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新たな閲覧者はなぜ、火照るのか

 今日は一段と大図書館に通じる道は周りの草原の損傷が激しい。


「大丈夫? カレッタ」


 大の字で草原に突っ伏しているカレッタ。第一王女にも関わらず、一切上品さはなかった。あるのは先に進みたい魔法への憧れ、直向きな姿勢だった。


「まだまだです......」


 何度も挑戦しているのである程度のカラクリは頭に入っているのだろう。魔法使いに欠かせない杖をしまってから進んでいる。幸いにも私達以外は誰もいない空間。バレることはないだろう。例え、情報が漏れたとしても大扉による熱い洗礼を受ける。魔法だけが全てではない。己が今まで鍛えてきた体が使えるのかの選定。基準値をクリアした者だけが大図書館に足を踏み入れる。


 ケンバーの真意を伝え、カレッタはちゃんと親族にも報告したらしい。どこの馬の骨かもしれぬ私の言葉をそのまま鵜呑みにはしないだろうっと考えていた。どうやら、私は王族NPCに知れ渡っているらしい。長年、入れなかった大図書館に入れる冒険者と認知されているとか。他にも「サングリエ」にある聖女教会から圧がかかっている。きっとアシリアさんだろう......まだまだ道のりは遠いけど、早く会いたいよ。



 私の膝で黒金色の毛並みをもつNE(ネー)ちゃんが心配そうな顔を浮かべる。


「大丈夫よ、今のカレッタには迷いはないから」


 優しくNE(ネー)ちゃんの頭を触る。


 NE(ネー)ちゃん事、《ウェントゥス・アラ・アルブス・フェーレース》。異林暗波(いりんあんは)で出現したネコの魔獣。黒金色の毛皮でできた服を着て、猫耳や尻尾のある女の子の姿だった。元コーちゃんには申し訳ないけど、《ウェントゥス・アラ・アルブス・フェーレース》はやりにくかった。形の良い胸と尻、脚線美を際立たせる黒いラバースーツ風を身にまとい、鉤爪で攻撃してきた。







「ユミナ様、どうですか?」


 振り返ると、アリエスが近づいてきた。


「順調だね!!」


 難しい顔をするアリエス。


「どうしたの?」


「いえ、ただ......新しい人がこちら側に来たと。対策を考えなくては......」


 こちら側? 何が?


「で、学園はどうだった?」


「新鮮で楽しかったです!!」


 聖女時代も教会で勉学を学んでいたが、いつも一人だったらしい。だから色々な種族が一斉に勉強しているのがアイリスには心が踊っていた。教師NPCに聞いたら、授業を受けれると言われたからアリエスにはせっかくだしっと授業を受けさせた。勿論、護衛付きで......


「ありがとうね、キュウちゃん!!」


 アリエスに腕の中で抱きつかれている妖狐は主に褒められて嬉しそうだった。


 ジェノサイド玉藻ノ前【魔術本:No.4】から召喚されるのは九つの尻尾の白赤狐を模した使い魔。元は《イグニス・アニムス・ウルペース》という巨大なキツネの魔獣だった。

 火炎攻撃と武器などの物理攻撃を無効化できる能力を持っていた。無効化されるのは武器使用時の攻撃だけなので『戰麗(アドバンス)』モードになって、足技で討伐できた。


 巨大な魔獣からマスコットサイズにまで縮んだが、小型の狐だからと侮ってはいけない。尻尾から放たれる火の玉に触れた者は一定時間、武器やアイテムを使用不可にする能力を有していた。火の玉には【祟呪(たたりび)】を付与させられる。【祟呪】を受けた者は体外に黒炎が生え、死んでからも燃え続けるというおっかない状態異常だ。武器だけではなくアイテムも使用不可になるから解呪もできない。黙って黒炎を浴びせられる。護衛にはうってつけ。



 いたたまれない表情のアリエス。


「もしかして......キュウちゃん、やった?」


「はい、アタシに近づく輩が多くて......以前、ユミナ様が話してくれた現聖女のアシリアと双子ですかって息や鼻が荒くて、非常に困りました」


「あはは......ご愁傷様」


「まぁ、キュウのおかげで問題解決は容易でしたので。それに、もしもの時は......」


 拳を握り、怖い笑顔のアリエスだった。仮にキューちゃんがいなくても撃退できたかもしれない。アリエスの拳スキルが凶悪の極みだから......


 その後、主である私に当然、事後の話が伝えられた。キューちゃんの【祟呪】入りの火の玉に当てられたプレイヤーたちは悶えながら女性プレイヤーに袋叩きにあっていたとか......それはまた別のお話。











 爆音が消えた。視線を向けるとビンタ大扉は攻撃を辞め、開きっぱなしの状態だった。

 攻撃する気配は微塵も感じられない。あるのは大図書館に入る許可を得た者への招待だけ。



 自分のことの様に喜んだ私。


「これで、二人目」


 内心、一人でもいいけどっとは思ったが、一人で扱うのは大図書館は広い。

 それに、誰かと一緒に魔法を学べるのは素直に嬉しい。


 立ち上がり、カレッタに近づく。


「おめでとう!!」


 肩で息をし、膝に手を置いているカレッタが私を見つめた。


「ありがとうございます、ユミナ様」


「”様”はやめてよ。ユミナでいい」


 笑顔になるカレッタ。やはりというべきか第一王女の立ち振る舞い。気品に溢れ、人々に幸福をもたらす美しさ。さっきまで激しい戦闘をしていたとは思えない淑やかさ。


 私の顔が少し緩んだのは黙っておこう!!













「............」


 す、すごい圧を感じる。


 振り向くと、ジト目で睨みながら私とカレッタを見ていたアリエス。


「......キ゛ュ、キ゛ューン......」


 キューちゃん、力強く握られている。だ、大丈夫だよね......あとで労おう......



「さぁ!! カレッタ入りましょう!! 歓迎するよ、って私の家じゃないけど〜」


 鼻唄を歌いながらカレッタと大図書館へ入室した。








更新すっぽかしてすみませんでした。

仕事と個人的に当たりの百合ゲームを発掘してプレイしていました......

女博士とのカプ、いいね〜



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― 新着の感想 ―
[良い点] 他のことで気を紛らわすのも良いですし、好きなことをしてリラックスするのも良いと思います。 [一言] ツユチル・レター良いゲームですお勧めします
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