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Vanished Kingdom  作者: Vazafila
1章
4/8

第3話 滅亡

その日は突如として僕の日常を奪った。


凄まじい轟音で目が覚める。

窓の外が真っ赤になっている。

近づいてみると王国が、燃えていた。


下の階から振り子時計の鐘が鳴り、僕を正気に戻した。

その直後、下の階から悲鳴が聞こえる。

母さんの声だ。

すぐさま近くにあるアレドルスを掴み取り、暗い階段を駆け下りた。


目前には焼け落ちた扉、そこにいる紫髪の角と翼が生えた人、

そいつの手に掴まれた、

母さん、の首。

その紫髪の怪人は僕の顔を見ると汚く笑った。

「ガハハハハハ!まぁだ生き残りがいたか?お?なんだガキその目は。

この俺に盾突こうってか?ガハハハハ!無駄むだぁ!

お前らみたいな弱者はどう足掻いても無駄だぜぇ、ガハハハハ!」

その言葉に怒りを感じる。誰が弱者?何が無駄?

相手の力を見てもいないのに弱者だと言い張る。相手の力でさえも見抜けれないお前の方が余っ程弱者じゃないか。

お前みたいな奴の方が喋るだけ無駄じゃないか。

僕は、手に持ったアレドルスで斬りかかろうとした。

「レック、どけ。」

背後から出てきた手が僕を押し退けた。

武装した父さんが、目を血走らせた父さんが、前を行く。

「なんだ?弱者がまた増えたか?まぁいい、死ねぇ!」

そう叫んで紫髪の怪人は手に持った剣を父さんに振り下ろした。


僕の目前には首から上が無くなった怪人が断面から炎を出して立っていた。

そして、糸の切れた人形の様に崩れ落ちる。

父さんは怪人が掴んでいた、母さんの首を抱えて泣いた。

僕は涙を流せなかった。

なんで。

涙は出てこない、悲しいはずなのに。


手早く母さんの亡骸を家の傍の庭に埋めて、怒りを顔に顕わにした父さんが、「行くぞ。」とだけ言い駆けだした、広場に向かって。

一般の人には目にも止まらぬ速さで、僕と父さんは火の海の王国を駆けた。


広場に向かう道中で、先程の怪人と同じ者が集団で出てきた。

父さんと僕は剣を揮い、その集団をなぎ倒していった。


王国広場。そこはトーラルの中央にあり、その真ん中には立派な噴水があった。

いつもなら、国の兵士や大人達がが、酒を飲んで騒いでいたり、長椅子で休憩しているのだが、

今宵は広場には兵士の死体が大量に転がっていて、その上空で紅いローブを着た男が中に浮いて王国の至る所に魔法を飛ばしていた。

そいつに向かって父さんが怒りを露わにした表情で叫ぶ。

「お前がこの国を殺ったのか?!」

そいつはこちらを向いてニヤッと笑った。

「ほぅ、まだ生き残りがいたか。ああ、ご名答。この国は俺が殺った。」

父さんの目が変わる。

「死ねぇぇぇ!!!」

上空に飛び上がり、父さんが燃え盛る剣で斬りかかった。

しかし、その剣は避けられていた。

その拍子にローブのフードが捲れる、黒髪の男だ。

「こちらも殺らせて貰おう『朱裂(すざく)』!」

その男の手から四つもの火炎玉が放たれる。

軈て、その火炎玉が鳥の形に変わると、父さんを追撃しに向かった。

父さんは、その炎鳥を斬り落とした。

それに焦る表情もせずに男は魔法を放つ。

「『白雷(びゃっこ)』、『青流(せいりゅう)』、『緑舞(げんぶ)』!」

瞬間的に三つの魔法を構築し、父さんに向かって放つ。

荒れ狂う雷、激しい水流、空を舞う岩石。

それらが広場に向かって放たれる。

その衝撃で僕は広場から吹き飛ばされる。

体の彼方此方から血を流した父さんがよろよろと立ち上がる。

「こうなったら、人生最後の本気をだすぜ。すまん!レック!

《命力解放》!」

〔個体名:エド・ギードの申請を承認しました。《命力解放》を実行します。〕

「神の聲」が響く。

父さんが緋色の光に包まれる。


《命力解放》、本で読んだことがある。

それは自分の命を消費して自らの力を大きく底上げする、選ばれし者のみが使用できる能力。

その効果は自分の命が尽きるまで続く。

そんな、父さんまで死んでしまうの?

緋色の光を纏った父さんが男に向かって進んで行く。

「聞けぃ!俺の名は、灼熱の剣士エド・ギード!お前を、この命を以って斬る!」

「ほぅ、面白い。我が名は、現象神レイト・ヒヤマ!精々足掻くがいい灼熱の剣士!」

「『灼熱炎獄斬』!」

「開け!我が『封闇眼(ふうじられしやみのめ)』!」

レイトが手で髪を掻き揚げ、隠れた左目を晒す。

すると、斬りかかる父さんを黒い棘が串刺しにした。

抵抗する間もなく父さんに黒い棘が無数に刺さってゆく。

吹き飛ばされた僕は、その瞬間を目撃する。

黒い塊が砕け落ちた時そこには父さんの欠片でさえも残っていなかった。

レイトが僕を標的にする。

やばい、殺される!

逃げる間も無くレイトの『封闇眼(ふうじられしやみのめ)』が発動する。

そして、僕は目を閉じて来るべき激痛を待つ。

僕が串刺しにされる瞬間時が止まった様な感覚を覚えた。

そして、僕の意識が途切れた。




眼を開けると、そこは砂漠であった。

いつの間にか横にいた老人が声を掛けてきた。

「ようこそレック・ギード君、時空の狭間へ。」

はい!一章完です!いつも時間がかかりすいません!

次回からはEpisodeというものが始まります!

乞うご期待!

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本文の一部を概念が変わった為、変更しました。

大きく変わったのは、

「魔創神レイト・ヒヤマ」を

「現象神レイト・ヒヤマ」に変更した所です。


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