22話 魔力形成
明けましておめでとうございます!
今年は辰年ですね。
今年もよろしくお願いします!
それでは本編をどうぞ!
魔力で形を作るとは一体どういう事なのだろうか。リュウ含め生徒達が疑問に思っていると本日の担当教師の一匹であるイカリが全員に声をかけた。
「はーい注目!!!」
イカリの声が体育館中に響き渡るとナギサが軽く咳払いをしながら生徒達に伝えた。
「今日やるのは一般的に魔力形成と呼ばれる、魔力を使って形を作る練習です。ネコなどの外敵から身を守る際、仲間に信号を送ったり、自分の分身を作って身代わりにしたり、上級者は武器を作ったり反撃手段に用いたりします。今回、みなさんは授業でやる初めての魔力形成なので一番基本的な丸や三角、四角を作ってみましょう。もしうまく出来たら、先生、最後に魔力じゃんけんっていう遊びも教えちゃいます」
遊びというワードに反応して一瞬生徒達がざわつくがイカリのものすごい形相に怯んだ生徒達はすぐに静まりかえった。ナギサが続ける。
「それでは初めに先ほど作ったペアと教え合って一緒に丸を作ってみてください」
「まずはやってみて、無理そうならコツを教えてやるからな」
イカリの発言を皮切りに各地で各グループが思い思いの丸や球体を作りだした。
「出来た!」
ユキはすぐにコツを掴んだのか、手のひらより少し大きい程度の白い球体を作り出している。
「僕だって」
対してリュウも早速丸の形を作ろうとしたが、魔力のコントロールがうまくいかないのか、どうしてもいがいがとした栗状の球体が出来てしまった。
「抑え込むんじゃなくてちょっと出すみたいにやってみて!」
それを見兼ねたユキがユキなりのアドバイスをする。リュウは言われるがままにやってみるもののイガの数が数本減るだけで特に変化がなかった。
「お前、こんなことも出来ないの?俺はもう片手でも出来るもんね」
苦戦していると、いつのまにかルークと組んでいたアカシがユキの方をチラチラと見ながらリュウの方にやってきた。どうやら先ほどユキとペアが組めなかったからか、リュウに対抗意識を燃やしているようだ。
アカシはこれが証拠だと言わんばかりに片方の手で自身の魔力をこめた赤い球体を作りだすと、リュウに見せびらかした。
アカシの後ろでは、ルークが緑色の魔力で円を描き小さくガッツポーズをしている。
焦ったリュウが周りをみわたすと、どうやら丸、もしくは球体を作り出せていないのは自分だけのようで、リュウは途端に恥ずかしくなった。
「ちょっと出すだけ、押さえ込まない」
しかし、恥ずかしさより悔しさが勝ったのかリュウは気を取り直して集中すると、先ほどのユキのアドバイスを思い出しながら球体を作りはじめた。
目を瞑ってイメージをする。抑え込むことはせずに解放して少しずつ。それから。
「リュウ君、ストップ!」
すると、慌てた様子でナギサが急にリュウに声をかけた。しかし、その声にびっくりして集中力を無くしたリュウが魔力形成を中断すると、体育館の天井から大量の水が降ってきた。
バシャーン、という音と共に体育館中の全ネズミが水浸しになる。突然の水にリュウ達生徒全員が流されて溺れかけていると、いち早く反応したイカリが体育館のドアをこじ開けた。
まるで生きた水龍のように渦を巻いて出口から大量の水が流れ出す。何匹かの生徒も同時に押し流され、リュウも水に飲み込まれるように流されていった。
生徒の中には溺れかけたものや気を失いかけたものもいたが、幸いなことに死亡者や怪我人はゼロだった。
水が全て流れきると、残ったのは入り口近くに流された生徒と運よく流されずにその場に止まることの出来た水属性の生徒たち、イカリとナギサ。そして何故か体育館の中央にいたリュウだった。
状況が読めないリュウはとりあえずイカリとナギサのところに向かおうとしたが、途中から生徒全員に見られていることに気がついた。
恐怖の目、好奇の目、攻撃的な目だ。
リュウがイカリとナギサのもとに着くと、まるで信じられないものを見たように目を丸くしたナギサが我に返ってリュウに尋ねた。
「今のは、リュウ君がやったのよね?」
自信が持てないのか、半信半疑にリュウに確認をとる。リュウは改めて体育館を見渡すと、流れきらなかった水が水溜りになってそこら中に溜まり、体毛がびしょ濡れになった同級生のネズミ達が身体をブルブルと降って水気を切っていた。
「多分、はい」
リュウは自分のやったことに確信を持てなかったが、何かリミッターのようなものが解除されると同時に大量の魔力が消費された感覚を感じていたのでナギサの質問に肯定した。
一瞬体育館中が静まり返り、そのあと天井に残った水滴がポタリと水たまりの中に落ちていく音だけが響き渡る。
ナギサは何かをリュウに告げようとするが、冷静さを保っていたイカリが彼女を遮るとそのまま体育館中に響き渡る声で生徒全員に告げた。
「体育館がびしょ濡れである以上、これ以上の継続は火属性の魔力を持つ子達を初め、水以外の属性を持つ子達の妨げになると判断して本日の魔力形成の授業及び訓練は中止とする。各自、風邪をひかないように身体を充分に乾かした後、次の講義に向かうように。では解散」
その言葉に従い各生徒が体育館を出ようとする。リュウもそれに倣って出て行こうとすると、イカリが
「ただし君は残るように」
と釘を刺すようにリュウに告げた。
「また後でね、リュウ君」
「教室で待ってるよ」
「俺との決着はまた今度な」
ユキ、ルーク、アカシの順に声をかけ、三匹がそのまま出ていくと、体育館に残ったのはリュウとイカリ、そしてナギサの三匹になった。
「リュウ君、あなたを職員室と念のために保健室に連れていくわ、いいわね?」
体育館のドアを閉めた後にナギサにそう言われ、縦に首を振るリュウ。
「それじゃあナギサ先生はリュウ君を頼みます。こっちの方で体育館の掃除はしておきますんで」
イカリがそう告げるとどこから取り出したのかモップを片手に体育館の奥に消えていった。
「それじゃあリュウ君、行きましょう」
リュウはナギサに促されるままに体育館を出ると、ナギサもその後を追った。
体育館を出る間際、館内の惨状をもう一度目視したナギサはボソリと呟いた。
「群青色のハツカネズミ、リュウ君。彼は一体何者なの?」
ナギサの疑問はドアの閉まる音と天井を掃除し出したイカリのモップの音によってかき消された。
そろそろ話を動かしたいです笑




