6.助けた馬車についてって
本日最後です。
ゴブリンや盗賊の襲撃が一段落しても、私はまだ馬車の上を飛んでいます。
もうこのまま街道沿いに飛んでいけば何処かに着くのでは?
馬車を無視してってよくね? とも思ったけど……見捨てるのもねぇ……
何と言うかあの馬車がフラグを乱立し過ぎてて目を離せないのよね。
ボギュ! ……そう思っていた途端に今度は馬車の車軸が折れたみたいですね。
思った側からです、何でこうフラグを建てるのが上手な人達なのでしょうか?
馬車から白髪混じりの初老の男、恰幅が良く頭部が少し薄い中年の男、小さな金髪の女の子の3人が降りてきました。
そして、ここぞとばかりに草原側から襲ってくる狼の群を私が【ウインドアロー】で順次撃ち倒しながら、御者さんがゆっくり車軸交換するのを上空から眺めます。
私がすぐに倒しているから狙われている自覚が無くて駄目なのですかね?
やっと馬車の修理が終わりましたね、皆さん乗り込んでいきます。
……乗り込んでいく女の子と目が! 驚きながらコッチを見てます。
こわごわと手を振ってきたので、手を振り返したら微笑みながら馬車に乗り込みました。
最後に御者さんがこっそり馬車の下から何か取り出して、辺りを伺ってから草むらに投げ捨て馬車に乗り込み出発していきます。
何を投げ捨てたのでしょうか、望遠で拡大し鑑定をしてみると。
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魔物寄せの香箱(☆4):開封済み
広範囲の魔物の理性を狂わせ、呼び寄せる香りがする箱。
何をどれだけ呼べるかは運次第
開封後、取り扱いに注意。
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魔物寄せの薬ですかね、沢山の魔物に襲われていた理由が判りました。
これは御者さんもグルなパターンですか? どうりで襲われているのにゆっくりと走る筈です。
小箱は念動力で拾って、私の収納にしまっておきましよう。
そのまま馬車の上を漂いながらついていく事数刻、草原や森が畑や牧場に変わりだしました。
人が住んでいる所が近くなったのですね、こっちはトウモロコシあちらは小麦が植わっていますね、水田は無いのでしょうか?
畑もコレだけ広いと種蒔きや収穫が大変そうです。
牧場では茶色い大きな牛がノンビリ草を食べてます、長閑で良いですね。
やっと街が見えてきました。
大きく高い壁が街の周囲を巡り、奥には大きな石造りのお屋敷が建ってます。
中央にはメルメンなお城ではなく小さな砦が更に壁に囲まれて建っています、城郭都市なのですかね?
でも奥の大きなお屋敷より中央の小さな砦の方を厳重に守っているのは何故なのでしょう?
数千人が暮らせそうな街並みなので多様な店が在りそうです。
これで味のあるご飯を食べ……そう言えば私はお金を持ってません!
手持ちに売れそうな物が在るでしょうか?
収納リストを開き売れる物でソートしてみますか。
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草原ウサギの肉(☆1)×十個
食用可能。
無惨にも解体された、愛らしいウサギの成れの果て。
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だから書き方!
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草原ウサギの皮(☆1)×十二枚
皮革素材。
モフモフ、モコモコ。
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狼の皮(☆1)×六十八枚
皮革素材。
ワイルドを求めたい貴方へ。
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本当にこのコメントは誰がどんな基準で書いているのでしょうか?
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ゴブリンの右耳(換金アイテム)×二百七十四個
冒険者ギルドに所定の数を持って行くとお金が貰える。
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ゲームや小説でもお馴染みの冒険者ギルドですか、やはりこの世界もそういうのが在るんですね。
何故に右耳だけなのかと思いましたが、これが俗に言う、討伐依頼の証明部位と言われる物ですね?
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火魔石(☆2)×二百七十四個
火属性の魔石、小型日用雑貨にも使われる。
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ゴブリンの体内にあった石ですね、火に関係する魔力が蓄えられているみたいです。
日用雑貨に使われると言う事は、火を起こしたり懐炉のように温めたりする道具に乾電池を入れる様な使い方をするのでしょうか?
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ホブゴブリンの右耳(換金アイテム)×三十二個
冒険者ギルドに所定の数を持って行くとお金が貰える。
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火魔石(☆3)×三十二個
火属性の魔石、日用雑貨にも使われる。
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こちらはちょっとだけ魔力が高くなっているだけでゴブリンと変わりないみたいですね。
売り物は何とかなりそうです。
さて、馬車も無事に門をくぐり抜けたので私も街に入れさせて貰いましょう。
街の周囲を巡る壁を乗り越えて入ったら怒られそうなので、私も門から入ります。
畳をゆっくり降下させ着地、座り疲れたので少し伸びをし畳を収納してから門に向かいます。
門に居る衛兵さんが私を見て驚き睨んでいるので敵意のない笑顔を向けときましょう。
「お疲れ様です」
軽く挨拶をして門を……。
「何処から来た? 身分証は? 無いなら通行料として銀貨二枚だ! 」
門の左右から槍を交差され止められてしまいました、しかし銀貨とは一体どれ位の価値でしょうか?
「アッチの草原の方から来たわ、身分証もお金も無いから何か売ってから払いに来て良い? 」
「見た所何も持ってないが……登録されてない売り行為は犯罪だぞ? 」
あー、女の身一つではそう思われるよね。
と言うか、登録してやってる人もやはり居るんだね。
「収納のスキルが有るので、其方に魔石を幾つか入れてあるわ」
「ほう?収納スキル持ちか! 中々レアなスキルホルダーだな、魔石か? それなら手数料込みで☆3相当のを二つで良いぞ? 」
へえ、Exではない普通のスキルにもレアとかランクが有るんだ?
確かに収納は鞄とか不要で便利ですよね。
ホブコブリンから取った火魔石(☆3)を門番さんに二つ差し出すと、鷹が羽を広げている紋章の彫られた金属プレートを渡されました。
「そのプレートを手に持ったままこちらの水晶球に手のひらを乗せれば犯罪歴がチェックされる、犯罪歴が無いなら水晶が青く光って仮身分証の登録完了だ」
おぉ、ファンタジー名物の摩訶不思議テクノロジー! 言われた通りに手のひらを乗せると水晶が青く光り登録完了しました。
「街を出る時はあちら側の水晶に手のひらを乗せそのプレートを門番に返却しなさい、返却したら銀貨一枚の返金がある。街に再度入るならまた銀貨二枚を貰い今の手続きをするから気をつけるように」
デポジット制ですか、実質的には銀貨一枚なんですね。
「このプレートを返さないで街の出入りは出来ますか? 」
「原則的には認められない、出る時に渡さないと返金しないし、一度に二枚以上渡してきても返金は銀貨一枚だ」
街の中でプレートをスリ盗って換金するのは難しいですね。
しかし、毎回払うのも手続きするのも大変です。
「仮ではない身分証は何処で貰えますか?」
「農業者や商人や冒険者などのギルドに登録したなら、そのギルド証が身分証の代わりになるな」
「んー、冒険者のギルドに行きたかったので丁度良かったです」
「そうか、冒険者ギルドならこの道を真っ直ぐ行った右側だ。大きな建物で看板が出ているからすぐ判るだろう」
「ありがとうございます」
厳つそうに思いましたが、親切な門番さんですね。
冒険者ギルドの場所も聞いたし、さっそく冒険者登録と換金をしに向かいましょう!
……そう言えばこの街の名前とか聞くの忘れましたね。
此処まで読んで頂き、ありがとうございます。