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ブレイカー  作者: フィール
序章
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序章:もう1人の三武家

武装強盗捕縛という一般人からすれば大事件、彼にとっては楽で仕方ない仕事を片手間で終わらせ、欠伸をしながら帰宅途中のナム。


巷ではブレイカーだの人間最強の一族、<三武家>の1つ。

格闘戦闘術の権威<ブロウ家>の跡取りだの言われていても本人は何食わぬ顔である。

彼の今の行動原理は……眠い、ただそれだけである。



「俺が出るような仕事なんて暫くないだろうが、これだけありゃ暫くは大丈夫だろ。」



ナムは手元にある仕事の報酬、300万エンを見る。

仕事自体は少ないが、1回1回の報酬が高いため難なく生活は続けられるのだ。



「まぁ、俺が出なきゃ行けない事態がそう何度もあっちゃ困るがな。」



前回の仕事は町の近くに魔物が出現したからそれの討伐をというものだった。

およそ1か月前の話である。



この世界の魔物は大きくわけて3種類居る。


その1、ノーマル

知能が低く、行動原理自体は動物と大差無い、戦闘力も低い。

種類にもよるが、弱い個体なら武装した大人3〜4人、強い個体でも10人以上で組めば倒せる。

ノーマル最強種のドラゴンはナムのような強者でなければ倒せないが、滅多に出るものではない。


その2、ビースト

知能が割と高く、カタコトではあるが言葉も話せる個体が多い、戦闘力もドラゴンを除いたノーマルとは比べ物にならないほど強い。

時々魔物が群れで統制され襲撃してくる時があるが、それには大体ビーストがリーダーとして関わっている。


その3、ヒューマン

魔物の種類なのに何故人間?と思うかもしれないが間違ってはいない。

彼らは生まれ持った時偶然に、または自身の能力の特性などで人間の姿を取るのだ。

知能も人間並み……いや個体によってはそれ以上の場合もある程。

戦闘力はビーストとは比べ物にならない程高いことが殆ど、そして更に人間社会に溶け込み、人間の生みだした武器などを入手して暴れることすらある。


元は異形だが、能力によって人間の姿を取るヒューマンを

<メタモラー>


偶然にも人間の姿で生まれ落ちた奇跡のような魔物を

<ネイキッド>と呼称している。



1か月前にこの町の近くに現れた魔物は全員ノーマルだったが、如何せん数が多く面倒だと言う理由で助っ人を呼んだのだが、まぁ当然のごとくその相手に報酬半分取られたナムにとって、今回の依頼は助かるものだった。


彼の自宅近くになり、ようやく寝直せると思ったナムであったが、玄関の前に立つ人間に気付くと歩みを止めた。



「げっ……!」



ナムの嫌なものを見たかのような呟きと同時に玄関前の人間から光を反射する銀色の棒のようなものが高速で飛来してくる。


()()()右手から飛んできた物をナムは咄嗟に人差し指と中指の2本で挟むように受け止める。

それは鍔が無く、柄の下にT型の突起のある投げるのに最適なナイフであった。

受け止めなければ眉間に刺さるであろう位置だった。



「その反応は何よ!ナムのくせに!」


「それだけで確殺コースで投げナイフ投擲するのやめろ!俺じゃなかったら死んでる速度と威力だったぞ!!」

「あんたなら当たらないでしょ、私だって本気で投げちゃいないわよ。」


やれやれポーズをする女性。

黒髪の肩くらいまでの長さのすらっとした髪。

身長は165センチ程。

年齢はナムと同じ20歳。

どことは言わないがC位であろう。

寝巻きのままのナムとは違い、胸部や重要な臓器を守るような位置にだけアーマーが着いている所謂軽装鎧を着込んでいる。

それ以外の部分も野ざらしではなく、戦闘用の頑丈な素材で作られたインナーを着込んでいる、唯一太ももの半分程度とへそだけは出ているが、彼女いわく拘りらしい。

腰元に2振りの片刃の緩やかな反りのある双剣、

背中にメイス、右太もものベルトには今投げられた投げナイフが7本装着されている。



「で?なんだ()()?お前がここに居るってことは相当な案件だろ?」



ナムはそう言いながらミナと呼ばれた女性にナイフを投擲する。

彼女はナムに投擲されたナイフの柄を手の甲で弾き、太もものホルダーへ落下させ収納する。

相当な腕前である。


そう、彼女こそが人間最強の<三武家>の1つ。

武器戦闘術の権威<アーツ>の跡取り娘である。


幼なじみで気の知れた相手、更に言うと実力も近いということもあり、お小遣い稼ぎ程度のノリで良くナムに呼ばれれば助っ人に来るのだ。

何を隠そう、1か月前の助っ人は彼女である。



「つい最近、町の外に金持ちの一家が引っ越してきたのは知ってる?」

「いや、全く知らん。」

「期待した私が馬鹿だったわ。」



諦めの色を滲ませ吐き捨てるように言うミナ。



「それがどうした?」



そんな彼女の態度にも全く顔色を変えないナム、最早2人のいつもの光景だった。



「いい?よく聞いて、結論から言えばそこが今魔物に襲われてるのよ。」



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