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2話:手作りお弁当会

 新学年になり、早くも一週間が過ぎた。


 その間に、五人の攻略対象に次々と出会った。


 ヒロインのジュリエット嬢、キリアン王子殿下のカップルに始まり――――


「これは、本当に美味しそうだ!」


 唯一、騎士科に通う近衛騎士団団長令息、アーサーさま。


「食べるの、楽しみですね」


 私と同じ、普通科に通うクラスメイトの一人、宰相令息のジュールさま。


「ご令嬢が、これ程の料理の腕前とは……」


 同じく、普通科に通うクラスメイトの一人、公爵令息のユーゴさま。


「それに、見た事もない料理だな」


 最後の一人。普通科に通う、公爵令息、マエルさま。


 く……っ。どうしてこうなったかと言うとねー……。このメンツと顔を合わせる回数が多い、カフェテリアを利用しないようにと考えたのだ。


 カフェテリアを利用しないとなると、邸からの通学組の私はお弁当が持参出来る。そこで、毎日お弁当を作って来て、中庭でお弁当を食べていたのだ。しかし、雨の日に教室でお弁当を食べたのが一昨日。そこで、お付きの方が席を確保出来るのを待っていた彼らに、お弁当を見られたのが発端だ。


 オムライス、海老フライ、ハンバーグ、唐揚げ、ミートスパゲティ、オニオンスープ。それにサラダと果物。


 まだお弁当を作り始めたばかりで、楽しくってお子様ランチみたいなお弁当にしてみたのよね。それが見た事のない料理だらけで、気を引いてしまったらしいのだ……


 中世と言いつつ近世が舞台の世界観だが、食事は現代に近い。米や日本酒などにも困らないゆる設定で、作りたい料理はたいてい何でも作れるのも災いした。


「本来、皆さまが召し上がるような食事ではありませんが……、どうぞ、お召し上がり下さいませ」


 中庭の東屋のテーブルに広げた、七人前のお弁当。先日と同じ物に加え、チキンステーキ、フライドポテト、きのことベーコンのスパゲティ、なんちゃってグラタンを追加してある。

 その代わり、各一品は小さく少量にしてある。口に合わなくっても、何かしら食べられるようにと考えたのだ。


インントに入れてあったから、温かいね。頂こう」


「そうですわね。シャーリー嬢、頂きますわね」


「はい、どうぞ」


 ……みんな、普通に頂きますと言い、ナイフとフォークで食事を始めるのが違和感でしかない。


 しかし、流石にカトラリーの使い方が上手い! これは、ひっそりしっかり見て、真似させて頂こうと心に決めたわ。


「! これは……」


「まあ……!」


「なんと……!」


「美味い……!」


「本当に、とても美味い!」


「我が家の料理人より、美味いかもしれない!」


「お口に合ったようで、良かったですわ」


 実際は、口に入れるまでこわごわといった感じだった。しかし、口にそれぞれ気になった物を運ぶと、みんな目を見開き、味わって飲み込むと称賛の嵐である。


 ほっとして、思わず笑みが溢れる。


「まあ、シャーリーさま……。まれますと、とてもお優しいお顔になられますのね。

 とてもお可愛らしいわ」


「そうだね。大人びた、シャープなお顔立ちだからかキツくみえるようだ。笑顔は、とても可愛い方だったのだね」


「そ、そうでしょうか?」


 いや、普通にキツい顔立ちだと思う。使い勝手も種類も現代並に揃った化粧品で、柔らかい印象になるようなメイクにしている。


 でも、可愛いって言われるのは嬉しいよね。顔が赤くなるのは、仕方がない。


「可愛らしく、料理がお上手とは……」


「この何年か、ご令嬢方には、お菓子作りを趣味にしている方が多いそうだけどね」


「お菓子より、料理上手は良いね!」


「そうだね。女性の好むお菓子は、甘い物が多いもんねえ……」


「ああ、私も甘いのはちょっと……苦手ですわ。それに、体に良い食事を摂りたいので、料理の方が作りたくなりますわ」


「体に良い食事?」


「はい、例えば鶏肉。これは筋肉を作るのに必要な『栄養』という物が豊富ですの」


 こうして、ヒロインと五人の攻略対象者たちとの昼食会は、意外にも楽しい時間となったのだった。

 誤字報告、ありがとうございます。


 お読み下さって有難うございます。お楽しみ頂けましたら幸いです。


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