プロローグ
USBを刺そうとして刺さらなくて、向きを反対にして刺してみても刺さらなくて、結局最初の向きがあってた時のあのもやっとした感じはなんなんだろう。
そんなことが、小さい頃の俺の悩みだった。
USBをちゃんとみてみろよ。よくわからんマークがあって向きがわかるようになってるじゃないか。
そんなことを言う奴に、俺は何回デコピンを食らわしただろうか。
そんなことを言う奴ほど、実はUSBのことをちゃんとみていない。だってほら、USBを刺す時には、自分の指でマークの部分が隠れちゃってるじゃないか。
こんなことばかり考えている少年時代だった。今思えば、
あのどうでもいいことを考えているどうでもいい時間が、俺にとってはかけがえのない時間だったのかもしれない。
あの時は、他にどんなことを考えてたかな。
タラバガニの体のブツブツの必要性。
モンゴル相撲の選手が被ってる帽子の尖ってる部分の意味。
窓際の、後ろから二番目の席の、あの子のこと。
「京ちゃん!今日は何して遊ぶ?」
あの子の声がする。まだ幼さの残る、可愛い声。
そういえばあの時も丁度、今みたいに、暑苦しくて、蒸し蒸しして、青い空が綺麗な夏の日だった。
「こっちだよ!京ちゃん!」
あの子の声がする。
「すごいね!京ちゃん!」
あの子の、声がする。
俺は思い出そうとしていた。子供の頃の俺が関わったはずの、とある話のことを。
初投稿です。※初登校ではありません。小学生の頃の初々しい気持ちはもう忘れてしまいました。
何日かに一話のペースで書きたいと思っています。
私事ですが、おっぱいはお椀型が好きです。