湯気さんは、ご機嫌だ
短くてすみません。きるのはここかなと判断した結果です。
ユミナたちが思いの外、早く支刻の獣塔を出てきたことに周囲がざわつく。注目の的でもあるユミナたちはそんなことを気にせず、人気のない場所へ向かう。
ユミナたちはボルス城に入る。
広間にいた残り組は、驚く。ユミナの説明を聞いたからでた表情。
「……という訳で、みんなで支刻の獣塔に向かう」
一言を加えたユミナ。
「ジェミニたちは、私が事情を話してついてきてもらえるようにする」
星霊全員がドヨンとした雰囲気を出す。
「あのね、みんな。前を向きなさい!」
一同、ユミナを見る。
「過去がどうであれ、今は私の従者。私の従者が誰よりも強いのは、私が知ってる。それに信じてるから。みんなは負けない」
沈んだ空気はなくなる。幸せの風は広間を支配した。やる気の顔にホッとするユミナ。
「まずは……アイリスの所に行くかな」
ユミナは目的地を設定する。暗くなる。原因はユミナの後ろ。
「どうしたの?」
ヴァルゴに捕まり、お姫様抱っこされた。
「行きますか!!」
逃げれない。ヴァルゴの周りを取り囲む従者全員。例え、ヴェルゴから逃げ出せても次々襲う予定の従者たち。逃げても逃げれない袋小路となる。
「大きい風呂、行きますか」
ボルス城に、三十人入っても余裕がある露天風呂を作った。少し前に源泉を掘り当て、全員がいつでも入れるお風呂となっている。
広間に誰もいない。全員、お風呂に行く。自分たちが愛した者を労うために。一人対多数なので、時間がかかった。湯煙が立ちこむ露天風呂で行われた事象は、その事実を知る者は当事者しかいない。
アイリスはケーキを食べていた。双子のメイドが作ってくれたチョコレートケーキ。吸血鬼でもあるアイリスは吸血だけで生きることができる。だが、溺愛しているメイドたちがこしらえたスイーツ。食べずにいられない。
「主様、コーヒーです」
アイリスの前にコーヒーカップが置かれる。淹れたのは双子のメイドの中の姉の立ち入りでもあるラグーン。赤い眼を持つラグーンは主のアイリスから顎を触られる。ラグーンは嫌がりもせず、嬉しそうだった。
「あるじ〜 おかわり持ってきました」
アイリスが食べ終わったタイミングで青い眼のメイドがケーキを持ってきた。双子の妹、ベイ。
ベイもまた、ラグーン同様、顎をアイリスに触られる。
三人は主とメイドの間柄であり、その先の関係に至っている。
「で、だ……」
コーヒーを一口、飲む。カップをテーブルに置くアイリス。
「ユミナよ、どうした?」
アイリスの前にはテーブルで脱力したユミナがいた。アイリスの隠居館にきてから十五分。ユミナはテーブルに突っ伏していた。
一緒に入浴しているだけ。悪い気は洗い流そうってね!!
アクエリアスは露天風呂の端にいます。アリスちゃんには教育的によろしくないと見せないように入浴しています。