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スイリブル・フェザー  作者: CLOWD
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銀の彗星

初の戦闘描写。

最初は無理しないでシンプルに行こう。


── 夜 10時40分 ──


「ふぅ、ふぅ」

「よいしょ、よいしょ」


少しキツめの階段を一歩一歩登っていた。

学校の裏からは完全に灯りが無いので持参したランタンで足元を照らして進む。


「キツいー…!」

「だからしっかり食べておくべきだったじゃん!」

「いや…まさか…山登るとは…思わ無いよ…」


息も絶え絶えようやく小屋に到着。

長く使われていないが簡易的なテーブルやベンチはあるし汚れが酷い訳でもないので簡単に掃除をする。

するとすぐ綺麗になって使えるようになった。


「灯り消すよー?」

「怖い!計香!怖い!」

「消しまーす」


カチっとランタンのスイッチを切ると完全な暗闇になった。街の中はあんなに明るかったのにと不思議に思いながら目を開け空を見上げると───



───星空が広がっていた。



吸い込まれる様だった。

今自分がどこに居るのかさえ分からなくなりそうだった。

意識が浮いていく様な間隔だった。



そして、そんな宙に放物線が横切った。


「来た!ベストタイミング!」

「・・・」


その放物線は次第に増えて行き、ようやくその正体に気づいた。


「流星群・・・」

「綺麗だねぇー・・・!」


しばらく見蕩れていると、放物線の数が減って来た。


「あ!そうだ!」

「何?」

「お願い事しようよ!」


流れ星が流れている間に願い事をすると星が叶えてくれるといアレである。


「計香は何か叶えたい願いがあるの?」

「ふふふ、それはね


勇理にも『剣』が現れますように


だよ」


心臓が、跳ね上がった。

何で知ってるんだろう。

1度も口にしなかった僕の夢。

どうして親友が知ってるんだろう。


「なんで知ってるの!?」

「私を誰だと思ってんの?あんたの親友だよ?」

「理由になって無いー!」

「あははは!まぁ何となくだよ。本当に。もしかしたらそうなんじゃ無いかなと。根拠も無くね」


凄いな、計香は。

何でもお見通しだ…。

でもそうだね…。


勇理は両手を握って目を閉じた。そして心の中でこう唱えた。


『剣が欲しいです』


今まで封印してきた言葉。

いや、封印していた訳では無い。

ただ、怖かった。

こう願って尚何も手に入らなかったら。

本気で思っても何の手応えも無かったらと。

ただそれだけが怖くて堪らなかった。


「さてと、帰ろうか」

「そうだね、1時間は居たかな?」

「写真撮っておけば良かったね」

「僕は目に焼き付けたから大丈夫!」


荷物をまとめ始めた。

──その時


ガサガサ


「!」

「!」


まさかね…。

いやまさか…。

勘弁して欲しい…。


「勇理、私の後ろに」

「う、うん」


そんな事ある…?

…無いよね?


計香は素早く空間から剣を取り出した。

固唾を飲み目を凝らす。


「勇理」

「な、何…?」

「私、実は剣を鞘から抜くの初めてなんだよね」

「え!な!」

「大丈夫!私が相手してる間に全力で走って」

「そんな──

「いいから!!」


計香は青い剣を美しい金の装飾がされた鞘からゆっくりと抜いた。

その時──


「!?」


腰の上辺りから反りの深い青い翼が顕現したのだった。


「計香!何したの!?」

「・・・」


彼女の翼が展開する条件は『抜刀』だった。

だが、計香は自身も不思議に思う程冷静だった。

ここに来て覚醒し、新たな選択肢を得た彼女は今自分に出来る事と出来ない事を確認していく。


「ひょっとして飛べたりは」

「出来るっぽい…」


そして遂に


「*@^$&¥;」


『外敵』が姿を現した。


「…!」

「あ、あぁ…!」


勇理はトラウマを呼び起こされ完全に腰が抜けていた。


「何してんの勇理!逃げて!」

「む、無理…!」

「何で!」

「腰が…」


「?*@¥^#└~?!」


行動不能な勇理に目もくれず外敵は立ち塞がる青い翼の少女に襲い掛かった。


「ぐっ!」


青い剣を横にして外敵の腕の縦切りをガードした。

思ったより重く、そして速い。

更に後ろには勇理が居る。下がる事は出来ない。


「凄い!さすが!」

「今のマグレかも」

下がれないなら攻めたい所。

でも生憎私は剣を振るどころか握った事も今まで無いのよね…。攻め方が分からない。

勉強しないとな…!


「アンタ倒して翼専行くんだからね!」


地面を強く蹴り外敵の脇に潜り込む。

翼を展開している時は身体能力が上がるみたいだ。

そして力の限り剣を持ち上げ切り上げた。

ガードで右腕を弾いて脇を開けて胴体を真っ二つにする算段。


ガキィィィィン!!

左腕で剣を止められてしまった。


この外敵、雑魚じゃない…!

ただ無作為に人を攻撃しているだけでは無いって事?

