表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

第五話「模擬戦闘、開始」

 ついに戦闘開始です。

「闘争世界の」とか言っておいて戦闘描写まで一週間以上かかる小説って…

 暫くご無沙汰だった分、今回は比較的字数多めなのでご容赦を

 入学式の翌日から、霧原第一高校では新入生の試験が開始される。

 初日は全新入生共通の一般教養と若干の戦技要素を混ぜたペーパーテスト。

 そして二日目がそれぞれの希望方面に合わせた実技試験である。

 実技試験当日、指揮・参謀方面を希望している伊織と別れた僕と三月は霧原第一高校内の闘技場に来ていた。

 屋内に2フロアぶち抜きで作られたこの闘技場は一般の学校の50メートル走用のトラックほどの大きさはあり、それを全包囲から見下ろすように少し高めの閲覧席が用意されている。

 今僕達はC、D組の直接戦闘方面志望の生徒達と一緒に闘技場中央に集められて実技試験の説明を今回の監督官である笹川先生から受けていた。ちなみに他の2クラスはもう一つある同規模の闘技場で同じ試験を受けているらしい。

「―――もちろん分かってると思うが全員中学で学んだであろう模擬戦闘用の寸止めの戦技を使うように。事故でのヒットは仕様がないが私達教官もプロだ、全く使う気がない奴には直ぐ判別がつくからな、厳しくペナルティを課すからな。あと能力者は使用を禁止はせんが他の生徒よりもより注意を払う事」

 他にも危険を感じたらすぐに教官が止めに入ることなどを説明していく笹川先生、例年の行事な事もあってか、特に先生の方に気負いというものは感じない。まあ、この学校でこの手の戦いは日常茶飯事だもんね。

「それじゃあ一旦全員観戦席に上がれ、上がったらくじでランダムに対戦カード決めるから」

 一通りの説明を終えた笹川先生の指示に従って観戦席に闘技場の四隅にある階段から上がっていく僕ら。全員が上がったのを確認すると笹川先生の隣に控えてた若い男性教師、確か2年生の担任を持ってる赤塚弦あかつかゆずる先生が持っていた箱から二つ、無造作に生徒の名前の書かれた紙を取り出して読み上げる。

「よし、第1戦目はC組の信濃川三郎とE組の佐伯相馬の二人だ。降りてきてそこの通路の先に模擬戦用の武器庫からそれぞれ得物を持って来い」

 うん?ウチのクラスの佐伯くんって、確か…

 その呼びかけに応じたのはいかにも不良のような制服の着崩し方をした信濃川君と、一昨日の自己紹介でも一際記憶に焼きつけられてる中二病ルックスの佐伯君だった。ちなみに彼のファッション?センスは入学式の日から全くぶれていなかった…

 二人は闘技場に降り立つと信濃川君は階段と階段の間にある通路へと歩いて行ったのだが、佐伯君はそのままもう一つの通路へと向かおうとしなかった。

「おい、どうした佐伯。お前の得物、持って来なくていいのか?」

「ええ、自分はこのままが一番やりやすいので」

 佐伯君のこの発言に闘技場内がざわつく、素手で模擬戦用の非殺傷用とはいえ武装をした相手と立ち会う気とは、よっぽど格闘技に自身があるのか。

「どう思う、三月?」

「よっぽど格闘技に自信があるのか、それとも…取りあえず中二病の拗らせ過ぎは勘弁して欲しい」

「全く同感だね…」

 そうこう言っている間に信濃川君が闘技場内に戻ってくる。彼の武装は大剣、刃は勿論潰してあるし強度も強化プラスチック程度にはなっているのだろうが、少しでも重量感を再現するために芯の部分には少なからず鉄でも使われているのだろう、信濃川君が素振りをしているのを見ると分かる。あれで殴られたら単発で死ぬことは無いだろうがかなり痛そうだ。

 その信濃川君は手ぶらで待っていた佐伯君の姿を認めると、その様子によほど舐められていると感じたのか、それともその恰好から元々気にいらなかったのか、何を言わずともその息の荒さや力み具合などから分かる、明らかに怒り心頭だ。

 二人が揃ったのを確認すると二人の教師は闘技場の両端に移動。そして笹川先生の一言が開戦を告げる―――!

「それでは第一試合開始」

 その瞬間信濃川君は雄叫びをあげながら大剣を振りかぶり、闘技場の対角線上にいる佐伯君へと突貫していく。アイツ、重そうな装備しながら動きが早い!

 対する佐伯君は焦った様子も見せず、右腕の包帯を少しだけ緩め、

「唸りをあげろ、我が身に宿る呪われし焔≪ほむら≫の力、ヘル・フレイムver.1st≪ヴァージョンファースト≫」

その宣言とともに信濃川君に向けて翳した右腕、その包帯の隙間から赤い光が僅かに漏れ出し、掌から炎の渦が信濃川君目掛けて迸り、その顔の数センチ左を掠めて行く。

 思わぬ攻撃に足を止める信濃川君、さらに佐伯君は右手を左手で抱え込むと、

「うおおおお!爆ぜろダークネス・エクスプロージョンver.1st!」

 さらに信濃川君の周りの地面で起こる小規模な幾つもの爆発。予想外の連続攻撃に信濃川君はその場でへたり込んでしまう。

「そこまで!勝者、佐伯相馬!」

 ほぼ同時にかかる笹川先生の宣言。第一試合は思わぬ形で決着がついた…

「佐伯君って、彼、中二病なんじゃなくて」

「異能持ちだったんだね。けど、それとは別に彼、中二病なのは確実だと思う」

 三月、そこはセットで無くしておいてあげようよ…

 まさかの衝撃の結末。

 そして次回、闘争世界のFreiheit第六話「模擬戦闘Ⅰ」

 次々と参戦する主要登場人物、その実力や如何に―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