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花嫁修行の成果

「アシリアさん!! 来たよ」


 塔に向かうとは言ったが直ぐとは言っていない。少しの寄り道は許されるだろう。



 時間はほんの少し戻る。聖教教会の正門まで到達できたユミナたち。問題はここから。聖女アシリア。リアルだと国民的アイドル扱いの彼女。聖女の家でもある聖教教会。果たして一介の冒険者が入れるものかと熟考するユミナ。


 門番が気づき、逃げようとしたがご丁寧に案内された。どうやら、聖教教会NPCはアシリアの指示の元、動いていたらしい。流石アシリアさんと感銘を受ける一方、我が道を進みまくりだなと残念さを表情に出すユミナ。


 案内された場所。聖教教会の中枢。教会を神格したような悪しきモノは踏み入れる事ができない聖域。

 扉が開く音。入ってきた者の姿を見て、奥にいた少女は乙女の顔になる。




 そして、今に至る。


 アシリアから抱きつかれ、危うく転げ落ちるところだった。学習したユミナはバランスを崩すことなく耐え凌いだ。


「危ないですよ、アシリアさん」


 アシリアは仕事から帰ってきた夫を玄関で迎える新妻のようだった。


「だって、会いたかったんです♡」


 これはやはり、聖女しての風格なのか、それともゲーム的演出なのか、アシリアの言葉、表情、雰囲気。全てが神々しくかった。そりゃあ、人気も出るわな、と納得するユミナ。


 ユミナは奥にいる人物を目が合う。聖教教会の大事な場所。ユミナが入る直前までアシリアは奥にいる人物を会話していた。会話を中断させてしまった申し訳なさが込み上がる。


「アシリアさん、奥の人が......」


 ユミナから離れ、純白の神官服を着たアシリアに腕を引っ張られる。


「紹介します!!」


 黒と金だった。ユミナの視界にいるのは、この二色。カプリコーンの天使とは違い、目元以外は素肌が見えない衣装を着ている。高貴さとミステリアスさが際立つ。闇に包まれた夜空でも輝くことをやめない金の装飾。所々に赤い模様が入っていた。


 バランスどうなっているのってくらいに長い帽子。一般的なつばがある帽子はユミナも知っているが、縦長の帽子を見るのは初めてだった。縦長の帽子も衣装同様に黒と金で構成されている。



「ユミナ様、こちら教皇様」


 教皇様なる者がユミナの近くまで歩いてくる。護衛も一緒に向かいが教皇が静止を命じた。


「お初にお目にかかります、(わたくし)はリリアーナと申します」


「初めまして、ユミナと申します。よろしくお願いします」


 軽い会釈をとる。顔を上げた先にいた教皇リリアーナは悲しい目をしていた。何か粗相をしたのかと考えたユミナ。


「早速で悪いのですが、ユミナ様」


 ユミナの手を握るリリアーナ。



「お願いします、どー........................か、今すぐ聖女アシリアと婚姻を結んでください!!!」



 ユミナはただ一言だけ漏らす。


「えッ!?」


「もう耐えれないのです」


 怯えた声を出すリリアーナ教皇。


「どうかしたのですか?」


「聖女アシリアがユミナ様と婚姻を結びたいとおっしゃったのはご存知ですか?」


「..................はい」


「組織を束ねる長たる者、聖女を婚姻させるのは後々の聖教教会には痛手です。また次なる聖女候補の育成も間に合っていないこの状況では尚更」


「では、アシリアさんは」


 ユミナの言葉を遮るリリアーナ教皇。


「初めは、聖女アシリアも(わたくし)たちの提案をのみました。その後、より一層聖女として力を高める修練をしていました。ですが......それは(わたくし)を欺くための行動」


「『欺くため』?」


「聖女アシリアは、自分の味方を増やしていたのです。(わたくし)たちに悟ろされないように水面下で。(わたくし)が気づいた時には、聖教教会の八割。聖教教会に連なる関連施設や関係者、大陸の有名貴族まで手中に収めていました」


 ユミナはアシリアを見る。スマイル全開。計画が全て上手くいった勝利者の笑みだった。


「聖女アシリアの目的は、聖教教会の崩壊などはなく、(わたくし)たちトップの者を失脚させるわけでもなく。非常にシンプルで、欲望に一途でした」


 あーなんとなく答えが出た。


「ユミナ様と婚姻を結びたいから協力してください、それだけです」


 リリアーナ教皇は続ける。

結婚イベントは加速する......

NPCと結婚する場合、教会に申請すればいい。また、人と人だけではなく、性別も種族も関係ない。王族と一般人に関しては、王族の権利を剥奪するか、一般人が王族と同じ地位に入手できれば可能。ユミナの場合は、聖女と一般人。聖女の特性上、本来なら結婚は不可となる。(聖女の効果が低下するため)。愛は自由の下。力が失ってもユミナと結婚したいと行動している。結婚指輪は自前。ユミナは『リリクロス』に簡単に行けるから、珍しい鉱物も入手可能。貴重な指輪も生産可能。


ゲーム内で結婚した時に、プレイヤーネームの隣にブーケマークが表示される。結婚に制限はない。だから一夫多妻なども可能。自分だけのハーレム生活ができる。しかし、結婚済みのNPCをNTRした時は厳しく罰せられる。ペナルティーでNTRした方とNTRされた方の所持品全て没収される。NTRした方は罰金数十億を背負う。また、プレイヤーネームにハートが半分に割れたマークが出現する。罰金を支払い終えればマークは消える。


例:ユミナ◯ ◯がブーケマーク


例:ユミナ✖️ ✖️が半分に割れたハートマーク


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