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ブレイカー  作者: フィール
序章
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序章:簡単な仕事

普段なら活気のある町。

しかし今では銀行の事件発生の為に住民が自主的、又は誘導の元、2車線ある道路付近から姿を消していた。

道路にも車が走る様子はなく、唯一走行中の黒の車は我が物顔で中央線の上を高速で走っている。



「ケケケ……武器を見せたら簡単に金を出したなぁ。」



車の左後部座席で舌なめずりをしながら金勘定をしている男が仲間に向けて言う。



「そりゃあんなもん見せられたら誰でもビビるわな!カカカ!」



助手席に座り、アサルトライフルを構える男が上を見上げる。

この車の上に機関銃が固定されているのだ。

そんな物騒な車が堂々と走っているお陰で住民達もなんの躊躇もなく避難できるのである。

お陰で強盗達も邪魔なく逃走できている。



「ククク……このまま行けば簡単に逃げられそうだ。」



運転をしている男がいやらしい目をしながらそう呟く。


車内には3人しか居ないが、強盗は4人である。

1人は車の上で機関銃を操作しながら車の後ろを狙っている。

追いかけてくるであろう警察を撃退するためである。


銀行に3人で押し入り手元の銃とおもむろに強盗の1人が指さした、車の上に鎮座する機関銃を見て恐怖した銀行員が即金を支払い、彼らは呆気なく逃走したのである。



「手に入れるのに苦労したが、コイツがあれば俺たちは無敵だ!ケケケ!」



金勘定は続けながらテンション上がりまくりの強盗D(仮)である。

彼らは順調だった、車上の武器のせいで警察も安易に追えず、このまま町の外に出てしまえば今度は外の魔物を恐れて町の警察は追ってこない。


この世界の魔物は強い、一般人が戯れに剣を装備したところで勝てる相手ではない、だが彼らは車上の武器で次の潜伏する予定の町に着くまでに出てくる魔物なら蹴散らせると踏んでいた。



「カカカ、むしろ外に出てからが本番だぜぇ!昔はオレでも手軽に倒せてたが、最近は強力な武器が無いと危なくて仕方ねぇ!」



助手席の強盗A(仮)が手元のアサルトライフルを撫でながら言う



「なぁに、俺たちならやれる、逃げ切れるさ……クク……ク?」



運転をしている強盗C(仮)が何かを見つけて笑いを止める。


彼らの視線の先に現れたのは道路の真ん中に立つ男の姿だった。



「ケケケ!なんだアイツ!死にてぇのか?」



金勘定を一旦やめた強盗D(仮)が笑う。



「外に出るまでに弾の無駄使いはしたくねぇな、轢き殺しちまえ!カカカ!!」

「任せろ、クク……ク……?!」



助手席と運転していた強盗A(仮)と強盗C(仮)が驚く。

無理もない、男が急に消えたのだ。



「クっ!?どこいった!?」

「まぁまぁ、怖気付いて、逃げたなら良いじゃない……カっ!?」



急に車の上で何かの破断音が鳴り響き、驚く強盗達。



「ケッ?!今の音なんかの金属が折られるような音だった気がするぞ!?」

「馬鹿言え!?上にあるのは機関銃じゃないカ……まさカ!?」

「クッ!!上のやつは何してやがるんだ!!」



運転している強盗C(仮)が悲鳴を上げた途端、強盗達を襲ったのは浮遊感だった。



少し前の時間。

誰も走っていない道路を爆走する黒い車を発見した筋骨隆々の男は欠伸をしながら頭をかいていた。



「たくよぉ、黒い服装に黒い車ねぇ……それも怪しいけど更にあれは怪しいだろ。」



誰も走っていない道路のど真ん中を爆走する目立ち過ぎる車を見てため息がでる男。



「探す手間が省けただけでも良しとするか。」



そう言って男は道路の真ん中に立つ。

途端に車の強盗達の慌てた顔が彼の視界に写る、この男の視力で本来なら見えないであろう距離だが鮮明に見えているのだ。

後ろばかり警戒している車上の機関銃を操作しているであろう強盗は気付いてもいない。



「こりゃ楽な仕事が更に楽になるな、んじゃ始めっか!」



そう言って男は自身の脚力で車の方へ飛び、すぐさま車の上えと降り立つ。

300m以上は車との距離は離れていたはずだが全く距離を感じさせない程のスピードだった。

車上に降り立った男に気付いた強盗が振り向き、慌てて機関銃をこちらに向けようとしたが、男はそれを素手でつかみ、破断音を出す程の威力で銃身を折り使用不可能にした。

そして操作していた男の首元を掴み持ち上げ、車の後部へと移動すると、車のトランクの端を思い切り踏み付けると車がメンコのように回転しながら飛び上がる。



「よいしょと。」



男は車上から軽やかに降り、落ちてきた車をタイヤが上になるように「片手で」受け止める。

車内から男達(恐らく3人)の悲鳴が聞こえて来ていた。



「一応お灸を据えとくか。」



片手に強盗、もう片手で車を支えていた男はおもむろに両方の荷物を真上空高く投げる。

車内の強盗達の悲鳴が大きくなる中、男は落ちてきた強盗と車を乱暴にまた片手ずつで受け止める。

殺さないようある程度緩衝させたが、それでも車内の至る所に体をうちつけた強盗達は気絶し、機関銃を操作していた強盗B(仮)も恐怖で気絶してた。



「いっちょあーがり。」



男は車を道路に逆さまのまま軽く放り投げ、強盗B(仮)もその辺に放る。



「簡単な仕事なのに報酬は良い、得したな。」



男はまた欠伸をしながら後ほど来るであろう警察を待ったのだった。

続きです。

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