第0話 最期の闘い
とある世界。
そこは、人と魔物が存在する世界であった。
古より人と魔物は対立し争った。
やがて魔物側に途轍もなく力を持った魔人が生まれた。
その者は、「魔王ガストルブ」である。
魔王ガストルブはその途轍もない力を揮い、多くの国を、人々を、殺した。
又、多くの魔物達を統括し、【多種魔物国家ギルガーラ】を立国させた。
そして、ギルガーラの魔物をも使い、多くの国や人々を、殺した。
そんな中、森の中にある王国、【トーラル王国】で、勇者が生まれた。
その名も「アレン・エルバート」。
赤い髪と眼を持った男の子である。
彼が八歳になった頃、トーラル王国にも遂にギルガーラの魔の手がやってきた。
しかし、兵士でさえまるで歯が立たない魔物の軍勢に人々の制止を振り切り、まだ剣を持って数年も
経たないアレンは、たった一人で飛び掛かり壊滅させたのである。
そう、彼もまた途轍もない力を持った者だった。
彼が十五歳になった時、彼はギルガーラを滅ぼし魔王ガストルブを倒す為、トーラル王国を旅だった。
やがて彼は、とある王家の大剣豪「ゼファー・ハーリット」、多くの高度な魔法を使う大魔法使い
「ラーニャ・ルカード」、フェルエンデ王国の賢者「ルーシア・エカルド」を仲間にした。
彼等は世界中を旅し、多くの国と人々を救っていった。
やがて彼は、創 世 級の片手剣"アレドルス"を手に入れた。
彼は、そのアレドルスを揮い、多くの悪事を滅ぼした。
やがて、ギルガーラに辿り着いた勇者一行は、魔王ガストルブの城に乗り込んだ。
そうして、勇者一行は、最奥部にある<玉座の間>に到達した。
勇者アレン一行は、長い旅の末にようやく、魔王ガストルブの城、最奥部の玉座の間に辿り着くのであった。
玉座の間にて、勇者一行は、玉座に座り、余裕綽々としている魔王ガストルブと、対峙する。
アレンは、背中に携えているアレドルスを引き抜き、その刃先をガストルブに向け、
「俺は勇者アレン・エルバート!これまでの諸悪の根源、魔王ガストルブ!ここでお前を討ち滅ぼす!」
と言い放った。
ガストルブは、「フフ…」と不敵な笑みを見せ、玉座から立ち上がった。
ガストルブの体から紫のオーラが立ち昇る。
「勇者アレンよ、掛かって来るがよい。貴様を葬ってやろう。」
「皆!いくぞ!」
両者は戦闘態勢に入った。
先陣を切ってガストルブに斬り掛かったのはゼファー。
彼の愛剣"クレイアム"による一家相伝の斬撃。
「喰らえぃ!『ハールスラッシュ』!!」
白色に輝くクレイアムを勢いよく振り下ろす。
ガストルブはその斬撃を右手に持った禍々しい剣で受け止めた。
「ほぅ流石は勇者一行といった所か。」
「くっ!」
ゼファーは、ガストルブに剣を弾き返され後ろに飛び退いた。
「『フロースラン』!」
ラーニャによる上級氷魔法。
床から大きな氷柱が突き出る。
ガストルブは、華麗に右に避ける。
しかし、避けた先には、ルーシアが待ち構えていた。
「えい!」
ルーシアの手から黄色の光線が噴出する。
上級光魔法『シャルドルス』。
光線に正面から直撃したガストルブは、そこそこダメージを負った。
「いいだろう。我が力を見せてやろう。『常闇の波動』!」
そう言うとガストルブの体から紫の波動が放射された。
範囲は玉座の間一帯であり、反応に遅れた勇者一行は全員後ろに吹き飛ばされ、かなりのダメージを負った。
「『エイレルア』!」
ルーシアがそう言うと、勇者一行が緑の光に覆われた。
そして、勇者一行のダメージは、ほぼ回復していた。
「回復魔法を使われ続けられたら面倒だな。」
ガストルブはそう言うと、剣に力を込めだした。
「!!来るぞ!」
アレンは咄嗟に気づき剣を構えた。
「『魔王斬』。」
ガストルブは剣を力強く振り下ろすと、斬撃波が地を駆けた。
やがて斬撃波は四つに分裂し勇者一行を襲った。
「くっ!!!」
アレンはそれを剣で受け止め、打ち消した。
他の皆はそれを躱したが、追尾され直撃してしまった。
「何ぃ!?追尾してくるだと!?ぐぁぁぁ!!!」
「かっ体が動かないわ!」
「これは…『行動不能』!?」
「何っ!?くそぅ!よくも仲間を!!!」
アレンはそう言うとガストルブに斬り掛かった。
「『勇聖斬』!!!」
アレンの剣に光が集束する。
ガストルブは『魔王斬』の反動で咄嗟に動けなかった。
「…!!!しまった!!!」
アレンは剣に力を込めガストルブを三連続で斬った。
「がはぁっ!!!」
ガストルブは、後方に斬り飛ばされた。
そこに追い打ちをかけるようにアレンはガストルブに剣を突き立てた。
ガストルブは口から血を吐くと黒い霧を出しながらその身が砕け散っていった。
やがてアレンは、目前のガストルブの体が砕け散ったのを確認すると強く拳を握りしめた。
「やった…やったぞ!!!遂にガストルブを倒したぞ!!!」
「「「おっしゃぁぁぁ!!!」」」
まだ『行動不能』が解けない仲間達も歯を食いしばりつつ大いに喜んだ。
……だが、
《そ れ は ど う か な ?》
その喜びは、玉座の間に響いたその一言で消え失せてしまった。勇者一行は驚いた。
驚くのも無理はない、何せその声は倒したはずのガストルブの声だったのだから。
勇者一行は辺りを見渡したが、姿は見えない。
ただ、ガストルブの笑い声が響いているばかりである。
突然、アレンが呻き声をあげながら苦しみ始めた。
仲間たちは『行動不能』によって心配して駆け寄る事も出来なかった。
ただ、歯を食いしばってアレンを見つめるばかりである。
ガストルブの声が響く。
《我はもう少しで消滅する。だがアレン!!!貴様だけはあの"お方"の邪魔になると判断した!!!よって道連れにしてやる!!!》
「…!くそぅ…!!!体…が思う様に…動かない…!!」
グサッ!!!低く鈍い音が響く。
アレンは手に持っていた剣を自分に突き立てた。
「うぐぅぅっっっ!!!ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
アレンは地面に仰向けに倒れた。
やっと『行動不能』が解けて仲間達が駆け寄って来るのを最期に視界は深紅に染まった。
…遠のく意識の中では、ガストルブの笑い声が響いていた。
初めまして。Vazafilaです。そして、こちらが初投稿作品です。
まだまだ未熟ですが、これからもよろしくお願いします。
コメントの方もどうぞよろしくお願いします。