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月光の矢、復活の前触れ


評価、ブクマ、誤字報告ありがとうございました!

 学校から帰り家の二階に着くと、後ろ姿の白陽姫(かすみ)さんがいた。


「あ! おね……」


 私が呼んだタイミングで白陽姫(かすみ)さんは自室に入ってしまった。


 立ち尽くす私。

 今は二人っきり。なんとかして進展しようと思ったが世の中、上手く行かない。

 いや、マイナス思考になってはいけない。マイナスをプラスに変えてみせる。


 リアルのやるべき内容を全て終わらせた私は社会復帰のためにゲームの世界へゴー!! した。


「社会復帰じゃないし」


 自分が思った内容を自分で否定していた。





 ◆


 弓永(ゆみなが)白陽姫(かすみ)は自分の部屋に入った瞬間。


「はぁ〜 今日も上手く喋れなかった……」


 扉に背中を預け、私は座り込んでしまう。


「やっぱり……ムリなのかな」


 お昼に時間を割いて、自分にお弁当を持ってきてくれた義妹でもあるせつなさん。

 お父さんに聞いた。せつなは少々人見知りがあると言われた。長い付き合いを経た者なら問題なくくだけた会話ができるとも言っていた。現にせつなさんのクラスには一年の頃からの友人たちがそのまま同じクラスになっている。だから、せつなさんは学校生活でも問題なく過ごせていた。


 全く知り合いがいない私のクラスに行くのに余程、勇気が必要だっただろう。

 だから、来てくれたのが私にとって、心の底から嬉しかった。学園での自分ではなく、義理とはいえ姉としてちゃんと話したかった。でも、いざ対面すると本音で言いたい言葉が口から出ずにいた。


「どうして……こうも緊張してしまうんだ」



 SNSで同性で楽しそうにショッピングや食事をしている画像を見ていた。

 みんな楽しそうでなんていうかキラキラしている。

 自分の状況と真逆を歩いている人たちを見て羨ましいと思ってしまう。


 決して人付き合いが苦手ではない。仲のよい子たちとは頻繁に買い物なんかもしているし、共通の趣味もある。それなりに楽しい時間を過ごしているが……


「一番近くにいる子との時間は過ごせていない……」


 私は机に置いてあるヘッドフォン型のVR機器に手を伸ばす。


「こういう時は、ゲームをやって憂さ晴らしかな」



 白陽姫(かすみ)は友人と始めた『オニキス・オンライン』に入ることにした。














 ◇


「参ったな〜」


『スーリ』にある噴水公園でなんとなくフードを被りユミナでもある私は今度の行動をどうしたものかと項垂れていた。



「この杖。うんともすんともしない」


 賢者部屋で手に入れた古びた錫杖は本来の機能を失っているのか何にも発動しなかった。


 ログインしてから速攻で近くの森で雑魚モンスターで検証していた。

 一応、武器扱いで装備できる。けど、STR(筋力)とMAT(魔法攻撃力)が「1」ずつしか追加されず、それ以外の補正も入らない。()()()()()()()けど、投擲武器にしてみようとモンスターに投げた。何十回もモンスターに当てたけど耐久は一切減らない。耐久値の安心面はあるけど、ダメージ量は「0」or「1」しか与えれないのはなんとかしないと。


 諸々の情報を集めた結果が「古びた錫杖」の現在であった。


 全くもって価値がない存在。まだ初期武器でもある「魔法使いの杖」の方が有能。

 やったね魔法使いの杖(初期武器)。貴方よりも下位の存在がいたわ。


 それにしても森にいた小型のウサギモンスターさんたち。()()()()()()()殺気だっていたな〜 何かしたっけ?

 自分の額に生やしているドリル形状の角で延々と私の胴体ばかり狙ってきていたから危うくHPがゼロになる勢いだった。


「せめてヒントとか残してよ、賢者さん……」


 賢者の半生日記を隈なく見ても、有益な情報は見当たらなかった。



 ため息をつく。ふと、上を見上げた。


「満月……か」


『スーリ』は村みたいな町。

 山奥の田舎ではなく、少し公共施設や設備があるくらいの田舎レベルの街。プレイヤーは即座にもう少し設備が整っている次の街『ヴァーシュ』に向かう。


 田舎レベル5位の町でも街灯は存在する。しかし『スーリ』の街並みの光は遥か上に君臨している満天の月明りが勝っていた。



 まさか、だよね。

 でも、月星座とかもあるし占星術もあるから。無価値の錫杖……もとは星霊さんたちの持ち物だったし。何か繋がりがあるのかもしれない。



 古びた錫杖を月にかざした。

 特に反応はなかった。


「なんて、ね〜」


 古びた錫杖を下ろそうとした瞬間——————


「きゃっ!?!?」


 先端に嵌め込まれている? 水晶が輝く。突然のイベントで思わず手から離してしまった。

 錫杖の水晶と月が細い線で繋がっている。


 乾燥ワカメが水で元に戻るみたいに時間が経過するにつれてモノクロの水晶が夜の神秘的な世界に変貌した。

 月のエネルギーを得た水晶は深い青紫色へ変化する。

 夜空が水晶に吸収されたかのごとく散りばめられている星座や流れ星は水晶で生きているように見えた。


 同時に錫杖も燻みが剥がれていく。サングラスが必要なレベルに光り出した。

 光が収まると地面に黄金の錫杖があった。



「なんか成功した......」


 賢者さんも『なんじゃそりゃああああ!?!?』ってしているに違いないかも。










 ——————————————————————————————


 〜装備欄〜

 頭:緑鬼のローブ(フード)

 上半身:緑鬼のローブ

 下半身:緑鬼のスカート

 足:見習いの革靴


 右武器:古びた錫杖→??の錫杖(????・???)

 左武器:魔法使いの杖Lv1


 装飾品

 ①:オフィの指輪:蘇生回数0/3。


 ——————————————————————————————


「一角獣ウサギ」

名前が特に思いつきませんでした。ごめんなさい。

バニーラ・ホーンとかスパイラル・ラビーとかラッシュ・ホーン、兎角獣とか


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