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人間の限界 怪物の可能性  作者: リール
1/1

最強の怪物と最強の能力


その怪物は、多数の人間を見据えていた。


同じような装甲を身にまとい、同じような武器を手に取り、その武器の先端をこちらに向けている。


各々の表情には、恐怖と殺意が渦巻いていた。


怪物は、彼らが自分を撃ち殺す気でいることを予想した。


そして、その理由を探るために自分の体を眺めてみる。


人間の姿をしているものの、全身真っ黒だ。背丈は人間の倍以上はある。


両手の指は6本あり、それぞれから鋭利で長い爪が生えている。


確かに、人間からすれば異質な見た目をしているだろうが、それだけで殺す理由になるだろうか。


不意に足元を見ると、何かの残骸が目に映った。数は1つだ。


なんだこれは。


少し考えーーー思い出す。


そうだ。この残骸は元人間だ。


下半身しかなく、悪臭を放つチューブ状の贓物をむき出しにしているが間違いない。


今まですっかり忘れていたが、あまりにも声が大きくやかましかったので、自身の手で殺したのだった。


魔法を使い、上半身を粉塵に帰してやったのだ。


その証拠に、自分の両手には血液らしきものがべっとりとついている。


視線を戻し、武器を持つ大量の人間に目を向ける。


つまり、多くの人間にとって、自分は人間を殺した危険な怪物であるということだ。


鼻で笑う。


たかが人間1人で何を大げさな。


それに、死んだほうがいい人間や、死を望まれている人間なんて山ほどいるというのに。


ところで、目の前にいる彼らのことは知っている。


確か「自衛隊」という組織に所属している存在だ。


彼らは命令に従順だ。大量にいるにも関わらず、こうして、誰一人として同じようなポーズを取っているのがその証拠である。


手にした銃でさっさと怪物を撃ち殺し、身動きの取れない血まみれの肉塊に変えてやりたいとでも思っているのだろうが、彼らは自分の命よりも目上の命令なんかを大事にする。


怪物は、一番手前の自衛隊員に向かってつばを飛ばした。


その人間の表情が硬くなり、同時に怒りで赤く変色した。


それでも撃てない。自衛隊は、感情よりも命令を第一番に考えるのだから。


きっと悔しくてたまらないだろう。


大あくびをして、ストレッチをして、体を伸ばしてーーー自衛隊の行動開始を待っていると、誰かの怒声が聞こえた。


地球人の言葉は分からないが、その声を合図に全員が武器を構えなおし、けたたましい音を立てて発砲した。


いくつかの銃弾は体をかすめたり外したりしたが、大部分は怪物の体にヒットし体をえぐった。


「・・・」


しかし、大したことはない。


銃弾を受けた怪物の体の傷はみるみるうちに塞がっていき、発砲される前の体と同じ状態に戻った。


自衛隊の連中は慌てふためいている。


再度怒声が響き、彼らは発砲する。


撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。


だが、結果は同じだった。


怪物は、あきれた様子で一人の自衛隊に近づくと、銃を奪い取り、彼らに命令をしている男の脳を撃ち抜いた。


男は脳みそをぶちまけて倒れこみ、役に立たない肉塊と化した。


それから、手にした銃を素手で粉々に砕いて地面にぶちまけると、片足ですり潰した。


人間は簡単に死ぬが、怪物は違う。


首が吹っ飛んでも、四肢がちぎれ飛んでも即座に新たなものが生えてくるのだ。


正面を見ると、自衛隊の連中はすっかり恐怖し、座り込んでしまっていた。殺意や敵意は喪失していた。


1人の人間を失ったとたん、無力になる様子は実に愉快だった。


日ごろから自分で考えないからこうなるのだ。


怪物は心の中で彼らを戒めて、それと同時におもむろに呪文を唱え始めた。


詠唱を終えると、空から大量の隕石が降下してきた。


それらの隕石は彼らの頭上に迫っていきーーー轟音を立てて砕け散った。



怪物は、正面を見た。


そこにあるのは、巨大な隕石の破片と抉れた地面だけだった。自衛隊の連中は、肉片残さず叩き潰されたのだ。


大人しく逃げれば死なずにすんだものを。


怪物は、死んだ彼らを冷笑しつつ、彼らが輪廻転生をした際に自分の頭で考えられる有能な存在に生まれ変わることを願った。

怪物の能力はチートっぽいですが、怪物ですしこれくらい出来てもおかしくはないと思います。

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