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17話:料理とデザート

「『豚の生姜焼き』なる料理も、話題になっているのが分かるな」


「なんとも風味のある、美味しい料理ですわね」


「この『コロッケ』も、肉の物が美味しい! これも話題になる筈だ!」


 みんな、天候が荒れて急遽泊まる事になった。その為、ばんさんに出る着替えなどは持ち合わせていない。


 そこでお父さまが、何か希望の食事があれば、それをご用意しましょうと提案したところ……


「レストランで人気になっている、巷で話題の料理を食べてみたい」となったのよ。なんとなーく、そうなる気がしていたわ。


 希望を聞いてみると、豚の生姜焼き、コロッケ、オムレツ、ハンバーグなど……。出るわ出るわ。


 話題になっていても、お弁当で食べた事があるものは除外になっている。その分、種類は減っているが、それでも多いな……


 そう思っても、作らない訳にはいかない。我が家のシェフにまだ教えていない料理もあったので、私も料理する事になった。


「コロッケやオムレツは、一つひとつを小さくしております。どうぞ、色々召し上がって下さいませ」


 部屋はばんさんしつだが、女子は私と長兄の奥さんの普段着。男子は、兄たちの普段着に着替えている。


 家族用の食堂ではさすがに狭いから、服装は気にせず、ばんさんしつでの食事となったのだ。


「どれもとっても美味しい……。ついつい、食べ過ぎてしまいますわ」


「そうなのです。シャーリーが料理をするようになってから、体重が増えてしまって……」


「お料理だけでも食べ過ぎて困るのに、お菓子まで美味しいのですもの」


「まあ、お菓子作りもお上手ですの?」


 お母さまにも義姉にも強請られ、お菓子もたまに作る。前世でお菓子はそんなに作らなかったから、レパートリーそのものが殆どない。だから、たまになのだ。


 ジュリエット嬢……、ミレー……。何? その、期待に満ちみちた目は……


 いや、他のみんなもなのね……


 ◇◇◆◇◇


「クレープに生クリームやカスタードクリーム、果物を挟んだもの。こちらは、ツナのオイル漬けにマヨネーズを和え、レタスも包んだクレープになっております」


 料理長に慌ててクレープ生地の用意と、生クリーム、カスタードクリームなんかの準備をしてもらったわよ。


 ツナのオイル漬けは、明日の朝ご飯に使おうと用意していたのを前倒しで使う事になった。


「まあ! クレープに色々入っていますのね!」


 この国のクレープは、皮にちょっとジャムを塗るかシナモンなどの香辛料を振るかして頂く。生クリームやカスタードクリームに果物を一緒に包む、日本のもののようなクレープを見た事がない。


 しかし、クレープは齧り付くのが美味しいものだと思っているから、敢えて外では作っていないのに……


 お母さまと義姉に、あれは我が家でしか頂けないから、あれにしましょう! ね? と、二人の食べたいものを頼まれた。しかし、我が家でしか食べられないクレープに、みんないたく興味を持ってしまったのだ。そうなれば、断りようもない。


「はあ……、ふわふわで、甘くって、果物の酸味が程よくさっぱりもさせてくれて……」


「ナイフもフォークも使わず、齧り付くのが美味しいというシャーリーの言葉が良く分かるわ!」


 食事が終わると、慌てて作ったクレープをデザートとして振る舞った。


 甘いのは苦手な方には、おかずクレープ。私も今日は、おかずクレープの気分。


「こちらの『おかずクレープ』も、なかなか美味しいよ!」


「ツナステーキとは違って、このオイル漬けは軽食にも良さそうだ!」


「デザートとは違うと思うが、甘い物より良いね」


 ツナのクレープは、おかずクレープだからね。確かに、デザートではなかろう。

 ベーコンとかソーセージが具の物より、食後でも食べやすいだろうとそれにしただけなのだ。


「馬車の故障や吹雪と、難儀しましたのに……」


「そのお陰で、美味しい食事とデザートを頂けたね」


「シャーリー嬢が多才でいらっしゃるからだね」


「自慢の友達ですわ!」


 ……まあ、珍しい食べ物を食べて頂く事は出来たから、お父さまの役に立てたかしら?


 いつしか吹雪の治まった夜は更け、室内に設けられた雨戸をぴっちり締めた部屋で、みんな眠りに就いたのだった。

 誤字報告、ありがとうございます。


 お読み下さって有難うございます。お楽しみ頂けましたら幸いです。


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