表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクと妹の不適切な関係性  作者: 九巻はるか
第一章 向日島のお姫様(おひいさま)
9/48

幕間 希のキモチ

 希は古文教師が黒板に白文をつらつらと書いていくのを眺めながら、軽い近視のため授業中にだけ掛けている眼鏡を外して、朔のことを考えていた。


 ……朔はなぜ今更、私をあんなに構うのだろう?


 ――小学六年生から中学二年生にかけての三年間、朔は希のケアを全て拓真に丸投げ。

 当の朔は母と旅行三昧の日々を送り希に顔一つ見せなかった。

 ところが拓真が二年前に転校してからほどなくひょっこり顔を出したかと思うと、その日から今日に至るまで空白の三年間を埋めるような溺愛ぶりを発揮した。

 朔のこの落差がある行動には希もさすがに困惑したが、朔のその溺愛ぶりが嫌なわけではなかった。

 やはり、一度は見捨てられたとはいえ、昔は大好きだった朔に大切にされることは喜ばしいものだったからだ。

 しかし、だからといって朔のことを許せるかといえばそう簡単でないのも事実だ。

 三年間放置された恨みもあるし、また朔の気まぐれで再び放置される可能性だってある。

 そしてなにより気に入らないのが拓真は朔に惚れているという事実だ。

 勝手な嫉妬だと頭では理解しているが感情はそうもいかなかった。


 希はちらりと真冬花を覗き見る。白文をノートに書き写しているようだ。

 朔のことを勘違いし逃げ出した真冬花と泣きそうな表情でこちらを見つめる朔の姿がフラッシュバックする。


 ……やっぱり朔のことはまだ許せない。でも、誤解くらいは解いてあげよう。


 希はそう心に決めると眼鏡を掛け直し、黒板から逸れていた意識を元に戻した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