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ブレイカー  作者: フィール
序章
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序章:三武家

小さな町の一角、そこに警察車両が数台到着していた。

一人の男が強盗の乗った武装車両を止め、無事に犯人達4人が逮捕されようとしていたからだ。


彼らは至る所に打撲跡があったり失禁していたりと散々な見た目だったが、幸いにも命に関わる怪我はしていない事が彼らにとって救いだろう。

彼らを捕まえた男に電話を掛けたタナカという警官が近寄る。



「流石です、やはり貴方には簡単なお仕事でしたね。」



欠伸をしていた男がタナカという警官に気付き、面倒くさそうに対応する。



「そんなのはどうでもいい、ほら報酬。」



警官に向かって片手を差し出した男はほれほれと言わんばかりに手を振っている。



「はぁ……そういう所がなければすっごくいい人なんですけどねぇ。」

「帰って早く寝直したいんだよ、はよ寄越せ。」



タナカは再度ため息を吐くと、いつもと同じ代金を払う。

約300万エンである。



「はいどーも、そいつらの後は任せたわ、んじゃなー。」



金を受け取り男は振り向きもせず去っていく。


彼が自宅の方角へ消えると、そこにタナカの同僚が近付いてきた。



「随分法外な依頼料っすね?何者なんすか?アイツは。」



彼はつい最近配属されたばかりの新人警官である。



「ん?貴方は知りませんでしたっけ?彼こそがブレイカーですよ。」



ブレイカー、またの名を壊し屋。

数ある事件をかなりの力技であっさり解決し、その周囲に破壊をもたらすことで色々有名な男の渾名だ。

今回は広い道路という事で被害は強盗しかなかったが。


そしてその名は警官の中でもかなり有名な人物であったが、報酬がかなり嵩むため余程の大事件が発生しない限りは本人を見たことも無い警官も多い。

新人である彼が知らないのも無理はない。



「へぇ、彼があのブレイカーっすか!?すげー筋肉っすけど武器とか持ってなかったっすよね?」



新人警官は初めてブレイカーと呼ばれた男に会い、若干興奮しながら応対する。



「あぁ……彼には武器はいらないのさ。」



その発言に新人警官はギョッとした顔でタナカを見る。



「え、機関銃搭載してて4人も乗ってた車をこんな状態にした人っすよ!?」



新人警官は横に転がる車を見る。

それは逆さまになり車上の1部が妙に凹み、トランクはひしゃげ、搭載された機関銃がものの見事にへし折られていた。



「こんな事……素手でやるなんて無理っすよ!!」



それを聞いたタナカは良く考えればそりゃそうだと言わんばかりに手を打つ。

彼も何度かブレイカーと呼ばれた男に依頼をしていた身だったので、既に感覚が狂っていたのだ。



「そうですね……話しておきましょうか、貴方はこの世界に存在する<三武家>を知っていますよね?」



新人警官は三武家という言葉に、何を今更と言った顔をしてから答える。




「知ってるっすよ!

武器戦闘術の権威<アーツ>!

魔法戦闘術の権威<マギス>!

そして格闘戦闘術の権威<ブロウ>!

この三分家はこの世界におけるそれぞれの分野の人間の最強の家系っす!男なら知らない奴はいないっす!!」




新人警官は熱烈なファンのひとりなのだろう、相当鼻息を荒くしながら力説する。

三武家はそれほどまでに有名なのだ。



「そこまで知ってるのなら話は早いですね、彼は……」

「彼は?」



興奮気味な新人警官は先輩警官であるタナカの言葉を待たずして言葉を重ねる。



「ブロウ家現当主の息子、正式な跡取りである<ナム>さんですよ。」



新人警官である彼は一瞬固まり、そして言われた言葉を反芻するかのように目を回し、そして意識が戻ったかのように目を真っ直ぐタナカに向けた。



「ブロウ家の……ブロウ家の!?あの!ナムさんっすか!?

あの世界の格闘技術を師範以上に極めてるという噂のあのブロウ家の!?

なんで早く言ってくれなかったすか!?つかブレイカーってナムさんだったっすか!?いやそんな事よりどこいったっすか!?今ならまだサインもらえぶべっ!?」



静かに手刀を新人警官である彼の首の後ろに振り下ろしたタナカはため息をついた。

流石に気絶まではしなかったがかなり痛かったらしく彼は悶絶している。



「今は仕事中ですよ、それにナムさんはサインなんて書いてくれないですよ、諦めなさい。」

「むぐぐぐぐ……!!」



恨みがましそうにタナカを睨みつける新人警官、後輩とは思えない態度である。



「なんだったらこの町にはもう1人三武家の跡取りが住んでますよ、彼女なら彼よりはサインを貰える可能性が有るかもですね。」


「マジっすか!?マギスっすか!?アーツっすか!?」

「ほら、先に仕事を片付けましょう、話はそれからです。」

「後で聞かせて貰うっすよ!あ、でも女性って事は……」

「後で!!」



まだ仕事をほっぽって考え事を継続しようとした新人警官の頭にチョップを入れ、悶絶した彼を引き摺るタナカ。

1番の危険は去ったがまだ仕事はあるのだ。



「せめて車運ぶのだけでも手伝ってくれれば……」



タナカのボヤキは空に消えた。

無駄に主人公の名前と正体ここまで引き伸ばし。

特に理由はありません。


明かすタイミングが無かったのです

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― 新着の感想 ―
[良い点] 入り込みやすい設定で、ゲームや漫画好きな人には素直に受け入れられやすいと思う。 まだ3話ですけど、時間のある時にじっくり読みたい作品ですね。 [気になる点] 若干ではあるが、細かな描写が省…
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