表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/19

11話:ルート外

「ミレー! それにノア、イザック、お待たせしてご免なさい」


「あ、シャーリー! 遅かったのね」


「でも、そんなに待っていないから。大丈夫だよ」


「そうそう」


 二学期は、ミレーとミレーの従兄弟のノア、その友達のイザックと殆どの時間を共にしている。


 設定通りなら、一学期は個人でヒロインをチクチクしていた。それが上手く行かず、二学期は悪役令嬢の私と二人の令嬢が結託し、妨害やいじめが一気に加速するはずだったからだ。


 悪役令嬢に付く二人の令嬢と、確実に距離を取る。これも、保身の為には外せない。


 それに、イザックなのだが……

 伯爵家の三男だが、穏やかな性格。イケメン俳優になれそうな、整った容姿。成績優秀。女子が働くのにも理解があると、私にはかなりの優良物件!

 そう気付き、気になっているのよね。


 我が家は四つ年上の優秀な兄、二つと一つ歳上の姉たち、二つ歳下の妹に、五つ歳下の弟がいる。

 政治的な政略結婚をお父さまが考えていらっしゃらないなら、それなりに恋愛結婚も夢ではない環境だ。


 それなら、身近でストーリーとは関係ない男子との恋も……ありだと思うんだけど……ね?


「そろそろ中庭で、昼食を摂るのは寒いねって話したのを忘れてしまってて……」


「まあ、中庭へ行ったの?」


「ええ、途中まで行ってしまったわ」


「時々、とてもうっかりするよね」


「それも愛らしいと思うよ」


(……っ!! あ、愛らしい!? 言われ慣れない言葉だわ!)


 気になっているイザックに愛らしいなんて言われ、頬に朱を注いだようになってしまった。


「シャーリー嬢、どうぞ座って。アイスティーを作るから、喉を潤して」


「ええ。ありがとう、イザックさま」


 魔法科に席を置くイザックは、氷を使わなくっても魔法で美味しいアイスティーが淹れられるのだ。私を席に着かせると、すぐにアイスティーを淹れてくれた。


「私も邸でアイスティーを作りますが、こんなに美味しくなりませんわ。アイスティーは、イザックがお淹れになったものが、一番美味しいです。ありがとうございます」


「作り方は、シャーリー嬢から教わったけれどね。それでも美味しいと言ってもらえるのは、素直に嬉しいな」


「冷めた紅茶は美味しくないのに、アイスティーは美味しいのって不思議よね」


「そうだね。我が家ではこの夏、美味しいアイスティーが大人気だったよ」


 因みにアイスティーは、周りで話を聞いていたり見ていた生徒たちに請われ、作り方をレクチャーした。そのため、かなりの人数がアイスティーを淹れられるようになり、学校でも流行っている。


 手早く茶葉を開かせ、一気に冷やすのがコツだ。そして冷蔵保存すると、美味しいまま五から六時間は保つ。色が濁ったり味が変わらなければ、二日を目安に飲み切るのも許容範囲内だ。


 冷めて美味しくなくなるのは、冷めたからではない。酸化して、風味が落ちるのが美味しくなくなる理由である。


「足りたかな? もう一杯、作ろうか?」


「ありがとう。足りたわ。とても美味しかったわ。さあ、お昼にしましょ。

 イザックさま、今日は第二校庭まで移動でしょう?」


「そうなんだよね。馬は……苦手なんだ。移動が嫌だな」


 校庭は、剣術をするにはそれなりに広い。しかし、馬上槍試合や魔法攻撃の練習をするには手狭だ。そのため、広い第二校庭が王都のすぐ外にある。


 そこは騎士科と魔法科の生徒が、日を分けて使っている。お昼休みは二時間あり、生徒たちはダンスの授業の為のドレスに着替えたり、甲冑を身に着けて第二校庭まで移動したりする。魔法科の生徒は着替えこそないが、移動はある。


 魔法科の生徒も、馬での移動と決められているのだ。その際の移動手段、乗馬が苦手なのだと教えてもらった。


「頑張れますように、イザックさまのお好きな唐揚げを沢山作りましたわ。

 ノアさまのお好きな豚カツと、ミレーが好きなハンバーグもあるのよ」


「唐揚げ! 嬉しいな。うん、頑張らないとね」


「私も豚カツを食べたら、午後のダンスを頑張れるよ」


「ノアもイザックさまも現金ね!

 シャーリー、ありがとう。私は普通に、充分味わって頂くわ」


「ふふ、頑張れるのなら良いわよ」


 嫌われてはない……よね? そんな事を思いつつ、秋晴れに私たち四人の笑い声が絶えることはなかった。

 誤字報告、ありがとうございます。


 お読み下さって有難うございます。お楽しみ頂けましたら幸いです。


 面白かった、良かったなど、お気楽に下の

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 にて、★1から★5で評価して下さいね。


 いいね!も、宜しくお願いします。


 続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


 感想や応援メッセージもお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