2章:デス・バーサク
戦闘が終わり、周囲に静けさが戻った平原。
そこで意識を失っていた青髪の青年エイルは、体に違和感を感じたことが原因か、それとも少し体が回復したからか。
彼は目を覚まし、辺りを見回す。
うつ伏せで倒れた筈の彼は仰向けになっており、その体は数名の何者かによって運ばれている。
自身の体から感じる感触から、担架のような物に乗せられていると気付いたエイルはその周囲の人間達の顔を確認する。
「お、気付いたぞ。」
「ホントかい? 早く運んで頂戴よ、彼は命の恩人さ。」
エイルは横から聞こえた女性の声に誘われるように目線を向ける。
そこにはどこかで見たような赤い衣装に身を包んだ、その声の持ち主と見られる気の強そうな女性が立っていた。
「アンタだろ? ビネフを治療してくれたのは、お陰様で命を取り留めたんだ、感謝してもしきれないよ!」
治療、それを聞いた彼は記憶を辿る。
まぁ、辿るもの何も自身が治療した人間など一人しかいない。
この女性の服と、あの重傷の男の服とを比べれば何かしらの関係者だということは理解出来た。
「助かった……んですね、良かった。」
「次はアンタだよ、そんな傷で生きてんのが不思議な位さ……今軍のヤツらに運んでもらってるからさ。」
「他の……魔物は?」
「突如現れた3人組が殆ど殲滅しちまったよ、全く……もっと早く来いってね。」
エイルは体の痛みに耐えながら周囲に視線を動かすと、あんなにいた大量の魔物達は姿を消し……いや、動かなくなっていた。
恐らくジカルと戦闘していた時に、周囲にいた3人組が行ったのだろう。
そう思ったエイルはほっと一息つき、この戦いが終わりが近いことに安堵するのだった。
そんなエイルが心配する中、彼女はそっと耳元に口を近付けてきた。
歩いている中で器用なことをする、という気持ち。
それと同時に女性にここまで近付かれた経験が皆無なエイルは内心ドギマギしていたが、必死に表情を平静に保つ。
エイルはこういう強く、大人っぽい女性が好みであった。
「アンタ、ヒューマンだろ。」
「!?」
しかし、彼のそんな甘い感情は速攻で吹き飛ばされる。
バレていた、よりにもよって軍の者と近そうな人間にバレている。
その事実に彼は悪寒を感じながらも、この状態では逃げることも出来ない。
「安心しな、確認しただけさね……アタイらに任せな、話は通しとくよ、今の軍の司令官は話がわかるやつだ。」
エイルは彼女のその言葉に、緊張を解いたように体から力を抜く。
その様子を見た女性は、ニヤリと笑うとエイルの耳元から顔を遠ざけ姿勢を戻し、そのまま普通に移動を続けた。
その上機嫌な動作と彼女の性格から察するに、わざとエイルを心配させるような言動をしたのではと考えた彼は、内心で苦笑する。
(良い人だなぁ。)
そんな事を内心で思いながら、エイルはトラルヨークへと移動を続けるのだった。
「負けだな。」
剣を肩に構えながら周囲に魔法を展開しているビレイドは突如としてそんなことを呟いた。
彼は戦闘中にも関わらず、トラルヨークの方角へと視線を向けている。
彼に釣られるようにナム達も町へと視線を向けると、彼の言った言葉の意味を何となく理解した。
町の周囲を囲んでいた魔物の大軍が殆ど姿を消していたからだ。
先程の言葉の意味、それは言うまでもなくビレイド側の陣営に対してであろう。
「ヒューマンが7人、ビーストもかなりの数いた、シドモークも集められるだけ集めてサールの人間達すら集めた……それでこの結果とはねぇ、ベルア様に申し訳ねぇ。」
ビレイドはそう呟くと、おもむろに1回だけ剣を横薙ぎに振るうと、再びそれを肩に乗せる。
