1話:お願い。私に関わらないで!
「あ……っ、ああーーーー!!」
こ、これって!! たくさんやってた乙女ゲーの一つの始まり、そのままじゃないの!!
この国の春の花。ライラックの花びらの舞う中、振り返る美少女。
彼女はこの国の、後の王太子殿下の婚約者。最も歴史の古い、ラニャック公爵家のご令嬢でジュリエット嬢。
その隣の男子生徒は、今代から最終学年だけ学校へ通う事になった第一王子殿下! 確か、キリアン王子。下の王子方がもう少し成長なさり、王太子が選ばれる。だが間違いなく、王太子殿下に選ばれるだろうと評判の、文武両道にして眉目秀麗な美男子!
「シャーリー嬢? どうかなさったの?」
「急に大きな声を出されて、何かあったのかい?」
(うあっちゃー……。いきなり大声出しちゃったものだから、お二人の護衛さん達が臨戦態勢だわ……)
「いきなり大きな声を出して、申し訳ございません。もやもやしていた事が分かり、その、思わず……」
二年前の入学式。その時からなんだかもやもやしていた事が分かり、思わず大声をあげたのだ。そりゃ、近くにいた生徒は驚くわよね。
「まあ、そうですのね。シャーリー嬢にとって、大切な事が分かられたのかしら?」
(確かに。私には、とても大切な事が分かったかも)
「ああ、そんな時は、思わず声が出る事もあるね」
(だとしても、令嬢らしからぬ大声でしたよ。アハハ……)
そう思いながら十七年間、侯爵令嬢として育だち、培った笑顔の仮面を顔に貼り付けて言葉を返す。
「そうなのです。とても大切な事で、酷く驚いてしまいましたの」
意外と混乱しておらず、侯爵令嬢らしい言葉遣いと振る舞いが出来てほっとする。
「あまりお話しした事はございませんでしたけど、最後の一年。宜しくお願いしますわ」
「私も、これから一年一緒に学ぶ。宜しく頼む」
(ひええ?! 奪う心算がないのなら、関わらないのが最善手だと思うのに!)
「こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します。キリアン王子殿下、ジュリエット嬢」
こうして、私は乙女ゲーのヒロイン、ジュリエット嬢と、攻略対象の一人であるキリアン王子と出会ったのだった。
誤字報告、ありがとうございます。
お読み下さって有難うございます。お楽しみ頂けましたら幸いです。
面白かった、良かったなど、お気楽に下の
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
にて、★1から★5で評価して下さいね。
いいね!も、宜しくお願いします。
続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!
感想や応援メッセージもお待ちしています。