表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/46

8.パリパリとトロトロとモフモフと

本日二話目です。

「討伐報酬の合計ですが……銀貨五枚と銅貨九十枚の報酬になります」

カウンターの上に銀の硬貨が五枚と大きめな銅の硬貨が一枚、小ぶりな銅の硬貨を四十枚が置かれました。

銅貨百枚で銀貨一枚と言う事ですか……そして大きめな銅貨は一枚で小さい銅貨五十枚分と。


 しかし、ゴブリンを百匹で銀貨一枚ですかぁ……

え? そうすると門の通行料やギルドの登録料って何気に高額? 

私は運良く群れで来ていたのを空から一方的に倒したけど、歩きながら探索しての百匹は難しいんじゃないかなぁ?

ゴブリンから出る魔石(☆2)も全て売ったとしても何十匹と倒さないと駄目でしょうし。


「このメイリンはファーレ王国の要所の一つですから通行料とか割高なのよ」

小声だったがが聞こえたらしい、ステラさんが教えてくれました。

ふむ、此処はファーレ王国っと……


「あとギルドの登録料も、親や他の冒険者の手伝いで小銭を稼ぎつつ基礎知識や体力を、つまりは多少なりとも自分で生きる術を得てないと冒険者として将来やっていけないからギルドの入会テストみたいな物ね」

未成年者は保護者となる親や冒険者の同伴で門を通過出来るので、その間に知識と体力とお金を稼げと言うことらしい。


「まぁ、知識や経験も無く親のお金でギルド登録を得ても良いですが、後に潰れても自己責任です」

なかなかに厳しい世界ですねぇ。


「ところで、この辺りに美味しいご飯のお店あります? 」

そろそろ本気でお腹空いてきたので何かお腹に入れないと。


「それなら、ちょっと先の路地裏にある『ドジョ・ドジョ』って食事処がありますよ、小さなお店だけどギルドの職員にも人気でよく食べにいくんですよ」

「ちなみに……オススメ料理には何があります? 」


「んーやっぱり、ハーブチキンのソテーですね! 銅貨二十枚と割高ながらもあの香りにハマりますよ」

「いや、ドジョ・ドジョなら煮込みは外せん! 」

おっと! いきなりステラさんの後ろに居た男性職員が参戦!


「待て待て、あの店は蒸し料理こそが至高! 」

「サラダも美味しいわよぉー」

うん、職員が次々に参戦して収拾がつかなくなった……

とりあえず、煮物・焼き物・蒸し料理にサラダと何でも美味しいと。

「じ……じゃあ行ってみます。ありがとうございました」

美味しい物の話って、たまに白熱した議論になるよね、軽く会釈してそそくさと退散!


 ギルドを出て路地裏に入ると、在りましたドジョ・ドジョ、木で出来た二階建ての小ぢんまりとした建物ですね。

店内はカウンターに5席、四人掛けのテーブル席が三つと少し狭め。

カウンターの奥には厨房があるみたいですね、昼食の時間をかなり過ぎているからか私以外に客は無し……。

そのままカウンターに座り、メニューを見る……ふむ。


「ハーブチキンのソテーとトロトロ牛の煮込みを下さい」

「あいよー」

カウンターの奥から男の人の声が聞こえた、店主さんだろうか?


「おみじゅ、どぞ」

ふと、座っている私の左下からたどたどしい声が聞こえコップに入った水がカウンターに置かれ出てくる。

………………そこに見えたソレは金色の……


「あと、これ! この子下さい! 」

私の反応速度の限界に挑戦する速さで、瞬時に膝の上に抱えたソレ。

金色獣耳ふかふか尻尾のモフモフした存在、先ほど水を持ってきた子猫っぽい幼女だ。


「やらねえよ! 」

カウンターの奥から店主が顔を出す、おぉうコッチは虎顔だ!