そして首を横に振ると、視線を真っ直ぐナム達へと向けた。
「聞いてるぜ、お前達ベルア様と因縁があるんだってな?」
「あぁ……相当な。」
「こうしようぜ? もう大局の勝負には負けてるがオレ達はまだ終わってねぇ……となれば。」
ビレイドはその巨大な剣を空中に高く放り投げ、手を前に出すと、指を1本立てる。
「オレに勝てたらアジトの場所を教えてやるよ、そこにベルア様がいる。」
「随分気前が良いじゃない?」
「何が狙いなんだ?」
ビレイドは空中から落ちてきた剣の柄を手に取り、そのまま空中で回転させるように振り回す。
その突風の中、ナム達は風から身を守るように姿勢を低くした。
「狙いなんかねぇよ、このオレをここまで楽しませてくれた礼だ。」
ビレイドは振り回していた剣を止め、もう一度その剣を横薙ぎに一度振るって構えると、彼は笑顔になる。
「まぁ、この獄犬……ビレイドが負けることは絶対にねぇがな!!」
そう叫ぶと同時に、ビレイドはナム達へと向けて高速で突撃し、先頭にいたナムに向けてその巨大剣を袈裟斬りに振るう。
咄嗟に体を斜めに傾けてその巨大剣を辛うじて避けたナムは、その隙を突いてビレイドへと走って近付く。
剣が届く距離ではあるが、ビレイドの剣のリーチは4m近い。
そんなとても肉薄しているとは言えない距離では、ナムの本領が発揮できないのだ。
ナムが走ると同時にミナやトウヤも同時に展開し、ビレイドへと突撃する。
魔術師であるトウヤにとって近接戦は本来であれば危険だ。
しかし、この敵に対してだけはそんなことも言っていられない。
手数を増やし、なるべく敵の攻撃と自分達の戦闘スタイルを合わせる必要があるからだ。
同種の戦闘スタイルであれば勝機はある。
「こっちの仕掛けの種をバラされてんだ、そんな簡単にいくと思うなよ!」
ビレイドは接近するナム達に向け、今度は剣を横薙ぎに振るって応戦する。
迫り来る巨大剣に対し、ナムとトウヤはその場から跳躍、または鋼の翼で飛び去るなどして避けるが、ミナだけは迫り来る剣の腹に足を乗せ、他の2人より早くビレイドへと接近する。
武器の対処を極めた彼女だからこそ出来る芸当に、ビレイドは本当に楽しそうに笑う。
「武器戦闘術のアーツ。」
近付いて来るミナに対し、ビレイドは展開した雷魔法を1つ放つ。
ミナはそれを避ける為に一度横に跳ぶしかなく、接近が僅かに遅れる。
しかし。
「上位魔法、エアロ・ブラスト!」
空に飛んだトウヤだったが、彼は急激に高度を下げ、ビレイドの放った魔法に向かって風属性の上位魔法を放つ。
肉眼で見えにくい高速の魔法は、ビレイドの魔法とぶつかり、押し込むようにビレイドへと接近する。
彼はやはりその光景を見ながら笑顔を維持している。
「魔法戦闘の権威、マギス。」
横薙ぎに振るった剣を、後ろ手で操って下から全力で振り上げ、迫り来るトウヤと自身の放った魔法を切り上げ、そのまま剣から手を離して空へと放り投げると、迫り来るミナに向け拳を握り込む。
「させねぇよ。」
ビレイドが拳を振るおうとしたその時、いつの間にか肉薄していたナムにそれを受け止められ、返しの拳を振るわれる。
そんな状況でありながら、彼はやはり笑顔を崩さない。
「格闘戦闘術の権威、ブロウ。」
その拳をビレイドは腹に受け、再び吐血しながら後ろへと滑るように飛ばされる。
しかし、そのタイミングで空中から巨大な氷の塊が落下し、ナムとビレイドを分断する。
「ちぃっ!」
折角の攻撃チャンスを邪魔されたナムは舌打ちをすると、その氷へと拳を振るって粉々に破壊する。
