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ゲームでの恋は淡い思い出

 来ないな......


 私はボーッと周りを見ていた。不思議な事にデッカい木でもある『雪樹の場(ヴェルニゲローデ)』に男女のプレイヤーが集まっていく。恋人繋ぎをしている所......彼らはリアルでもカップルなんだろう。けっ、見せつけちゃって。


 早く白陽姫ちゃんとゲーム内でイチャイチャしたい気持ちが高まって下衆な思考をしている自分がいる。



「もげないかな〜」



 恨み嫉みが付与された邪悪な低音ボイスで発した言葉にいち早く反応したのは、意外にもクイーンさんだった。



「ユミナ......合わない内に狂気じみた言動を言うようになったな」



「えっ!? すみません、待ってるのも辛くて......つい、変な事を」



「まぁ、私も長く待っていて変な事を考えていたから。同罪かな」



「クイーンさんは何を考えていたんですか?」


「遅れた理由関係なく、わからせをしようかなっと。一つでは味気ないから何個かリストアップして厳選している最中でね」



 私は手のひらを重ねる。


「クイーンさんの待ち人さん。お疲れ様です」



「あまり、遅れる子じゃないんだけど......何かあったのかな」


 クイーンさんの待ち人は誰なのか非常に興味あり、質問をしようと口を開く瞬間......



「うん? そういえば......?? あっ!!」



 よかったぁ!! 白陽姫ちゃんからメッセージが来た。リアルのSNSと同期したので、フレンドになるまではSNSでメッセージのやりとりをしている。


 もう来てる? えっ、どこ。周囲を見渡す。いまだにイチャイチャしているバカップルに呪いの目を向けながら待ち人を探すが......目的の人物はいなかった。


 私に向かってくる人物は誰もいない。もしかしたら出られないのかな。近くまで来ているけど......レオ達の威圧で前にビクビクしているに違いない。


(ここにいるよっと)



「送信!」



 私が白陽姫ちゃんにメッセージを送ると、同時にクイーンさんが立ち上がる。

 目がキラキラしている。きっと、クイーンさんの待ち人が近くまで来ているんだろう。


(いいな〜 クイーンさんがいなくなると、完全にボッチになる。こんなバカップルだらけのエリアに女一人でいると居心地が悪い。まぁ、私には従者や使い魔がいるから問題ないけどね〜 はぁ〜〜〜〜自分で言ってこんなにも辛いなんて......)



 レオ達は寝ている。さすがに寝ているレオ達を起こしてまで会話したいとは思わないし申し訳ない。早く来ないかな、白陽姫ちゃん。



「はぁ〜」



 深いため息をしながらクイーンさんは座る。



「どうかしたんですか?」



「いや、私の()()が近くにいるらしいんだが、それらしき人がいなくてね」



「へぇ〜 うん? 恋人......!?」



「あれ、言わなかったっけ? 私が待っている相手は恋人なんだ」


 嘘!? すごいな......クイーンさんのリアルは知らないけど、きっと美人なんだろう。そんな美人さんと恋人関係になれる人はどんな徳を積んだいるのかな。まぁ、私と白陽姫ちゃんのカップルには負けるけど!!



「偶然ですね、私が待っている人......恋人なんです」



「ふふん、ユミナもか......相手は苦労するかもな」



「『苦労』ですか?」



「ユミナの戦闘スタイルを知っている私からすれば、恋人さんも同じようにおかしな目で見るかもなって。その後の相手さんの苦労は計り知れないよ」



「ちょっと!? ひどくないですか、クイーンさん」



「あはは、すまないすまない。にしてもユミナの恋人、一度見たいな」



「どうしてですか?」




「う〜ん。変に捉えないでよ。ユミナを初めて見た時に......その恋心を抱いてな」




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