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まさかの転生物語  作者:
挿話
36/53

初めて会いました


 今日、私たちはみんなでお母さんのお父さんとお母さん、じいちゃんとばあちゃんに会いに行く。

 じいちゃんとばあちゃんは、私たちが住んでいる山からは随分と遠い場所に住んでいるらしく、私やサーファお兄ちゃん、ティアお姉ちゃんはカーヴお兄ちゃんの背に、お母さんはお父さんの背に乗ってじいちゃんとばあちゃんのところへ向かう。


「ティアお姉ちゃん、お母さんのじいちゃんとばあちゃんって、優しい?」

「うん。あんまり会わないから、その分余計優しいね。エーデルフィアは初めて会うから、可愛がられると思うよ」

「まあ、サーファも可愛がられるだろ。最後に会ったとき、お前まだ小さかったし」

「ね、カーヴお兄ちゃん。お兄ちゃんたちが最後にじいちゃんたちに会ったのって、いつ?」

「サーファが成人したばっかりの頃かな」


 おお、すっごい昔だ! サーファお兄ちゃんが成人したばっかりって、どれだけ昔なのさ。

 それにしても、楽しみ。すっごい楽しみ。ふふふ、顔がにやけてきちゃうぜ。


「エーデルフィア、そんなに楽しみなの? かわいいなぁ、もう」

「うん! サーファお兄ちゃんは楽しみじゃないの?」

「ま、まあ楽しみだけどね? あのじいちゃんとばあちゃんはいじめたりしないし」

「そうよね、そこが一番大きいわよね、サーファ、お兄ちゃん」


 うん、お母さん側のじいちゃんとばあちゃんは、正真正銘孫を可愛がるいい祖父母っていうわけだね。楽しみ!!


 そうしてハイテンション状態でお兄ちゃんの背に乗り、飛び続ける。


「ねえ、じいちゃんとばあちゃんのところには、いつ頃つくの?」

「精一杯飛んで、今晩中につけるかどうかっていうところかな」

「カーヴお兄ちゃんで、今晩中につくかどうかっていうことは、かなり遠いんだね」

「ああ」


 むう、精一杯飛んで今晩中ということは、途中で休憩を挟んだりするだろうから、実質、到着は明日だろうか。

 …………そう、考えたからかなぁ。眠たくなってきたよ。むう、これは私がまだ子供だからだろうか。そう思いつつ、横にいるお姉ちゃんにもたれ掛る。


「うん? 眠たくなった?」

「うん………」


 て言うか私、よく高速移動してるお兄ちゃんの背の上で眠たくなれるな!? でも、眠たいのは事実なので、寝よう。子供上等。私はまだ子供だもん! ………少なくともこの身体は。

 そうしていると、私を抱き寄せたお姉ちゃんは、そのまま私の背をぽんぽんと優しく叩いてくれた。


「ほら、子供は素直に、眠いなら寝ちゃえ」

「うん………」

「寝ないと大きくなれないよ? いい子だから寝ちゃえ。寝てる間についたら起こしてあげるから」

「うん、ありがとおねーちゃん。大好き」


 お? 眠たいからか、素直に普段は言わないような言葉が口から出てくる。それに、お姉ちゃんもびっくりだ。


「眠たいんだね、エーデルフィア。お姉ちゃんもエーデルフィアのこと、大好きだからね」


 でも、それでも私の頭を撫でながら好きと返してくれるお姉ちゃん。ホント大好き。最強的に好き。


「だからほら、寝てもいいよ。いっぱい寝て、大きくなろうね」


 そしてそこで、私の意識は途切れた。



「エーデルフィア、起きて。今晩はここで休むよ。ほら、ご飯食べよう。お腹すいたでしょう?」

「んみ?」

「よく寝てたね。ほら、起きてご飯食べよ。お父さんがその辺で大きいの仕留めてきたよ。調理道具があんまりないから簡単なのしか作れなかったけど、って。でも、お父さんが作ったんだからおいしいよ」


 むむむむむー? ぐっすりと眠っていると、突然お姉ちゃんに起こされる。うん? 今晩はここで休む? …………ここ、どこ?

 で、ご飯? 今日はお父さんが狩りに行ったの? 簡単なの? でも、お父さんのご飯ならお姉ちゃんの言うとおり、美味しいはず!