「流石だな、オレの攻撃に合わせて対処してくるか……ならば!」
「ナム、上よ!」
「な!?」
ミナの叫びに慌てて視線を上げたナムは、空中で巨大剣を掴み取り、頭上で構えるビレイドの姿を捉える。
「我流。」
空中でその巨大剣を高速で縦に回転させたビレイドは、既に何度も彼が起こしている現象を再び周囲に発生させる。
突風の如き剣の風圧である。
その風圧により、ナム達の足は鈍くなり思うように行動できなくなってしまい、そこを狙うように回転を続けながらビレイドが降りてくる。
「巨人豪剣ぉ!!」
重力、巨大剣の重量、そしてその剣を扱うビレイドの剛腕から振るわれる全力の縦斬りがナム達3人の中心目掛けて振るわれる。
地面は轟音と衝撃により大きく破壊され、辺りを巻き上げられた地中の岩が舞い、辛うじて直撃を避けたナム達も空中に巻き上げられる。
「まだまだぁ!!」
更にビレイドは剣を横に振るい、そのままの勢いで独楽のように回転し、それの速度をどんどん上げていく。
辺りには再び突風が巻き起こり、空中に巻き上げられた岩等は次々と斬り裂かれていく。
「アレは不味いわよナム!」
「あぁ……近付いたら即死だ、トウヤ何とかできるか!?」
「してみる!」
空中に巻き上げられたナムやミナでは対策が難しい。
しかし、スティール・ウィングを発動させているトウヤであれば別だ。
彼は空中で翼を制御し、何とか直立の姿勢を取ると右手に魔力を集める。
スティール・ウィングの魔力消費はトウヤにとっても大きく、彼の魔力も大きく削れている。
この後のベルアの事も考えると無駄撃ちは出来ない。
(1番効果的なのは……これだな!)
トウヤは使う魔法を決めると、それを使うために必要な最小限の魔力を変換する。
そして、それは奇しくも自身の父親と同じ決め手となった。
「ポルター・ガイスト!!」
トウヤの放った人工物を操作する魔法は、見事にビレイドの持つ巨大剣に掛かる。
トウヤの腕ではあの巨大剣を操作するなど不可能だ、あまりに重いからだ。
しかし、それでも。
回転を邪魔する事くらいなら出来る。
「ぐおっ……!?」
突如剣自らが逆らうかのように動かしづらくなり、ビレイドは驚く。
そして、急なバランスの崩壊により彼は姿勢を崩してしまった。
同時に突風によって巻き上げられていたナム達も落下し始める。
「今だ!」
「ええ、手借りるわよ!」
ナムはミナに向けて掌を出し、ミナはそれに躊躇なく蹴るように靴底を当て、ナムは彼女の足を起点にして殴るように前へと押し出した。
言葉通りに手を借りたミナは弾丸のようにビレイドへと高速で近付く。
「フレイム・オーラ。」
ミナは双剣に最速で炎を纏わせ、ビレイドと同じように剣を回転させ、その炎を大きく成長させていく。
「終わりよ、奥義。」
「まだだ……まだオレは負けてねぇ!」
ビレイドは回転の終わりと共に手に持った剣を放り捨て、向かってくるミナに向けて魔法を放ち、姿勢を低くする。
ミナはその魔法を素早く斬り払い、ビレイドは低くした姿勢を素早く起こすと同時に足を振り上げる。
「火炎柱!!」
ミナの双剣とビレイドの放った蹴りがぶつかり合い、ミナの双剣を起点に火柱が高く巻き起こった。
「ぐっ!」
ミナはまだ火炎柱を極めていない。
その腕は炎に炙られ、火傷が広がっていく。
「受け止められるなんて……!」
「甘いぞアーツぅ!!」
勿論、ビレイドも火には炙られている。
しかし、人間とヒューマンの体の頑丈さは違う。
不利なのはミナだ。
ビレイドは炎に耐えながらも拳を握り込み、ミナに向けて振るう。
(まず……!)
