忘れることの出来ない…空の輝き
空。どうして空は青いんだろう…。地球が水に囲まれているから?…なんて分かんない。
私は、立ち上がった。ひたすら草原のなかを走る…。どうしてだろう。なんか、飛べる気がしてきた。私は、ジャンプをしてみる。が、なかなか飛べそうにもない。鳥は翼を持ってるから飛べるんだ。私も鳥になりたい。私は走るのをやめて、歩いた。
突然背中から声が掛った。
「ナツミー!」
私は後ろを振り返った。
茶色い長い髪を二つ結びにした、ユリだった。
「ユリ!」
ユリは、息を切らせていた。
「ナツミ…いつもはやいね!今日も空見てたの?」
「うん」
「そっか…一緒に学校行こう!」
「ナツミ」、黒い髪でショートヘアー。普通の女子中学生。
私達は、「ソラ学園」という、大きな都市にある普通の学校に通っている二年生。建物は、丸く出来ていて色はうすい水色。
「オス!」
私達は、教室のドアを開けたとたん、目の前に男がいた。顔は、なかなかのほうで、女子から人気もあり、髪型は、黒くて男ヘアー。名前は、「タカシ」。
「なんで今日も目の前にいるのよ!」
とユリは言った。
「っなんだよ!挨拶しただけじゃん」
「挨拶はいいけど、目の前にいるのはやめて!」
「…分かった」
タカシは、横に移動して通してあげた。
「ナツミ!放課後、一緒に草原寄っていい?」
「うん、いいよ!」
私達の会話にタカシが入ってきた。
「俺も行く」
「えぇ!?なんであんたも来んのよ!」とユリ。
「いいだろ!俺も行きてぇーんだから!」
とタカシ。
「どうする!?ナツミ!」
とユリは聞いた。
ナツミは少し考えてから、タカシの顔を見た。
「…いいよ。来ても」
「本当か!?ありがとう!俺!用事あるから!」
とタカシは言って、教室を出ていった。
「どうしてよ!ナツミ!」
とユリは言った。
「…いいの。あたし、タカシの事も草原に連れて行きたかったから。ちょうど良かった」
「…そっか…ナツミがそう言うならあたしはなにも言わないね」
ユリは、笑みを浮かべて言った。
…一時限目、二時限目…そして…放課後。
ユリと私は、校門の前でタカシを待っていた。
「アイツ遅い!」
ユリは苛立っていた。
「しょうがないよユリ!タカシ、掃除だし」
「おーい!」
前方から走ってくるタカシ。
「悪りぃ、遅くなって…おい!?」
タカシの言葉を遮るナツミ。
「行こ!タカシ!」
ナツミは、タカシの左手をとって走り出した。
「待ってよっ!ナツミ!」
ユリは急いであとを追いかけた。
学校から…十分で着く、
「草原」。緑の草がいっぱいに広がっている。
「ちょっと待て!」
「え?……ごめん!タカシ。手、痛かったよね?」
ナツミはおそるおそる、タカシの顔を見る。
「大丈夫。てかさーここが草原かぁー気持ちいいな!」
タカシは、その場で寝転んだ。ナツミはタカシの隣に座った。ユリは二人の様子を気にしながら‥ナツミの隣に座った。
三人は、数分間空を眺めた。
…空を見ていると…心が軽くなるようなそんな気持ちが出てくる…空。
「ねぇ」
ユリとタカシはナツミの顔を見た。
「…どうして空って…青いんだろうね…」
横から見るナツミの顔は、どっか遠くを見つめている気がした。
「分かんね。…地球が青いだからんじゃねぇーの?」
「あたしも同感」
…そうなのかな…。ねぇ、どうして空は青いの教えて…。
「よし!二人とも立って!」
とナツミは立ち上がって言った。
「なんだ…」とタカシ。
「ナツミ…どうしたの?」
とユリ。
「今から、草原のなかを走るよ!…よ〜い…ドン!」
「…なんなんだよっ!」
とタカシ。
「えぇーちょっと待ってよー!」とユリ。
二人はナツミのあとを追いかけた。
五十m進んだところで、ナツミは、足を止めた。タカシとナツミはちょっと疲れたのか、その場にしゃがみ込んだ。
「速いよ…ナツミは…」
とユリ。
「なんで走るんだ…」
とタカシ。
ナツミは笑みを浮かべて、
「…ちょっと、走りたかったから」
「それが理由か?」
「うん」
ナツミは笑顔で応えた。
「ったくよ…しょうがねぇー奴」
タカシは微笑んだ。
ナツミも笑みを溢す。
「…二人、あたしを忘れてない!?」
「ごめん!ユリ!」
ほら、と手を差し出すナツミ。ユリはその手をとって立ち上がった。
「そろそろ、帰るか…」
とタカシ。女子二人は、うん、と言った。
「じゃあね!ナツミ!明日ね!」
とユリは手を振り、
「うん!明日ね!バイバイ!」
とナツミも振りかえした。
ユリは帰り道が違うので、ここで別れをした。
ユリはちらっと後ろを見ると、
「おい!ナツミのとなりにやつ!」
「やつじゃねぇーよ!俺はタカシだ!」
「ナツミをた・の・む・よ」
ユリは口ぱくをした。タカシは後ろを振りかえって、手を振ってみせた。
それを見たユリは、安心したかのように自分の家へと帰って行った。
のんびりと歩いているなか、二人の間に無言が続いた。
…しばらくして、ナツミが口を開いた。
「今日も空、キレイだったね!」
タカシはナツミの顔を一瞬見て、「ああ」と言った。
なかなか会話が弾まない感じに、ナツミは、
「あたしの家、今こっから見える、信号の先なんだ。タカシはどこなの?」
「…俺は、信号渡る前の所、右に行く」
「そっか。じゃあ、そこでお別れだね」
二人は夕焼けの道を歩いていた。太陽が沈んでいく。
「もうすぐ信号だ。…あ!信号青だから渡るね!じゃあね!」
といい、ナツミは走った。信号が点滅し始めた。ナツミは急いだ。信号の踏み切りの前まで行ったとたん、右手に異変を感じた。…とうとう、信号が赤に変わってしまった。心臓がどきどき鳴りながら後ろを振り返った。
息を切らせていた…
タカシだった。
ナツミは声が出せなかった。
強く握られている右手が痛い。
「…タカシ…?」
タカシは、ああ、と手を放した。
「俺……」
「どうしたの……?」
タカシは、下を向いていた顔をあげた。ナツミと目が合う。ちょっと動揺したように目をそらすが、顔をナツミのほうに向けた。真っ直ぐに見つめてくる瞳。ナツミは、タカシの言葉を待つ。
「…好きだ。俺、お前が好きだ」
「っ………」
言葉を失うナツミ。頭が真っ白になった。目をそらさず、見つめてくるタカシ。ナツミは目をこすった。目の前にいるのは、彼…一人、タカシ。
自動車の走る音が聞こえる。ナツミは、タカシの目を見る。そして…、
「あたしも…好きだよ…」
ナツミは、ただ彼を見つめる。タカシは、目を見開いて、ナツミの右手をぐいっ、と引っ張り…抱き締めた。
「ちょっと…!タカシ人がいるよ!」
「…いいんだよ」
といい、強く抱き締めた。
…空、明日の空は、もっと綺麗に輝く…これは…一生忘れることの出来ない日。
短編小説、四作目となりました。
今回のお話は、作ってきた短編小説のなかで、大分お話が違うと思います。「空」の言葉から作る小説は、もともと自分が感じてたことを書いて、お話を作っていきました。これからもいろいろな小説を書こうと思っているので、よろしくお願いします。