そうだ! 海底都市に行こう!
「カプリコーン、いくつか聞いていい?」
「なんですか、ご主人様」
私は目の前の光景に指を刺した。
「何、あれ?」
指が示す先には巨大な人魚の石像。その前で、踊る色鮮やかな人魚さんたち。フリルを取り入れた衣装を着て、ライトアップされたステージを泳いでいる。彼女たちを応援するのは同じ人魚や、魚が人型になった姿など多種多様な生物が大勢。
「催し物なのでしょう。楽しそうですね!」
「なんで、アリスがいるの?」
私とカプリコーンが手を握っている相手は、研究所にいた筈の少女で、絶対にここにいてはいけない人物。
「まま、きれいだね!!」
笑顔だから、良し! 許す!!
「最後に......」
周囲に目を配る。
警戒度マックスで三叉の槍を突き出している衛兵さんたち。彼らもまた何かの魚類が人型になった姿となっている。
「船長を救いに来たのだろうが、詰めが甘いようだな。お前たち海賊、を拘束する」
いかにも指揮官的なポジションの指示で私たちは縄を体中に巻かれた。
「どうして、こうなった?」
「わかりません」
私は、海底都市:アトランティスに到着早々、捕獲されてしまった。
牢屋の扉が閉まる。私やカプリコーン、アリスを連行した魚人さんたち。あとでカプリコーンから聞いたが彼らは”海棲人”というらしい。海棲人の兵士に入れられたのは青白い牢屋だった。通路に光があるだけで牢屋内は薄暗い。外が見える窓は一切ない。鉄格子や中には貝殻や珊瑚、海藻などがこべりついていた。長い事使われていないのが一目瞭然。隅っこにボロボロのベットが設置されていた。リアルでは絶対に寝たくないが、電脳の体なら衛生面では問題ない。
「リスポーンは更新した。ログアウトもできる」
現状確認しつつ、今度の行動を考えた。
捕まるイベントについてくる装備没収はなかった。もしあったとしても、私の星刻の錫杖やカプリコーンの武具は奪われない。それ以外は覚悟はしていたが、連行される最中、そして現在も兵士たちは私たちのアイテムを取り上げる様子はなかった。
「カプリコーン、そっちはどう?」
上を見上げて、声を出した。決して、頭がおかしくなったわけではない。今いる私の牢屋と隣の牢屋にカプリコーンとアリスがいるからだ。アリスが一人で収監されなくてよかった。そこは海棲人たちの配慮なのだろう。
「こっちは、特別珍しいものはありません。劣悪な環境って事以外は......」
「私の牢屋も一緒だよ。最悪......」
声をあげて、喋っているが兵士が来る気配はない。
「装備は没収されなかったし、案外脱出は簡単かな」
「いえ、簡単ではありません」
「どういうこと?」
「彼らが私たちの装備を奪わなかったのは、する必要がなかったかと」
「『する必要がなかった』?」
「兵士たちがいなくなった後、即鉄格子を破壊しようと思ったんですが......ダメでした」
「えっ!?」
私は鉄格子を触る。鉄でできているが至って普通の鉄格子。うん? 鉄格子に変な刻印が上から下までびっしり羅列されている。
「鉄格子に変な刻印がある」
「恐らく、刻印には捕獲した者の攻撃を無効化できる魔術的な何かが施されているかと推測されます」
私は部屋をぐるりと見回る。見た目は汚い石壁。でも、目を凝らすと鉄格子と似た刻印が彫られていた。
「壁を破壊して、脱出も無理か......」
「それといくつか問題が......」
「何?」
「鉄格子へ攻撃した際、スキル一緒に発動したのですが......再利用までの時間が二十倍に増えていました」
「はぁ!?!?!?!」
ウィンドウを開き、従者欄のカプリコーンの名前をタッチした。
「本当だ......【炎聖の帝王】のリキャストタイムが......いつもの二十倍になってる......」
「部屋全体に及んでいる呪いのような類でしょう」
地面に座り、ため息を吐いた。
「壁や鉄格子は攻撃無効化、スキルすると超デメリットになるか......【接触禁止】は?」
「【接触禁止】を使えば、楽々と脱出できますが、他にどんな罠があるかわかりません。慎重に行動しなくては......」
「魔法も、要求MPが百倍増加していた」
魔法なら、と自分のステータスを確認したところ、MP消費量が通常よりもエグい量になっていた。殆ど使わなくなった『目眩し』でさえ、消費MPが”400”って、バグかと思いたくなる。
ならば、”EM”はどうだ。スクロールして【星霜の女王】専用の魔法やスキルを確認した。
「ダメか、EM消費量も同様か」
通常魔法よりかは、多少要求量が増えた程度だけど、それでも痛いのが事実だ。『清浄なる世界へ』なんて、一回使えば”EM”が終わる。
「ご主人様にとっては、この場所は”死”と同じですね......」
「私を虐めて楽しいか、この世界は」
「ご主人様、暗黒面に堕ちないでくださいね」
「一回、私を堕とそうとした天使様が言うセリフかしら?」
「あの時ですか。ご主人様もノリノリだったと記憶しています」
「それは御愁傷様ね。カプリコーンが覚えている記憶はありもしない記憶だから」
「まーそういうことにします。で、これからどうしましょうか?」
PN:【ユミナ】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔導竜】
Lv:90
HP:105
MP:200
STM :55
STR:60
MAT:100
DEX:50
AGI:50
VIT:30
LUC:60
CHR:70
〜装備欄〜
頭:叡智のシルクハット
上半身:幽天深綺の魅姫【劫力白双】
下半身:幽天深綺の魅姫
足:炎削の鷺
右武器:星刻の錫杖Lv.7
左武器:
装飾品
①:覇銀の襟飾
②:真竜の手袋
③:薔薇襲の荊乙姫
④:天花の耳飾り
〜スキル欄〜
【攻撃スキル】
・黄金状の射手
・五月雨連撃
・ブレイブラッシュ
・十字斬
・旋風刃
・印電量
・ザッパーショット
・衝撃拳
・烈闘・極
・ボンバーザック
・エヴァカウンター
【状態異常スキル】
・威圧冠
・魔性の微笑
・恐赭の喝采
【パッシブスキル】
・武魔の加護
・ダッシュ・ストーム
・ターボ・チューニング
・ニトロ・サポーター
・逸蓮托翔
・ヴィジョン・スコープ
・生成する道路
・魔道の右腕
・魔道の左腕
・隠将の刃戟
・命装武を纏いし存在
・牙城の幻影
・四願の福来
・二重絆
・痛覚変換Lv.10
・艶美魔々
・好機姫幸
・心扉開闢
・死突猛王
・気配探知
・解析 Lv 10
・魔法無効
・魔法反射
・魔法吸収
【その他スキル】
・光る遠隔器
・採取 Lv10
・鑑定 Lv10
〜『呪文欄』〜
フレイムLv.10
アクアLv.10
リキッド
コールドLv.10
リーフLv.10
ランドLv.10
ヴェノムLv.10
ドンナーLv.10
トルネードLv.10
ルーチェLv.10
スリープ
回復・極
回復の雨
脳天落とし
眼眩し
魔法融合
〜【星霜の女王】専用〜
スキル:星なる領域Lv.6
仲絆の力
簡易の偽月
煌めく流星
魔法:清浄なる世界へ
月光からの愛