第1話 レック・ギード
魔王ガストルブを討ち、ギルガーラを滅ぼした勇者アレン一行。
しかし、勇者アレンはガストルブの道連れによって、悲惨な最期を遂げた。
残された仲間達は彼の亡骸を、彼の生まれ故郷であるトーラル王国の北部にある山に埋葬した。
ギルガーラが滅んで世界は平和になった。
しかし、平和は永くは続かなかった。
新たな強き魔物が生まれ、多くの人の命を奪っていった。
その度に人々は闘い、やがて散っていった。
だが、どの者も、勇者アレン一行程の功績を挙げる事は無かった。
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…そして、現在に至る。
現在でも勇者アレン一行は讃えられていて、各地でもその伝承が残されている。
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勇者アレンの生誕地、「トーラル王国」。
温厚な国で、建国されてからあまり戦争をしなかった。
農業が主に盛んで、国民の生活は安定していた。
強豪国とは言えなかったが、この国には、剣の腕について右に出る者は少ないとも言われている者がいた。
その名も「エド・ギード」、トーラル王国戦士長である。
燃え盛る火炎を剣に纏わせて闘う事から、「灼熱の剣士」という異名が付けられていた。
先程言った様に、トーラル王国はあまり戦争をしなかった。
その為、戦績もあまり無かった。
しかし、毎年行われている世界中の強者が参加する「武闘大会」にて、過去十数回にも渡り優勝し、世界中にその名を轟かせた。
その後、各国から「私の国に来ないか。」と勧誘されたが、彼は、愛国者であったが故に、全てきっぱりと断った。
彼は、やがて子供を授かる。
その子供というのがこの僕、「レック・ギード」である。
現在、十歳。
もちろん「灼熱の剣士」と呼ばれる程の人の子なのでみっちりと剣術を教え込まれました。
毎日毎日鍛錬の日々。
鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬鍛錬……
もはや苦行。
そんなある日、トーラル北部の山に登山というかなり厳しい苦行を行っていた時…。
いつもの様に誰もいない山頂に到着し、息切れしながら勇者アレンの祠にお祈りをする。
しかし、今日は違った。
いつもなら石で出来た無機質な祠だが、今日は光り輝いていた。
きっと日々の鍛錬による疲れによって引き起こされた幻覚だろうと思い、汗滴る頭を振って「もう帰って寝よっ。」と考えながら来た道を戻ろうとした。
ゴンッ!
「!?」
見えない壁に当たった。
うぅ…痛い…。
ふと後ろを振り返ると祠の上に誰かが座っている。
「…!誰だ!?」
驚いて大声を上げた。
思ったより響いた。
恐らくトーラル王国全体に響いただろう。
今頃お父さんが「何驚いてんだ、あいつ。」とこちらを見上げているだろう。
それよりもこの男の人だ。
いつの間に居たのだろう、と不思議そうな顔をしていると男の人が話しかけてきた。
「こんにちは。レック・ギード君。」
!!何故僕の名を知っている。
王国内でも見たことがないぞ。
王国外でも知ってる人はいないはず…。
男の人が話を続ける。
「俺の名はアレン・エルバート。」
次話投稿遅くなり申し訳ございません!
頑張って書くので、どうか応援よろしくお願いします!