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スイリブル・フェザー  作者: CLOWD
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青春の1ページ目

── 逆凪 真妃 ──

紅い髪、ショート。紅い瞳。

基本明るく、激しい性格。

9年前の災害から人類を救った英雄、翼の第1号覚醒者として現在でも世界各地で功績を挙げている


── 翼専 入学式 ──


多くの新入生はまだ昇降口前の掲示板に表示されたクラス分けのリストを確認している。


「えっと…私のクラスは…あった、1年A組。勇理もA組みたいだけど…まだ来ないの?」


昇降口で今日の入学式とその後の流れの説明を受け大型ホールへと向かう。

既に他のクラスの生徒は着席しており計香のクラスが最後だった。

そして教師と思わしき女性が舞台袖のマイクの席に着席、入学式の開会を宣言した


「生徒代表式辞」


入学式が始まってしまった。しかし未だ勇理の姿は見えない。


何やってんのあのバカ!入学式に遅刻とかありえないんだけど!まさか急いで飛んで来ないでしょうね。まだ生徒手帳貰ってないんだからね!


ここの学校の生徒手帳は縮小版の免許証みたいな物だ。

通常の免許と違う所は飛べるエリアが決まっている事。

学区内のみ飛行の許可が下りる。


「おい…!雨宮…!それっぽいのおるか…!」

「静かに…!分かるわけないだろ、何人いると思ってんだ…!」


関東校には東日本ほぼ全域の生徒が集まるため校舎はかなり広い。本校舎は2年前に完成したのでとても綺麗な環境で訓練出来る。


「新入生諸君、私は『第一の翼』逆凪 真妃である」


彼女こそ、9年前の災害から人類を救った英雄。最も最初に翼に目覚めた少女。


命の恩人目の前に居るのに遅刻してんのか…。


心底呆れる計香。


「諸君。我々は戦い続けなければならない、飛び続けなければならない、傷付いても、前が見えなくとも進み続けなければならない。だが、忘れるな。少女が剣を握る重さを、少女が穹を舞う貴さを。君達は手帳を持った瞬間から1人の戦士となる。

心せよ、君達は「英雄の卵」だ」


言葉の重みが違った。

勇理や計香が同じ事を言ってもこれ程の重さは生まれないだろう。

彼女だからこそ言える、彼女にだけ許された発言だ。

静まり返ったホールに、彼女のステージを降りる足音だけが木霊していた。


「えー。続きまして。新入生代表、式辞」

「あ…はい…。」


新入生代表と思わしき声がステージの下から聞こえた。


勇理まだ来ないし!入学式終わっちゃうよ!


「えー…新入生代表の…小鳥遊 勇理です…」


「あ、居た」


・・・。


何してんの?




── 3時間前 ──


「うわ、まて早起きしちゃった」


妙に最近早起きが続く。

睡眠時間的には問題ないが、時間があるならもう少し寝たい。


「ちょっと早いけど、先に学校行こうかな」

ス、スカート短いって…///


手早く身支度を整え家を出る勇理。


「校舎に入れるなら探検しちゃおうかな」


朝から開いているかは分からないが、行ってみる価値はあるだろう。


── 昇降口前 ──


あれ?誰か居る。先生かな?だとしたらちょっと入りずらいなぁ…。


できるだけ見つからない様に足音を消しながら校舎に忍び寄る勇理。


「君!」

「しまった…」


見つかってしまった…


だがその姿をはっきり確認出来る位置まで来ると、その人影の正体が判明した。


「あ、貴方は…!」

「君!新入生だよね!ちょっとお願いがあるんだけど良いかな〜?」

「あ、え、はい」


勇理はこの少女の姿を知っている。

忘れたくても忘れられないあの災害の日、命を救ってくれたあの人、その者。見間違える筈もない。


「実は入学式までに新入生代表を決めてステージで式辞を述べて貰うように言われててさ!今来た所なんだけど!君どうかな!ていうか名前は?どんな剣持ってるの?翼は?」

「あ、いや…その…」

「まぁそう緊張しなくてもいいさ!分かるよぉ!さぁ!こちらへ、入学式の流れを説明するからね!」

「いや…待ってくださいぃ…やるなんてまだ言ってないですし…」

「ええええええ!!!やらないのおおおおおお!!!??」


なんだこの人…僕が憧れて居た人ってこんな感じだったのか…。いや別に幻滅したとか見損なったとかじゃ無くて…。その…。凄いよねいろいろ。


「やります…けど」

「けど?」

「僕は小さい頃から人前は苦手で…ちゃんと喋れるかどうか…」

「大丈夫!緊張しないコツを教えてあげるから!」


やれやれ…9年前の事は後でまた話そう…。

覚えてるのかな?まず。


空気を読む勇理。


── 現在 ──


「本日は──」


真妃のコツとやらで人前を克服した勇理がスラスラと式辞を読み上げている。

計香は少し驚いていた。

知り合いが遅刻かと思ったら新入生代表だった事ではなく、人前も発言もあまり得意ではない臆病な幼なじみがステージで文章を読み上げている。


成長してるのかな…。私も置いていかれたくないな。

まず学校のシステムを聞いて…コース決めて訓練を…。

よし!頑張ろ…!



こうして2人の高校生活が始まったのであった。



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