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スイリブル・フェザー  作者: CLOWD
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星の予感

主人公─小鳥遊 勇理─ (たかなし ゆうり)

水色のショートヘアで眼の色も水色。

一人称は「僕」だが女性である。

かなり臆病で優柔不断。


─2069年 埼玉県 新座市─


少女が目を覚ました。

まだ日の登りきらない早朝。


早起きだ…早すぎる。

もう一度寝るつもりでベッドに潜るが意識が完全に覚醒してしまっていてる。

何だか今日はやけに目覚めが良い。


「ふぁああ…」


欠伸を1つ。

ボサボサになった水色のショートヘアを梳かしながらふと、時計を見ると早朝5時前、昨日寝たのが夜10時だとすると5時間も寝ていない。

だが無理に寝ようとすると中途半端な時間に起き、学校に遅刻する。


あの災害から9年が経っていた。

この少女─ 小鳥遊 勇理 ─は9年前の災害の生存者である。

現在は15歳中学3年生である。


「お父さんとお母さん、まだ起きて無いよね…」


自分の部屋を出て階段を降り、リビングのドアを開けてキッチンに入る。


「今日は僕が朝ご飯作ろうかな」

せっかく早起きしたんだもん。


食パンをトースターに入れてレバーを下ろす。

3分後には狐色だ。

冷蔵庫からバターを取り出し切り分ける。

フライパンに油を馴染ませ卵を落として蓋をする。

皿を4つ用意すると丁度パンが焼き上がった。


「歯磨いて着替えよ」


各皿にパン、バター、目玉焼きを盛り付けると、テーブルに運び勇理は洗面台へ向かった。

歯を磨き顔を洗うと自室へ向かい、着替える。

朝食を食べにリビングに入ると…


「おはよう勇理」

「おはよう。お姉ちゃん」


姉が朝食を食べていた。

2つ年上、高校2年生の姉─ 小鳥遊 由者 ─

仲が悪い訳では無いが特に会話する事も無くこういった挨拶くらいしか普段からしないので席についてトーストを齧る。

少し冷めた…。


「コーヒー淹れる?」

「ありがとう…」


姉が立ち上がって父親が無理して購入したコーヒーメーカーで甘めのコーヒーを淹れてくれた。

暖かい。


「で、あんた。どうなの?」

「・・・」


一見何の質問かわかる訳が無い質問文。

だが勇理にはこの姉の質問の意味を言い切る前に理解出来た。


進路の事だ。


「もう皆とっくに進み始めてると思うよ?」

「分かってる」

「分かって無い」


今勇理は中学3年の5月

進路なんて決まっていて当然。

なのだがこの少女は決めあぐねてるいた。


「どの学校で何を学びたいの?それとも就職?」

「そりゃ進学だけどさ…」

「どこに」

「…『翼専』」


── 翼専 ──


『翼剣専門学校』

9年前の災害以降唯一黒い生命体…呼称『外敵』に効果が確認されている10代のみが稀に目覚める才能『翼』と『剣』、その名の通り背中に翼が生え剣を持っている少女のみが通える、言わば「外敵排除のプロ」を育てる機関である。卒業すればそのまま機関に就職出来る。

最初に確認されたのは正にあの災害の日。10代の少女がこの才能に目覚め外敵を駆逐した。

尚、目覚めるのは必ず10〜20歳とされており、色・形・大きさは1つとして同じ物は確認されていない。

日本以外でもかなり稀ではあるが覚醒が確認されている。


「あのね、翼専がどんな人が行く学校か知ってて言ってる?」

「知ってるよ」


勇理は既に15歳、折り返しである。


「確かにあんたは命を救われてるし憧れるのも分かるけどさ、あれは努力や時間で何とかなるような物では無いの。あんたが1番分かってるんじゃないの?」

「・・・」

「もう時間が無いのよ?せめてどこの高校に行くかだけは決めておきなさい」


親かあんたは…。姉か…。

せっかく早起きして食事まで作ったのに、食べる気無くなっちゃった。


「僕もう行くね」

「え、早すぎない?」

「いいの」

「…全く」


空気に耐えきれず食器をキッチンの流しに入れ玄関に向かった。

そして重めのドアを開けて外に出た。


すると。


「おはよう勇理」

「計香、おはよう」


僕の幼なじみ、親友。

─ 要 計香 ─

成績優秀、几帳面。

運動神経が良く、モテる。

肩程の黒髪がとにかくモテる。

ずるいなぁー。


「今日はやけに早いね」

「今家出た所だよ」


半ば飛び出して来た形になるが。


「ねえ!勇理!」


計香は黒い縁の眼鏡を指で上げて整えると


「驚かないでね?」

「何何〜?」


次の瞬間


「それ!」


『剣』だった


「え…」

僕の夢、僕の憧れ。


それが親友に宿ったのだった。


「どう?驚いた?」

「あ、うん」

「あれぇ?」


勇理は言葉を失っていた。

別に剣に数の制限があるなんて話は聞いてないし、知り合いが覚醒したからと言って自分に無い訳では無い。

ただ、先を越されてしまった…。


「柄にもはしゃいであげたのに」

「あはは…でも凄いね。剣って事は翼も?」

「いや!翼はまだ無理みたい」


ふとした瞬間、いつの間にか、気づいたら手に持ってた。等色々な『剣』の手に入れ方があるがどれも意識外での入手であり詳細は明らかになっていない。

そして『翼』はその入手した剣で何らかのルーティンを行う事で一時的に背中に顕現する。1度ルーティンを見つけてしまえば翼の出し入れ自由である。尚、翼の解除は本人の意思で行える。


「私!翼専行く!」

「だよね」

「うん!勇理は決まったの?」

「・・・」


嫌な質問をされてしまった。


「いやぁー…それがまだ…」

「もうー。一緒に探してあげるから!」

「すぃやせん」

「あ、今日の放課後、夜空いてる?」

「? うんまあ。」

「今日流星群降るらしいよ!」

「何それ!ほんと?」


確か今朝は姉の説教聞いててテレビ付けて無かったっけ。毎日見てる訳じゃ無いけどそんなロマンチックな情報があったとは。付けときゃ良かった。


そんな会話をしてる内に学校に着いた


「じゃあ放課後校門で待ち合わせで!」

「はいはーい」


流星群か・・・。

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