「そんなー、そこを何とか! お義父さん! 」

「誰がお義父さんだ! 」

断られてしまいました、残念です。


「あぁぁぁ! 可愛い! モフモフ! モフモフだぁ! 」

「みぃ! みゃ! みぅ! 」

私は神速のモフ捌きで耳や尻尾を堪能しまくった、幼女の方もツボに入ったのか喜んでいる。

あぁ、この小ささ、このモフモフさ、癒されるわぁ。


「ほら、飯だ! いい加減にうちのココを放してくれないか? 」

そうかー、ココちゃんって言うのかー。モフモフモフモフ。

「おねぇちゃん、おりょうり、さめちゃうよ? 」

うっ、そんな目で見られると……仕方ない、ココちゃんを膝の上に乗せたまま食事を……

「いや、ココを降ろしてから食えよ……」


 ハーブチキンは鳥の胸肉にハーブが擦り込まれ、パリパリに焼いた皮にトマトっぽいソースが実に合っている!

トロトロ牛……すじ肉かな? 臭みもなく下処理が上手だ、味が染み込んでプルプルのトロトロ、コラーゲンたっぷり。

パンはライ麦を使った黒パンですね、少し硬いですが煮込みの汁を吸わせながら頂きます。


「ココちゃん、何かさっぱりした飲み物ある? 」

「あいー、アッポーの、ジュース、ある」

アッポーと言ってましたが、味はアップルジュースでしたね、少し温いですが美味しい。


「ひとちゅ、ふたちゅ、みっちゅ……」

食事の代金は銅貨四十枚でした、私の膝の上にを乗ったココちゃんがカウンターに置かれたお釣りの銅貨を一生懸命に数えている姿が愛らしい。

わざと銀貨で支払ってお釣りを多くしたかいがありました。


「所でお義父さん、この辺りに宿屋無いかしら? 」

「お前……このタイミングでそれを聞くか? 凄く教えたくないぞ? それにお義父さん言うな! 」

えー、そんなー。末永くモフりますから!


「おねぇちゃん、うちも、おにかいで、やどや、やってるよ? 」

「泊まります! 」

かぶり気味で即答です。

「みゅー、いくら、かぞえたか、わすれた」

いいのよー、ノンビリ数えてね。モフモフモフモフ。


 食堂の脇の階段を上がり二階に……当然ココちゃんを抱っこしながら……

「おかーしゃん、おきゃくさん! 」

ココちゃんが母親を呼ぶとそばの部屋から二足歩行のスラリとした豹が出てきました。

父親が虎で母親が豹ですか……ココちゃんは少し父親側の血が濃いみたいですね。


「はいはいはい、お泊まり御一人様ですか? 朝食付きで一泊なら銅貨五十よ、十日分の前払いなら銀貨四枚になりますが? 」

「十日で! 」

これも即答でした。


「お部屋は此方です、トイレと洗面所は廊下の突き当たりの左右にあります、洗面台に置いてある洗面器と乾いたタオルは身体拭き用として使って下さい。朝食をとる時は一階で鍵に付いた札を見せればご用意致します」

銀貨四枚を支払って鍵を受け取り早速部屋へ……

「お客さん、未成年者の連れ込みはご遠慮下さい」

……ニッコリ笑ったお義母さんに抱っこしていたココちゃんを持って行かれてしまいました。


 まぁ、ココちゃんがちっちゃな手を振ってバイバイしてくれたから良しとしますか。


 部屋の中は八畳ほどの広さで、シングルベッドにサイドテーブルが付いてますね。

ドアの横には魔石が付いてます、照明のスイッチ? あぁ、これに触ると魔力が流れて明るくなるのですか。


 洗面台を確認しに行くと蛇口に魔石が付いてましたやはり触ると水が出ます、トイレは便座の中に地下まで続いてそうな深い穴が開いてます、やはり拭くのは紙では無く葉っぱなのですね。

痛くないのでしょうか?


 ……でも下水処理施設だけが必要で、上水道の整備をしなくて良いのはかなり便利な世界ですよね。

少なくとも飲み水で腹痛とか怪しい病気はなさそうです。


 洗面台に置かれているアメニティグッズを借り、自室で濡れタオルを使い身体を拭きます。

銭湯とかは無いのでしょうか? お湯に浸かりたいです。

今度近くの森のなかにでも創りますかね?


此処まで読んで頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