場所は『リリクロス』。探索中に遭遇して、気に入られた。


 エルフの女と男の大戦争に巻き込まれたのが始まり。和解した後、私の下に使者という名目で女性エルフが何十人が働いている。魔法に長けている種族で、ケンバーと意気投合し、協力してくれた。


「「あっ!?」」


 ヴァルゴと目が合う。

 ヴァルゴは私を無視し、本を片付け始める。


「イモナちゃん」


「私を見ないでよ」


「まだ、ヴァルゴと仲直りしてないんだね」


「べ、別に私たちは喧嘩したわけじゃないし......」








 カレッタとアクエリアスと離れた。ケンバーと今日も魔術の授業クエを行なっている。


「ねぇ、ケンバー」


「なんじゃ」


「結婚って............どうだった?」


 ケンバーと近くで読書しているオフィは目を丸くしていた。

 恐ろしいモノを見た表情のようだった。


「突然、何を言うのか。もうあの聖女と仲違いしておるのか」


「違うよ。ただの興味本位」


 目を瞑り腕を組む。唸るエヴィリオン・ヴィクトール。


「そうさね。普通かな」


「『普通』だったの」


「彼とはちゃんと愛し合ったし、それなりに楽しい思い出もある」


 意外だ。魔法ダイスキーなケンバーが普通の結婚生活を送っていたのか。

 逆に問題かもしれない。変人の普通なんて......


「言うのもおかしいが。かなりの変人だからな」


「まー、魔法に関してはキモいレベルか」


 狼狽するケンバー。情緒不安定だな〜


「ち、ちょっと?! と、とにかくこんな偏屈な女性を愛する人なんて早々いなかった。だから、彼が私を『愛してる』って言った時には魔法の事を忘れる衝撃だったよ。」


 ケンバーもちゃんと乙女だったんだね。余程愛し合ったと見える。


「う〜ん、そうだったんだ」


 オフィが会話に入ってくる。

「あのさ、そんな年老いた人の恋物語なんて価値はないんだから」


「なんだと!? 貴様ッ」


 本と本がぶつかっている。


「そういう、オフィはどうなのよ?」


 私の質問にオフィは驚く。


「えっ!? わ、私は......」


 先ほどまでケンバーと言い争いしていた。それもなくなる。オフィは私たちと目を向けるのをやめた。

 口笛を吹き、その場から退散する仕草をし始める。


 明らかなに動揺をしている。もしかして......!!

 ケンバーも同じ考えらしい。


 私とケンバーはニヤニヤしながら、オフィに近づく。


 私の先制攻撃。

「もしかして、何もないの?」


「う、うるさいわね」


 ケンバーの追撃攻撃。

「そうかそうか、お主はいまだに一人者だったか〜」


「うざいぞ。お前たち......」


「オフィが生前、何歳かは知らないけど、ずっと............ゼロだったんだ」


「そろそろ、怒るわよ。アホナちゃん」


「誰が、アホなユミナちゃんだぁああ!?」


 ま、日記の内容からしてあり得ないか。

 記載されていない。心の中の思い出とばかり思っていた。


「ケンバーの方がよっほど、経験豊富ってことだね」


「あーはいはい、そうです。私は愛なんて不確定なものに興味ありません〜〜」


 オフィの様子。他の星霊のように喜怒哀楽。あんな運命でなければ、これがオフィの日常だったかもしれない。


「ケンバー」


「うん?」


「あの話の続きを話したくて」


「それじゃあ、禁書庫にでも行くか」


「オフィ。禁書庫行こう!!」


 えぇ、なんだって。暗い場所で本相手に秘め事しないでって。ブッ飛ばすわよ!?

 燃やす......



数日俗世間から離れていたユミナちゃん。


ユグドラシル→エルフの国

龍の都→ドラゴンと巫女が暮らす国

ドワーフの国

和ノ國→妖怪、侍が生きる国

天空城→天使

失楽園→堕天使


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