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酒を求めて、フィーバースロット

 運は時として、良い方にも悪い方にも傾く。


 まずは、良い結果からだけど。タウロスからのお使いクエスト。『膨大な魔力』は私のMPで解決する。どうやら、あの短剣は錆びていると同時に干からびていると。魔力でも動く、動かすために魔力を大量に短剣に吸収する必要があるのがタウロスの調査結果。


 もう一つの『最先端の技術』。これは、やっぱり、あのパンイチ博士の根城が該当する。タウロスと島に詳しいフェーネ、護衛としてカプリコーンとリーナ、コーランを送った。


 後は、鍛治に必要なお酒集めだけ。本来なら、タウロスと同行するのが最善の策だけど。技術習得には時間がかかると考えたので別行動をとった。で、もう一人の酒豪を同行させたのち、私たちは『ムートン』に向かった。




 話は戻す。運が悪い方向へ行く時は決まって面倒ごとしか起きない。


 今私たちは『ムートン』のある区画にいる。カジノエリアだ。一般的なゲームやデンジャラスなゲームまで豊富。景品は全て、生産職が使うアイテムや素材がラインナップされている。要求されるコイン量から可能性のあるお酒アイテムを見つけ、私は無心でスロットを動かしていた。



「お嬢様、カゴ持ってきました」


 ヴァルゴからカジノのコインを入れるカゴを貰う。


「ありがとう、ヴァルゴ」


「どうですか?」


「微妙......」


 通算10個目のカゴを床に置く。私の足元には獲得したコインのカゴしかない。


「あの景品以外にもあるかもしれませんし、気楽に行きましょう!!」


「街の方はレオとアリエスに任せてありますし」


 レオとアリエスには街の散策をお願いした。鼻が効くレオとある意味、今の私と一緒にいてはいけないのでレオと同行するのはアリエス。ワイナリーや酒蔵もあるとか。自由でしょう、このゲーム。因みにお酒は年齢制限がかかっている。VR機器に設定した個人情報からプレイヤーが飲んでいいのか、システムが管理しているので、未成年は持つことはできるけど、消費アイテムとして使用することはできない。


「良い酒の在処は鼻が感知するはず、です。それにしても......」


 ヴァルゴはカジノ会場を見渡す。


「視線が集まっている気がしますね」


 気だるい声で返答する。


「あーどこかの聖女が結婚報告したからだね」


「まったく......ついに本性を現しましたね。アシリアは」


 頬をむくらませ、ぷんぷん状態のヴァルゴさん。


「まーどこぞの誰かに嫁がされるよりかはマシと思うよ」


『ムートン』に着いた時の視線は痛かった。この時ばかりは、連れてきた従者が戦闘狂で構成されていて助かった。加えて、ドランを呼び出し、使い魔たちもフル出勤にしたので、直接的な介入はない。


「ドランは?」


「あそこです」


 ヴァルゴの指差す方角にドランと使い魔集団が凶暴な魚類と戦闘している。

 水槽に入り、宝物をサルベージするゲームらしい。水槽に入る十人のプレイヤーと入ったプレイヤーに賭ける多くのプレイヤーの二種類がいる。自分が賭けたプレイヤーが早く宝箱を回収し、いち早く水面に上がってこられるかを競う。水中にはプレイヤーを喰わんとする魚Mobが徘徊している。何とも愉快な賭けゲームだこと。


「ドラン、水中もいけるんだ」


 機械翼、故障しないよね......


「大丈夫でしょう」


 うわぁ〜、水中で砲撃してる。SFアイテムはここでも、見ないアイテムだったのか、観客が阿鼻叫喚していた。

 使い魔たちはドランを応援している。気をつけてね、みんな。君たちの周りを囲んでいるの、全員、息に荒い貪欲なケモナーだから。




「フィンガー!!」


 スロットマシーンのボタンを押す。


 7??


「おっ」


 77?


「おっ!?」


 ここで決めないと女が廃るってもんよ。





 777




「よっしゃあぁぁぁ!!!! ジャックポット!!!」


 コインが溢れる溢れる。止まる気配がない。ヴァルゴが持ってきたカゴが既に満杯。


「ヴァルゴ、追加の......カゴ......?」


 振り返し、追加のカゴを持ってきてもらおうとしたが、ヴァルゴはいなかった。代わりに、妖狐のキューちゃんが口にカゴを咥えて座っていた。


「ありがとう、キューちゃん。ヴァルゴは?」


 首を横に振るキューちゃん。どうやら、知らないらしい。


「どこに行ったのよ。やばいやばい、勢いが止まらない!!! キューちゃん!!」






 フィーバータイムは終了し、通常マシーンに戻っていた。

「ふ〜う。これくらいなら景品と交換できるかな」


 ドランの方を見ていると、ガッツポーズしているドランと笑顔で踊っている使い魔たち。みんなの愛くるしい姿を見て、屍となって倒れているケモナーのプレイヤーたちの空間が出来上がっていた。


 ドランの様子から、一人勝ちだったんだろう。足りなければ、ドランからも貰おう。


「大量ですね、お嬢様」


 肩越しにヴァルゴも声が聞こえた。


「ヴァルゴ、どこ行って......いた!??????!?!??!?!?!??!」


 主として一言言ってやろうと、振り返った。


「どうかしましたか、お嬢様」



「ちょ、おまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





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