ミナは顔面に拳が叩き込まれることを覚悟し、痛みに備えるために目をつぶって歯を食いしばる。
しかし、その拳が叩き込まれることは無かった。
「オレとしたことが……忘れてた!」
声に驚いたミナが目を開いた時、ビレイドは姿勢を崩していた。
原因は足先からの出血……というより長さが変わったことによる物だった。
つまり斬られたのだ。
ビレイドの足を斬り飛ばした原因は、円を書くように持ち主の元へと戻っていく。
使用者であるタイフの元へと。
「助かったわ!」
ミナはタイフが作ってくれたチャンスに素早く体勢を立て直し、その炎を纏い続ける双剣を構え直す。
「は……はっはっはっ!」
倒れながら、ビレイドは笑う。
本当に楽しそうに彼は笑い続ける。
ミナはそんな彼の笑い声を聞きながら、その双剣を素早く彼へと振るうのだった。
空からトウヤが降り立ち、ナムも自然落下から復帰し、ミナも火傷を負った腕を庇いながら彼へと近付く。
そこにはミナによって斬られ、地面に倒れ込んだビレイドの姿があった。
「まだ生きてるのね……流石はヒューマン。」
「もっと喜べよ……お前達は……オレに勝った。」
音を鳴らしながら呼吸をするビレイドは、そんな状況に似合わない程のいい笑顔でそう返事をする。
彼の少し遠くには彼が手放した巨大剣が転がっている。
使用者が倒れている今、アレは最早脅威ではなくなっていた。
「約束だ……ここから北東に……洞窟がある、そこに……ベルア様……が。」
「北東だな、わかった。」
ビレイドは震える手で方向を指さす。
その方向は、先程ベルアが消えた方向で間違いない。
つまりその先に彼らのアジトがあるという彼の情報は間違いないだろう。
だが、それを見ていなくてもナム達は自然に彼を信じただろう。
それ程までに彼は特殊なヒューマンだった。
「参ったね……まさか……三武家じゃねぇ奴に……ははは!」
ナム達の近くには多少傷の痛みから回復し、タイフに寄りかかるように近付いてきたリィヤと、彼女を支えるように移動してきたタイフもいた。
「良い……チームだ……勝てよ……オレに勝ったんだ。」
「当然だ。」
ビレイドは満足そうに頷くと、どんどん呼吸が弱くなっていく。
「てめぇの事は……嫌いじゃなかったぜ。」
「オレ……も……だ。」
その言葉を最後に、彼は動かなくなった。
彼の死を悟ったナム達は、彼に背を向けて移動を始めた。
まずは遠くに避難させたアンナを目立つ所へ移動させ、それからアジトへ向かう予定だ。
そうしておけば、軍がアンナを見つけて回収してくれるはずだ。
「よし、じゃあ早速……。」
ナムが行動しようとした。
まさにその時だった。
ナムは背後で不穏な気配を感じ、慌てて視線を向ける。
その視線の先では、死んだはずのビレイドが立ち上がっていた。
「グ……なんだ……コれ八?」
しかし、当の本人も状況を理解していないようにも見え、ナム達はその不穏な状況に困惑する。
「マサか……ジ……ジカ……ル!? あいツ……!」
ビレイドはそんなことを言ったのを最後に、まるで理性を失ったかのように雄叫びを上げ、ナム達へと突撃してくる。
よろよろしているのにも関わらず、高速で距離を詰めるビレイド。
そんな時、ナム達の中で唯一トウヤだけが戦闘スタイルを取り、そしてナム達へと大声を上げる。
「迎え撃て! アレは魔法だ!」
「なに? ビレイドが悪あがきしたのか!?」
「違うぞナム……奴じゃない! 他の魔術師がビレイドに掛けていたんだ……最上位の付与魔法、デス・バーサクを!」
ミナとナムは慌てて周囲を探るが、最早全ての戦闘はほぼ終わっており、ヒューマンらしき人物は全く見えない。
「なんなのよそれ。」