 …………起きなくちゃって、分かってるんだけどなぁ。でも、まだ眠たいのですよ。


「こーら、起きなさいエーデルフィア。ご飯食べないと、夜中にお腹空いて目が覚めるでしょ。ほら」

「って、あれ? おかーさん。抱っこ」


 そうしていると、お母さんが私の頬に触れたりしてくるので、ついでに抱っこをせがんでみた。すると、苦笑したお母さんは、そのお願いを聞き入れ、抱き上げてくれた。


「今日のエーデルフィアは甘えん坊ね。ほら、お母さんの膝の上に来ていいからね」

「うん。お母さん大好きー」

「………本当に、今日は甘えん坊ね。お母さんも、エーデルフィア大好きよ。だから、ご飯食べようね」

「うん」


 ちなみに、私がお母さんに大好きと告げた瞬間にお父さんが悲しそうにしていたが、無視。今はお母さんに甘えたいのです。

 なので、お母さんの膝の上にぺたりと座り、お父さんの作ったご飯をはむはむと食べる。おいしいです。


「おいしいか?」

「うん!」


 そうしていると、お父さんが尋ねていたので、元気よく返事。お父さん嬉しそうです。

 でも、そんなお父さんをスルーして、はむはむと食べ続ける。……お兄ちゃんたちもひたすら食べてるし。


 そして食べた後は、おしゃべりタイムである。いっぱい寝たから、元気なのだよ、私は! カーヴお兄ちゃんは疲れたみたいで、もう寝ちゃったけど。


「お母さん、じいちゃんとばあちゃんって、どんな竜?」

「うん? 二人とも優しくて、叱るところはきっちり叱るいい両親よ、私からしたらね。エーデルフィアたちからすれば、優しいおじいちゃんとおばあちゃんだろうね」

「ホント!? 楽しみ!!」


 優しいじいちゃんばあちゃん、楽しみだ。……まあ、お父さんとお母さん、お兄ちゃんたちも優しいけど、それとは別物だよね。

 と、こうやって話をしていると、いっぱい寝た私でも、そろそろ眠たくなってくる。


「お休み、エーデルフィア」


 そしてそれはすぐにお母さんにバレて、抱き寄せられて、よしよしと撫でられた。うん、睡魔を呼び込みました。ぐう。


 そして夜が明けて、私たちは出発する。

 今日は、カーヴお兄ちゃんがまだ疲れが抜けていないとのことだったので、皆でお父さんの背に乗った。私はお母さんにべったりである。

 だって、昨日甘えてたら、なんか離れがたくなっちゃったんだよね。だいぶ大きくなってからは、お母さんよりもお兄ちゃんたちと一緒にいる時間のほうが多かったしさ。だから今、目いっぱい甘えたいのだ。


「エーデルフィアは、今日は随分お母さんにべったりだね。俺、ちょっと悲しいんだけど」

「安心しろ、サーファ。俺も悲しい。エーデルフィア、少しはこっちに来てくれてもいいんじゃないか?」

「やー。今日はお母さんといたいもん」

「…………俺、昨日はずっと頑張って飛び続けてたのに、エーデルフィアは来てくれないの?」

「う! で、でもお母さんと………」


 うう。今日はお母さんといたい、でもお兄ちゃんが……。あわ、あわわわわ。


「はは、エーデルフィアは可愛いな。困らせてごめんね」

「ふえ?」

「お母さんのところにいてもいいよ。困らせてゴメン。エーデルフィアは可愛いな」


 え? 結局、どういうこと? 私は、お母さんのところにいてもいいの? そんな意味を込めて、お母さんを見上げる。


「そんな目で見ないの。もう、カーヴったら、エーデルフィアを困らせないの」

「うん。ゴメンって。ね、エーデルフィア?」

「ふえ?」

「お母さんのとこにいていいんだよ、エーデルフィア。あ、でも後でお父さんにも甘えないと、拗ねるよ」


 …………あーうん、それは納得。お父さんなら拗ねそうだ。じゃあ、じいちゃんとばあちゃんのところに行って、じいちゃんたちに目いっぱい甘えた後はお父さんに甘えよう。

 そしてもちろん今は、お母さんから離れない。べったり。


「一度、休憩に降りるぞ」


 そうしていると、突然お父さんからそんな声がかかり、降下し始めた。


「どうしたの、フォンシュベル?」

「少し下に降りて、エーデルフィアを愛でたいだけだ。ずるいぞお前たち」


 ………休憩の理由は、単純に私がお母さんにべったりと引っ付いてるのを羨ましがっただけみたいです。


「さあおいで、エーデルフィア。可愛がらせてくれ」


 そして降りてすぐに人態を取ったお父さんに呼ばれたが、無視。お母さんにべったりと引っ付いたままでいる。


「お、おい。エーデルフィア?」

「や。おかーさんといるの」

「す、少しだけ! な?」

「…………分かった」


 だが、あまりにもお父さんが切なげに呼ぶので、少しだけ、お父さんの所へ行くことにした。ら、思い切り抱きしめられた。


「ああ! 可愛い! 可愛いなエーデルフィアは」

「……お父さんが壊れた?」

「うん、壊れたね」

「壊れたわ」

「壊れてるな」


 結果、お父さんが壊れていると判断すると、見事にお兄ちゃんたちからの同意も得られる。壊れてるお父さんは嫌。というわけで、逃走を図るも、がっちり抱きしめられていて、失敗。頭突きをかまして、怯んだすきに逃げようとするも、華麗に避けられて失敗。今度は鳩尾に肘を入れるも、ダメージゼロ。睨むようにお父さんを見ると、すっごい笑顔だった。むかつく。


「お父さん、離してっ!」

「もう少しだ。もう少しだけいいだろう?」

「いーやー! 離してー!」


 結果、私が何をしても逃れられないことは分かったので、お父さんを説得することにした。というか、本気で離せ。


「おにーちゃん、助けて」

「エーデルフィアに嫌われるぞ」


 その後、カーヴお兄ちゃんに助けを求めると、その一言で解決した。あっさりとお父さんからは解放された。後は、また捕まらないようにお母さんのほうへ逃走。


「よしよし。もう、フォンシュベル? いくらずっと飛んでて疲れてるからって、エーデルフィアが嫌がることはダメでしょう?」

「だ、だが………」

「可愛がりたいのは分かるけどね? まだ小さいし」

「だろう! 疲れてるんだよー、癒されたいんだよー。エーデルフィア、来てくれないか?」

「や!」


 さっき思いっきり捕まったから嫌! ぜーったいに嫌!


「だんこきょひ!」


 お母さん助けて!!!! お父さん怖い!!


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