自分を守る手段を持ってる、戦闘慣れしている!


そして受け止めた剣を左腕で滑らせた。


「!」

「計香!」


体制を大きく崩し完全に背中を取られた。


「&?~@;*&」


これで終わりだ。とでも言わんばかりの発音。

そして右腕を振り下ろした。

だが。


〔諦めないで!〕

誰かの声が聞こえた。

勇理では無い、自分でも無い。

でもかなり近くから声を掛けられた気がした。


ザバアアア!!


咄嗟に水を自分の背中に回す事でこれをガード。

何故、何処から水が?誰が?

そんな事を考える暇もなく

そのまま軸足半回転で腕を弾きつつ正面に向き直る。


「うぉりやぁああああ!!!!」

「…?;^…^└?~!?」


遠心力の乗った切り上げで胴体から顎まで切り裂いた。


「はぁ…はぁ…」

「す、凄い…!」

「やった…!」


切り裂いた外敵は灰になって消えてしまった。

テレビの情報通りだ。


「凄いよ計香!翼も出て来ちゃって!水もザバーって!」

「はぁ…つ、疲れた」

対した攻防では無かったはずなのに、汗が止まらない、呼吸が落ち着かない。


だが安心したのもつかの間。

想定外の最悪が訪れたのだった。


「#¥@&*¥#」

「;…^;$²」


2人は同時にその倒したはずの生命体を目撃した。


「あ、あれ…?」

「何で…?」

「さっき私が倒して…」

つまりここに来る前に2人既に襲ってたって事か。

そうか。それもそうか。あぁ。もぅ。


「勇理」

「な、何?」

「ダメだわこれ…」

「え…」

「翼専行きたかったな」

「何言ってんの?」

「ごめんね、私が勇理をこんな所に連れて来たばっかりに…」

「大丈夫だよ!怪我してる訳じゃ無いし!」


その通りだ。

水を出した所から一気に疲労感がする。

怪我もしていないのに立ち上がれないまでに。


「ごめん…勇理」

「なんだよもう!」


ひたすら謝る計香。

そして外敵がいきり立って襲い掛かって来た。


刹那


─ドクンッ─


「あ、え…?」


いつの間にか手に握っていたのは先程見た記憶にない大口径のリボルバー。


「何、で…?」


─ドクンッ─


「あ、う」


鼓動がうるさい。

激しいのでは無く1回の鼓動があまりに大きい。


─ドクンッ─


「…」


そして、勇理はそのリボルバーを──


──自分の頭に押し付けた


何故かと言われても「何となく」だ。

まるで銃が僕の手を動かしているようだった。


「勇理…何して…!」



ダキュンッ!!!



銃口が大きく跳ねた。


「勇理!いやぁあぁ!!!」



しかし。


ガキン!


金属音が響いた


「え?」


そして次々と激しい金属音を轟かせ虚空から勇理の背中に銀色の


ここで小鳥遊 勇理は翼を手に入れたのだった


翼とは一般には光が形を成して妖精の様な幻想的な物や天使や悪魔の様に生え方や生える場所もだいたい当人の想像次第で形成される。

おとぎ話に出てくる様な羽を想像してもらえると分かり易いと思う。

先程展開された計香の翼は前者、腰の上辺りから光が伸びて翼の様な形になっている。展開の条件は「剣を抜く」事である。


一方、勇理はというと…


銀色の鋼鉄の様なジェットブースターが1対。

その華奢な身体にはとても似合わない、羽ばたく様が想像出来ない両翼のリアクター。

細長い排熱版に吸気口。


どうやら彼女の展開の条件は「自分の剣で頭を撃ち抜く」事だったようだ。


「ごめん計香、ちょっとまっててね」

「え、あ、うん」


翼!剣(?)!と喜びたいが今はそんな気分では無かった。何故か落ち着いていられる。先程の異様な鼓動はどこへ行ったのだろうか。


「…#…&;²;^…」

「*$&-&#☆」


外敵が2体同時に襲って来た。

刹那。


フッ…


「え?」


勇理が消えた。


ブォン!!


「えええええ!!」


音と風が遅れてやって来た。

そして、上空をを見上げると、終わったはずの流星群が1つ、地上に落ちて来ていた。


「²&$~&*¥!?」

「-&☆&…☆!?」


外敵達は見るからに同様していた。

その銀色の彗星の正体は先程目の前から消えた水色の髪の少女だったのだ。


「勇理…!」


そしてそのまま地上に激突した。

凄まじい衝撃波で外敵は愚か周りの木々、小屋までも跡形も無く吹き飛んだ。


粗方周囲を木っ端微塵にした所で、中心には大きなクレーターが出来ていた。

そしてそのクレーターから1人の少女がフラフラと歩いて出てきた。

制服も髪もボロボロで。


「勇理!無事!?」

「計香こそ!もう歩けるの?」

「ええ。それより…」

「うん…」



「願い事、叶っちゃった…」


夢か現実か。

とりあえず苦笑いしておいた。


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