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タラバ蟹とモンゴル相撲  作者: せばっすぅ
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第三話 体が小さくなっていた。

目の前が真っ白になりました。

 真夏の太陽がさんさんと照りつけるコンクリートの上を、俺はただひたすらに歩いていた。周りには見渡す限りの田園風景。遠くには山、山、たまに民家。


「どこにいったんだよ。あいつ……」


 俺はすっかり小さくなってしまった身体を見ながら、途方に暮れていた。



 遡ること数時間前、目の前が真っ白になった後のこと。

 次に目を開けた時、俺は自転車に乗っていた。そう、自転車に乗っていたのだ。

 何をいっているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった……

 ここで考えて欲しいのは、もし何もしていない状態から、いきなりある程度の速さで走っている自転車に乗っていたらどうなるのか、ということだ。

 答えは簡単だ。こける。

 さらに俺は、運が良かったのか悪かったのか、田んぼの中に落ちたため、怪我はしなかったが身体中が泥まみれになった。

 泥まみれになった身体を見て、俺は驚愕していた。理由は単純。身体が小さくなっていたからだ。


 数分後、まだ混乱する脳を回転させて、俺は考えていた。

 そして達した結果は、タイムスリップをした、ということだった。

 タイムスリップ、つまりタイムトラベルには二つの種類がある。一つは、元の時間軸の自分自身が、時間軸を移動する場合。この場合、自分の身体ごと時間を超えているため身体の大きさは変わらず、その時間軸には別の時間軸からやってきた自分と、もともとその時間軸にいる自分がいる。

 もう一つは、自分の意識だけが時間軸を移動する場合。この場合意識のみが時間を超えているため身体はその時間軸の元々の自分の大きさになる。また、自分はその時間軸にいた自分の中に入り込んでいる状態になるので、その時間軸には自分は一人しかいない。


 今回の場合、俺の身体は小さくなっているので後者のタイムスリップをしたのだろう。


 また、俺がタイムスリップをしたと考えたのは身体が小さくなっていたことだけが理由ではなかった。もう一つの理由は至極単純、俺がこの景色を見たことがあって、それは子供の時に住んでいた町の景色だったからだ。


 ここまでの結論に至って俺がやるべきことは一つ。


「あのクソ不審者がっ……!!!」


 俺をこんな目に合わせた張本人であろう、偽エイリアンを探すことだった。


 そして話は冒頭に戻る。最初に乗っていた自転車は田んぼに落ちた時に壊れて使えなくなってしまった。俺は数時間ほど歩いてあいつを探したのだが、結局見つけることはできなかった。

 太陽の上り具合からして、時刻は丁度12時ぐらいか。腹も空き始め、途方に暮れていた時。


「京ちゃぁぁぁぁぁん!!!」


 小学生が、俺に抱きついてきた。

 確かにこのシチュエーションは、ロリコン供からしたら歓喜するものなのかもしれない。が、俺は断じてロリコンではない。だから、


「フ、フヒュッ!い、いいいきなりなんだよっ!!フヘヘッ!」


 冷静な対応をすることができたと思う。


「どうしたの?京ちゃんなんか変だよ?まあいいや。京ちゃんが来ないからずっと探してたんだよ!見つけるの大変だったんだから!」


 束の間の、思考。そして悟る。なぜ俺は最初に自転車に乗っていたのか。それはこの子と会うためだと。

 考えてみれば確かにそうだ。俺がタイムスリップする前にも、この時代の俺は生活していたのだから。

 この思考に至ったところで、俺はなぜこの子と会おうとしていたのか、昔の事を思い出そうとしたのだが、やはり思い出すことはできなかった。この子が誰なのかも、未だによくわからない。取り敢えず、無難な返事をすることにした。


「わ、悪かったな。じゃ、じゃあみんなの元へ行こうか。」


「みんな?何言ってるの?京ちゃん。なんだか今日は本当におかしいよ?今日は私たち二人だけで謎を解くんでしょ?」


 なんてことだ。子供の頃の俺は女の子と二人きりで遊ぶほどの男だったのか。ん?ちょっと待て。今、謎を解くって言わなかったか?


「謎?謎って、なんのことだ?」


「もぉ〜、そんなことまで忘れちゃったの??この前約束したでしょ?学校でのあの謎を解こうって!」


 そこまできて、やっと少しだけ思い出した。子供の頃、俺はある女の子と、毎日謎解きと称して色々な物事に首を突っ込んでいた事を。


主人公の名前はもう最後まで明かされないスタイルでいこうかな、と。そう思いました。

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