18話:どうしてそうなったの?!
「おめでとう、ミレー!」
「ありがとう、シャーリー!」
吹雪の後帰ったミレーとは、新学期初日の今日まで会っていなかったのだ。それは、ノアとイザックともだが……
「婚約、おめでとう。まさか、ノアさまと婚約すると思っていなかったわ」
「そうでしょうね。ただ、何年か前から話がなかった訳でもないのよ」
そうなのだ。ミレーがとうとう婚約したのだ。彼女のいとこ、ノアさまと!
「シャーリーも、素敵な人と婚約できると良いわね」
ノアさまの事は子どもの頃から知っているだけに、気楽で良い婚約者らしい。政略結婚で見ず知らずの、馬が合うかさえ分からない男性に嫁ぐより遥かに幸せになる自信があると。そう、笑っていた。
私は……
躱しきれなかった事が何回かあるけれど、ヒロインや攻略対象者たちとほとんど関わって来なかった。多分、このまま行けば、どんな断罪もされる可能性はないだろう。
それに、そちらが何ともないのなら……
「シャーリー嬢は、まだ婚約者は? 決めないの? 縁談がかなり舞い込んでいると、噂で聞いているが……」
「有難い事に、たくさんお話は頂いております。父は私がこの一年でかなり変わったので、限々まで見極めて決めると申しております」
そうなのだ。前の私なら、ある程度絞っていたらしい。以前と性格も価値も変わった私をどこに嫁がせるか、まだ決めかねているみたいだ。
余程酷い家格や人柄でなければ、恋愛結婚も認める心算であるとも聞いている。
「イザックさまは、卒業したら国へ戻られるのですか?」
イザックとはどうかと、それとなく身辺を調べてもらっているのだが……
酷く巧妙に情報が管理、操作されていて、殆ど何も分からないのだ。気持ちを伝えるにしても、何か行動を起こすにしても、卒業式が終わってから……
断罪がない事が確定した、翌日から動こうと決めている。それまでに、集められるだけの情報を集めて、判断材料にしたいのよね。
「そうですね、私は国へ帰ります。国も落ち着いたそうですから、帰らねば……」
落ち着いていなかった国? 近隣には、そんな国はなかったはずなんだけれど?? 本当にイザックは、どこの国の出身なのかしら?
◇◇ ◆ ◇◇
三学期は、一月しか時間がない。その期間は、現在の外交を教わる。宮廷人になるのなら、これは必須だからだ。
三学期二日目の今日は、我が国と関わりのある国をさらっとおさらいした。だが、やはりイザックの故郷にあてはまりそうな国は出て来ない。
(うーん?? イザックは、どこの国の出身者なのかしら?
私はどこの国の人でもいいんだけど、お父さまやお母さま、次期侯爵のお兄さまはそうはいかないだろうし……)
このままひっそり、ヒロインたちのいる舞台からフェードアウトするのが目標。フェードアウト先が、イザックの隣なら嬉しいのだけど……
イザックの情報は、丸で集まらない。
だというのに……
「シャーリー、第一王子殿下の婚約者の最終選考に残ったと報せが来たぞ!」
「……は…………?」
「殿下の婚約者は、ジュリエット嬢で決まりで良いと言った声もあったが……」
「いや、正にその通りでしょ……?」
「この一年で、シャーリーは変わったからな。殿下の婚約者として一考する価値ありと認められたんだよ!
さすが、私の娘だ! 良くやった!」
「本当に! シャーリー、よく頑張ったね!」
どどどど、どうしてこうなったああぁあああ??!!
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