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干支戦記~十二支の戦い〜  作者: 寺子屋 佐助
第一章 幼児・学園編
15/25

14話 初めての座学

明けましておめでとうございます。

更新頻度が年一と非常に遅いですが今年もよろしくお願いします。

 リュウ達が教科書を貰って早くも一週間。群青色のハツカネズミを含む生徒達は初となる属性別の座学の授業を受けていた。

「はい、それでは皆さん改めてはじめまして。座学担当のナギサです」

 湖畔にまっすぐに垂らした釣り糸のように張りのある声で軽く自己紹介をするナギサ。一年六組の担任だということを知っている者を除いて、ほとんどが顔を合わせただけの状態だったからだろう。ナギサは教卓の上に乗った名札を強調しながらニコリと笑うと、挨拶代わりに教科書を開いてある一節を朗読した。

 著者自身が綴った前書きは、ある程度教科書を読んでいた子供達には読み慣れたもので、生徒達はこぞって手をあげながら自分が知っていることをアピールしはじめた。

 さらりと読み通したナギサは生徒達の意欲に笑みを深めると、一旦生徒達を制して自ら発言した。

「皆さんも知っている通りこれは、【しずくの書】の冒頭部分、前書きのところに載せられた著者からのメッセージです」

 生徒の視線を一気に浴びたナギサはよく通る声で話を続ける。

「すでに魔力を練る授業で習ったとは思いますが、今日はそれを応用して魔力に色を塗る作業を説明します」

 黒板に白のチョークで鉢を描き、その隣に簡易化されたジョウロの絵を加えるナギサ。

 生徒達が興味津々に黒板を直視すると、ナギサは自らの手に水の魔力による半透明の小鉢とジョウロを作りあげながら実践をはじめた。

「まずはわかりやすく絵とモデルを使いますね」

 そう言って教卓の上で鉢とジョウロを高く掲げて水を満タンになるまで注いでいく。トクトクと小気味のいい音を鳴らし充分に満たされた鉢を生徒達に見せると、ナギサはそれを教卓の上に起きながら解説をつけていった。

「この鉢があなた達のからだだとします。そして中に入っている水があなた達の魔力です。そしてここに空っぽのジョウロがあります。これは魔力を出すのに必要な道具だと思ってください。さぁ、皆さんはどうやって魔力をからだの中から出しますか?」

「「はい!」」

 ナギサが質問をすると数匹が挙手をした。真っ直ぐに天に向かって自己主張をする者、自信なさげに小さく手を伸ばす者、勢い余って両手を使う者、などそれぞれの個性が溢れる生徒の手をじっくり見るナギサ。やがてとある生徒のところで視線を止めると、その彼の発言を認めた。

「じゃあ、リュウ君」

 自分が最初に名指しされたことに多少びっくりしたものの、リュウはわずかにもじもじとした様子で床を見つめるとゆっくりと立ち上がって発言をした。

「鉢の水を直接ジョウロに入れてそこから出します」

 恥ずかしさを振り払い堂々と丁寧に答えたリュウ。初めての科目にも関わらずきちんと答えた彼にニっと笑みを浮かべたナギサは称賛をおくる。

「その通りです。よく出来ましたね。じゃあこの無色透明の魔力に水属性の青色をどう加えるのか、分かりますか?」

 一旦リュウを着席させ、再び全員を見つめ直したナギサはいよいよ本題となる属性付加、すなわち魔力に色を加える作業について尋ねると、教室はその瞬間、一つの会議室へと生まれ変わった。

「ジョウロの部分に青色の絵の具を入れるとか?」

「そしたら絵の具が無くなっちゃうよ」

「からだを青く塗ればいいんだよ」

「確かボディペイントって言うと思うよ」

「なら青い服を着れば……」

「それはただのオシャレだよ」

 意見が飛び交い収束がつかなくなっていくにも関わらず、ざっくばらんで思ったことをなんでも告げる子供たちの真剣な眼差しにクスリと思わず笑みをこぼす教師。ナギサは隅の方で誰に顔を向ければいいのか分からずてんてこ舞いになっている生徒の側にしゃがみ込み、一旦落ち着くように声をかけると、今度は手をパンパンと合わせながら生徒の注目を浴びるように立ち上がった。

「さぁ、そろそろ答え合わせの時間にしましょう。じゃあまずはホトリ君の答えを聞いてみましょう」

 どこかのんびりとした黄土色の毛をした少年は他の生徒達の意欲に若干目を回していたのか焦点が定まっていない。しかし、ゆっくりと立ち直った彼はこれまた牛のようにやおら口を開くと緊張感を感じさせない鈍感そうな声で自分の意見を口にした。

「最初から青い魔力にして出せばいいと思います。だってジョウロに何をしても意味ないから」

 どこか当てずっぽうだが、遠からずといったところだろうか。ホトリの着眼点に半分正解の三角を渡したナギサは、改めて質問の真骨頂であるどうやって果たすかについて彼らに明かした。

「そうですね。ジョウロに何か細工をして出す方法もあることはありますが、今は魔力をどう青くするかです。それについてはさっきから皆が話題にあげている青い絵の具を使って説明しましょう」

 名目上の青い絵の具こと魔力を鉢の中に注ぎ入れるナギサ。はたから見ると絵の具の無駄使いだがしかし、鉢は突然青く発光すると、そこからまるでシャボン玉のようにふわふわとした泡に包まれてそのまま一気に弾けた。

 シャボン玉の中から現れたのはすっかり青く染まった魔力と相変わらずの鉢、そしてジョウロ。

「まずはからだの中にある魔力に水の中に砂糖を入れるイメージで水属性を付加します。例えどんなに薄くてもその魔力は水属性になるので難しくはありませんね」

 ナギサが青い絵の具を入れる度に濃くなっていく魔力。しかし今度はその青く着色された部分を意識的に集めたナギサはその濃度が高い魔力の部分をジョウロの中に注ぎ入れた。

「一番難しくなるのはここ。その水属性が付加された魔力を使用する際です。見てのとおり薄すぎる属性付加では水属性の魔法を放てるだけの量が足りなくなります。不十分なものは魔法にならないと無色魔法の授業で習いましたね?さぁ、細かな説明は一旦終わらせて今度はイカリ先生のところへ向かいましょう。実践の時間です」

 ひととおりのやり方を見せおえたナギサは子供たちの集中力がこれ以上保たないと気がついたのだろう。予定の時間より早めに区切りをつけたナギサは次の授業である実践練習のために必要なものを生徒に準備させる。その後ほど用意が出来た者から廊下に並び、彼らはナギサ引率で練習室に向かった。

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