前へ目次 5/5 終の花 寒風吹き荒ぶ 枯れ枝に老い鴉 色とりどりの残像を下に その身を舞う雪の白に滑らせる そう 彼は独りだった 雨余る夜 騒々しさは大樹に寄らせる 雷乱の運河を渡り、月光直下に深く息を吸い込む そう 彼は独りだった 星霜を超え 喜びも悲しみも空虚な文字列 愛した日々と失った日々 ぼんやりと記憶の檻から抜け落ちていく ぽとん、ぽとんと 力強く空を羽ばたいていた羽が抜け落ちる ぽとん、ぽとんと 麗らかな午後 暖かい光に包まれた その身体はゆっくりと冷えて 彼は未だ独りだろうか