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まさかの転生物語  作者:
番外編
47/53

堕ちた竜 ―別視点―

堕ちた竜、滅びと再生の部分のエーデルフィア視点。

かなり暗めの感情になってるので、閲覧注意。


 いきなり、感情が抑えられなくなった。感情が抑えられなくて、いきなり魔力が体中を駆け巡った。

 そして気が付いたら私の周りを火柱が囲み、そして、私は漆黒の世界に叩き落された。


 やめて。やめて。やめて。


 私は、お父さんたちを傷つけたくはない。なのに、私の体は勝手に動き、お父さんたちに容赦なく攻撃を加える。そのうち、ドラゴン(仲間)たちが増えたが、私の体は何も気にせずに炎を飛ばし続ける。

 どうして。どうして私の体は言うことを聞かないの? 傷つけたくない、やめて。


「いかん! 堕ちるぞ!! フォンシュベル! 親として、エーデルフィアを救ってやれ! これ以上苦しむ前に、殺すんだ!」

「い………やだ。殺したくない、死なせたくない! 何か、ほかに方法はないのか、長老!?」


 そうしていると、大じいちゃんが焦ったように告げ、お父さんがそれに泣きながら反論する。

 でも、お父さん。これが止められないものならば、もう殺して。これ以上、傷つけさせないで。もう、これ以上傷つけたくないんだ。お願い。

 そう思っていると、涙がこぼれているのが分かった。体は動かせないのに、涙は出るらしい。

 お願い、お父さん。殺して。お願いだから。殺して。


「エーデルフィア。お父さんが、今助けてやろうな。解放、してやる。苦しませない。すぐに楽にしてやるから」

「フォンシュベル、手伝うわ。エーデルフィア、お母さんも、一緒よ。お父さんと一緒に、エーデルフィアを解放してあげるからね。………ゴメンね、私の愛しい子」


 そうしていると、お父さんとお母さんが泣きながら私にそう告げる。うん、殺して。これ以上、傷つけさせないで。

 そう思っているのに、私の体は勝手に動き、お父さんたちを攻撃する。お願い、やめて。勝手に動かないで。お父さんたちを傷つけないで。

 ボロボロと涙をこぼしながらも、私の体は勝手に動く。今までずっと炎を放っていたものを、突然尻尾でお父さんたちを吹き飛ばした。

 嫌だ! お父さん、お母さん!

 涙で前が見えない。それなのに、私の体はお父さんたちを攻撃し続ける。


 嫌だ! もう、嫌だ! 誰でもいい、殺してくれ! これ以上、傷つけさせないで!


 そう思っていると、不意にお父さんが私の視界から消える。

 そして気が付くと、私の首にはお父さんの持っていた剣が突き刺さり、そこから血が噴水のように飛び出していた。


 ああ、これで楽になれる。

 これで、誰も傷つけなくて済む。

 これで、これで―――――



『じゃあ、この身体、もらってもいーいぃ?』



 意識が闇に沈んでいく中で、幼い子供のような、高い声が耳に届いた。


 その後、気が付いたら私はまた、仲間たちを攻撃していた。

 どうして。私は死んだはずなのに。お父さんが、殺してくれたはずなのに。

 だが、私の目には、私に攻撃されて燃える仲間たち、吹き飛ばされる仲間たちが映る。どうして。どうして。

 もう、嫌なのに。もう、傷つけたくなんか、ないのに。どうして、まだ傷つけなくちゃいけないの?


『だって、僕はこの世界が大嫌いなんだ。だから、ぜーんぶ壊すんだよ』


 そう思っていると、不意に声が届く。それは、私の意識が闇に沈む前に届いた声と同じ、高い、柔らかい子供の声。

 その子供はにこにこと笑いながら、容赦なく破壊行動を続けている。――――私のその体を使って。


『僕はこの世界が大嫌いだから、君の体を使って、全部壊すんだよ。だから、君は黙ってみてなよ』


 ――――なん、だって? 私の体で、全部壊すだと? この、世界を? この美しい、世界を?


 ――――させない、そんなこと、させるもんか!!


『あ、こら! くそっ、黙れっ!!』

「お………にい…………ちゃ……」


 その強い意志のおかげか、今、わずかながらも私の意思で体が動かせる。その間に、私の意見を、願いを、頼みを。

 お願いだよ、お兄ちゃん。聞き届けて、私の願いを。


 ――――殺して。


『てめぇ! もうこの身体は僕ンだ! 引っ込め!』

「こ………ろして、早く! 今のうちに、………はや……く!!」


 くそう、この少年の意思が強い。急がなくちゃ。早く、殺してもらわなくちゃ。じゃないと、また、傷つける。

 ―――――だから。


「おに……ちゃん、殺してっ!!!」


 早く。早く。私が私でいられる間に、早く。


『ちくしょう! 邪魔するなら、消えろ、くそがぁっ!』


 私というものが残っている間に、早く。お兄ちゃん。

 少年が手に光を集める。そして、その光をこちらに放ってくる。あれを受けると危ない、本能はそれを訴えているのに、体は動かない。


 ――――あの光が届く寸前、私の意識は、再び闇に沈んでいった。

 ああ、お兄ちゃんが私を殺してくれたのだろうか。そうなら、いいな。これ以上、私の体が誰かを傷つけなければ、それで――――


 ねえ、お父さん、お母さん、カーヴお兄ちゃん、ティアお姉ちゃん、サーファお兄ちゃん。


 ――――私、幸せだったよ。お父さんとお母さんの子供に生まれてよかった。お兄ちゃんたちと兄弟でいられてよかった。

 ―――――ゴメンね。馬鹿な娘でゴメン。馬鹿な妹でゴメン。

 堕竜になんて、なっちゃってゴメン。


 大好きだよ。大好きだから、どうか、幸せに。

 堕竜になった馬鹿()のことなんて忘れて、幸せになってください―――


 ねえ、ウェル。私も今からそっちに行くよ? そしたら、またいろいろ話そうね。そして、今度こそ、普通に名前で呼び合おう―――――



そしてこの後、エーデルフィアは

赤ん坊に戻って、フォンシュベルたちのもとに戻ります。


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