5.街へ行こう
本日二話目です。
さて、朝です。今日もいい天気ですね。
【水魔法】で水球を出して顔を洗い……歯ブラシとかどうしましょう?
指先から細い水流を出し……小屋の石壁が少し斬れましたがご愛嬌です、弱めて弱めて……ガボボボ……口の中が少し痛いです。
朝ご飯ですが、味付けしてない肉と苦い草……うん、飢餓で追い詰められるまで食べずに我慢です。
そうなると、次にする事は……村か町を目指しましょう!
この草原でスローライフ、とか言えば聞こえは良いですが……それは最低限の必需品が揃ってこそ言えるものです。
私は多少なりとも文明にあやかりたい。
胸元まで伸びきった草原などという視界が悪い所を、あてもなく歩く訳にも行かないので、此処は一つ空を……飛べるのかな?
定番の風魔法で身体を浮かす……空を飛ぶ程の風圧って台風を遥かに越えるよね!
それに身体の何処に風を当てて浮かせる? それとも某所の鉄人みたいに足の裏や手の平から風を噴き出させて……うん、保留。
重力の向きを変えるとかもありますが……重力属性を新規に創るのは良いのですが、漫画やアニメだとフワ・ストンって簡単にしてますが、浮かぶ時はともかく着地の時は重力の向きや力を細かく変えないと地面に激突するよね! ……保留。
どうせ新規に属性を創るなら、念動力……超能力的なアレにするべきでしょう……
見えない手で身体を掴んで右に左に上に下に……行けるかも知れない!
でも、身体を直接掴んで飛ぶのは握り潰しそうで怖いなぁ。
そんな訳で畳モドキを造ってそれを掴み飛ぶ方法を取りたいと思います。
いつものスッキー草を広範囲に刈り取り、……念の為にもう少し多めに刈りましょう。
そうしたら【錬金創造】で畳を創ります。
この時、【ストーンウォール】で創った薄い石の板を芯にして創るのがポイントです。
決してフニャフニャな畳が出来て、風呂敷で包まれたかの様に身体を包み運ばれたから作り直した訳ではありません。えぇ決して!
さっそく畳の上に座り、お盆で水を運んでいるイメージで畳を静かにそっと持ち上げる【念動力】……成功しました!
では出発です…………
こええええ! メッチャ怖い! 吹きさらしな畳で高度十数メートル上がったら物凄く怖い!!
空飛ぶ絨毯とかよく何処にも掴まずに飛べますね! 無理無理! これは無理!
一度降りて、畳にスッキー草で作った手綱を着け、透明な壁【障壁】を【魔法創造】して畳の縁に纏わせ包み込み【並列発動】で維持して再出発します。
手綱のおかげで何となく安心感があり、【障壁】で顔に当たる風を感じないのでそれなりに快適です。
落ちないとは思いますが、【障壁】は身体の表面に薄く常時発動にしておきましょう。
この様に上空から眺めると……草原が凄い広いですね、地平線まで草原とか生まれて初めて見る光景です。
草刈り魔法で何かの爆心地みたいになった小屋の周辺が酷いけどソレ以外は一面緑の絨毯みたい。
上空に居座ったまま、【サーチ】を広域探索モードにして発動……検索対象は人工物で!
私を中心に全方位に魔力の波が広がり人工物を探していく。
反応あった!真下! ……の我が家……はともかく……レーダーの隅の方に反応があったので向かいましょう!
向かっている途中、何に反応したのか光点をクリックしてみたら馬車ですね。
そう言えばシャロンさんがファンタジーな世界と言ってましたっけ。
望遠鏡で遠くを見るイメージを元に【望遠】魔法を創り観察します。
木々が見え始めました、あちらには森があるみたいです。食べ物あるかなあ?
そして、草原の終わり森との境に茶色い帯……街道ですね。
そこを走る四頭立ての豪華な馬車……うん、良くあるアレ系のフラグですね。
そのまま【望遠】で覗いていると森から緑色の二足歩行する変な生き物の集団が馬車に近寄って行くのが見えました。
ズタズタな腰布を纏い、手に棍棒やら古びた剣を持ってますね。
あの類の腰布は誰が卸しているのでしょう? 魔物ブランドですか?
指を鉄砲の形にして【ウインドアロー】で頭部を狙います、一撃です。
死体は私の収納に入ってきます、楽で良いですね? 寡黙な狙撃手にでもなった気分です、報酬はスイス銀行に。
変な生き物を鑑定してみると有名なアイツでした。
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ゴブリン(☆2)
単独だと臆病だが、群になると気が大きくなり人をよく襲う。
なお、食べられません。
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いや、食べないけどさ……いつまで食べ物鑑定モードになっているんですか?
しかしゴブリンは何匹居るんですかね? 後から後からやって来てます。
寡黙な狙撃手気分を諦め、逃げる奴はゴブリンだ! 逃げない奴はよく訓練されたゴブリンだ! の気分で両手撃ちしましょう。
おや? 簡単には倒せない何か少し大きいゴブリンがチラホラと出て来ました。
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ホブゴブリン(☆3)
進化して少し強くなったゴブリン、本質はあまり変わってない。
この肉を食べる位ならば、私は餓死を選びます。
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だから、食べませんってば! それと鑑定スキルさん、食事必要なの? 餓死するんですか?
だんだんと【ウインドアロー】では面倒になってきたので【ウインドカッター】を操作して連続で切り裂いく方法に変えましょう。
何処かの星雲から来た真っ赤な宇宙人が頭から飛ばしているアレですね。
右に左に向きを変えホブゴブリンの首をスパスパと斬っていきます。
しかし、私は畳を光学迷彩とかにしてないのにあの馬車の人は気がついてないのでしょうか?
そもそもあの馬車……全然速度を変えませんね? 襲われている事にすら本気で気がついてないのかもです。
何百匹ゴブリンを倒したのか判りませんがやっと出て来なくなりました、終わったみたいです。
……次は倒木と盗賊の出番です。失敗しました、自分でフラグを建ててしまったようです。
盗賊とは言え相手は人間です【ウインドカッター】で切り裂くのも【ウインドアロー】で撃ち抜くのも何か嫌ですね、人殺しになるには未だ自分の覚悟が足りません。
【水魔法】と【土魔法】を合わせ、胸元まで沼に沈める【スワンプ】を創ります。
盗賊たちの足元を狙い発動、いきなり沼が出来て盗賊たちが沈んでいきますね。
沈めたら魔法を解除し沼を土に戻して固めます、倒木も沈めて固めていきます。
盗賊がどんどん出てくるので、どんどん沈め、どんどん固めます。
倒木もどんどん転がされるので、どんどん沈め、どんどん固めます。
どんどんどんどん……盗賊も倒木も出すぎですよ!
森の中で涙目で木を切り倒している盗賊さんを沈めて供給源を絶ちましょう。
それにしても、コレほどの人数で馬車を襲って1人頭で幾らの収入ですか?
真面目に日雇いでもしていた方が貰えそうですよ?
もしかしてそれだけ恨まれている貴族が馬車に乗っているとかいうオチはないでしょうね?
こんな時に乗っているのは善良なお貴族様で、良からぬ事を考えている近隣貴族が嫌がらせで襲わせる……が鉄板ですけど。
望遠と念動力で盗賊さん達の荷物を漁っても大したものは持ってませんね。
流石に身分の判る物を持ち歩く悪人は居ませんか。
しかし此処までくると平安京エイ○アンをしている気分です、それともチクタクバ○バ○でしょうか?。
此処まで読んで頂き、ありがとうございます。