「付与した相手が死んだ時、無理矢理その体を生き長らえさせて理性を奪う、そして無理矢理戦わせる外道な魔法だ!」
ナムとミナ、そしてタイフとリィヤも彼……ビレイドに向けて警戒を強める。
「解く方法は?」
「掛けた対象……つまりビレイドがもう一度死ぬ……または。」
トウヤは周囲に目をやるが、諦めたように首を横に振る。
「掛けた術者本人が死ぬのどちらかしかない!」
「後者は無理だね、見当たらないし……となると。」
「ビレイドをもう一度倒すしかねぇか。」
ナムは拳を握り、構える。
その間にも、狂ったように走り続けるビレイドは着々とこちらへと向かってきている。
しかし、最早その動きはビレイドではない。
戦略を立て、技術もあった彼の体と意識はあるが。
今ではがむしゃらに突撃してくるノーマルとなんら変わらない。
「俺に任せろ。」
「了解よ。」
ナムはビレイドに向けて歩きだす。
その間も、ビレイドは狂ったように雄叫びを上げながら走り続けている。
「ひでぇ奴だな……誰だ?」
そこまで呟き、ナムは思い出す。
四天王で1人だけ遭遇していないのが居ることを。
「そういや、神官みたいのがいた気がするな……あいつか?」
ナムは強く拳を握り込む。
それはまるで自身の怒りを表すかのように。
「楽にしてやるぜ、ビレイド……てめぇとはそんなに長く関わった訳じゃねぇが。」
ナムとの距離が縮まり、ビレイドはその場で跳躍する。
その動きはまるで獲物を見つけた狼のようなものだ。
「無関係でもねぇからな。」
ナムは向かってくるビレイドの攻撃を最小限の動きで避け、そして同時に彼の胸部へと全力で手刀を真っ直ぐに叩き込む。
ビレイドの体を貫通したナムの腕は、背中からまるで生えたかのように伸びていた。
その手は、彼の心臓のある位置に突き刺さっていた。
「ブろウ……たスか……。」
「おう。」
心臓を見事に貫かれたビレイドは、再び力なく崩れ去り再び動かなくなった。
ナムは腕を引き抜くと同時に、彼を平原の上にゆっくりと寝かせる。
それを見ていたリィヤは顔面蒼白になっていた、敵だったとはいえ、あまりの惨状とナムの攻撃による血の量で驚いたのだろう。
「許せないわね……こんな魔法があったなんて。」
「俺様も存在は知ってるし使い方も知ってる……だけど使う気はないよ……流石に。」
ナム達はビレイドの死体を眺め、そして再び踵を返す。
そしていまだに意識を取り戻さないアンナを目立つ場所に移動させ、見えているかは不明だが一応トラルヨークに向けて手を振っておく。
そして5人はそのままビレイドの情報通りに北東の洞窟へ向けて移動する。
「少なくとも……仲間に掛ける魔法じゃない。」
トウヤはそう呟き、内心で怒りを覚えているような口調だった。
ベルアの部下には、平気で仲間にあんな魔法を掛けるやつがいるという事実に対して。
「終わらせようぜ、俺達で。」
「そうだな、ナム。」
「もうすぐでベルアと……今度こそお役に立ってみせます!」
「相手が悪かっただけだよ。」
「タイフさんの言う通りよリィヤちゃん? 代わりに2人は私達よりサールの人達を助けてもらった訳だし。」
「……そうですね、アンナさんも無事でしたし!」
そんなことを話しながら、彼らはどんどんトラルヨークから離れていく。
町の方角からは大きな歓声が上がっている。
恐らく勝利したことによる軍の人間たちの雄叫びであろう。
しかし、ナム達の戦いは終わっていない。
歓声を上げるのはまだ早いのだ。
「待ってろ……ベルア。」
決着がもうすぐそこまで来ていた。
ビレイド決着です。
四天王全員、三武家3人それぞれで元からメイン戦力を決めていました。
アグニスはトウヤ。
ハルコンはナム。
ビレイドはミナです。
とうとう残りはベルアのみとなりました。