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まさかの転生物語  作者:
子供ドラゴン
35/53

山の頂

 お父さん、ドラゴンの姿が怖いです。お姉ちゃんに抱っこしてもらって、お父さんのドラゴンの姿は見えないように、お姉ちゃんの胸にしっかりと顔を埋めているのにお父さんのドラゴンの気配? を感じて怖い。


「うう、もう少し慣れてほしいとお父さんは思うぞ」

「もうしばらくは無理ー! お父さんの竜態怖いよ」


 だって、人態を取るようになると、お父さんの大きさが余計際立つんだよ!? まぁ、それはお父さんだけじゃないけど、お父さんが一番大きいから怖い。

 あ、お母さんは平気になった。だって、今、お母さんとカーヴお兄ちゃん、そんなに大きさに差がないもん。カーヴお兄ちゃんも大きくなりました。


「エイシェリナの竜態には恐怖も何も感じなくなっているのに、お父さんはまだダメなのか」

「フォンシュベルは大きいもの。それに、カーヴァンキスたちも、最初は結構ビクビクしてなかったっけ?」

「………うん、ゴメン。俺も昔は怖かった。―――踏み潰されそうで」

「私も同意」

「……ごめん、俺も」


 うん、やっぱりみんな同じだよね! よかった、仲間がいたよ。


「それも普通よ。だって、フォンシュベルは普通のドラゴンよりも大きいし、魔力も多いから、本能的に恐怖を感じるの。特に、小さいうちは余計ね」


 お母さんはそう言って、私のほうを見て額を軽く小突く。しかし、魔力にも恐れるものなんだねー、小さいドラゴンって。

 だから、お父さんのドラゴンの姿は嫌。せめてお母さんかカーヴお兄ちゃんで!!


「んー、でも、カーヴだと遅いからなー。エイシェリナだと………うん」

「フォンシュベル、あなた、雄が雌の背中の上に乗ろうなんて、考えてないわよね?」

「考えてませんすみません」

「そうよね、フォンシュベルは雄の中の雄だものね。そんな、考えないわよね?」


 お、お母さん怖い。私は必死でお姉ちゃんの背中に隠れる。急いで行動し、隠れる……が、こけた。まぁ、正確には完全に転ぶ前にそばにいたサーファお兄ちゃんが支えてくれたんだけどさ。


「焦らなくてもいいよ、ゆっくり動いてね。……抱っこしていい?」

「うー、サーファおにいちゃーん。お母さんが怖いぃー」

「うん、怖いねー。でも、これ常識。雄が雌に乗るなんて、言語道断」

「そなの?」

「普通に考えてごらん、エーデルフィア? 雄は、雌より強いんだよ? その強い雄が、弱い雌に乗るなんてどうだい?」

「変!」


 考えてみればそうだよね。人間で考えたら、女の人が男の人をおんぶとか抱っこしてるようなものだよね、うん。


「そして、立派な父親が子供の背に乗るのも、おかしいよね?」

「うん」

「だから、全員で行くならば、お父さんの背に乗るしか選択肢は無い。若しくは、別れて行くか、かな」

「別れてから行くのは、お父さんは反対だぞ! いくらカーヴたちが魔法慣れしているとは言えど、危険がないとは言い切れないだろう!」


 あ、お父さんが過保護入った。過保護スイッチ入りましたー。


「大丈夫だよ。俺やティアで、サーファとエーデルフィアくらい守れる」

「そのオースティアとお前がやられたらどうする!?」

「そう簡単にやられねえって。なぁ、ティア?」

「そうね。私とお兄ちゃんなら、エーデルフィアだけなら絶対に守れるわ。……サーファはちょっと微妙だけど、自分の身くらい守れるでしょ」

「おう」


 お、お兄ちゃんたちの説得にお父さんが揺らいできた。ちなみに、お母さんはニコニコと微笑みながら傍観。お父さんの味方はしないんだね。

 それを考えてみると、お父さんが哀れというか何と言うか。


「だ、だがやはり!」

「あーはいはい、ティアたちは俺の背中に乗れなー。後、お父さんとお母さんでね。さー行くぞー。お父さんが騒ぎ出す前に行こうなー」


 お兄ちゃんが先手必勝と言わんばかりに私たちを捕まえ、外へと向かう。それをすぐさまお父さんが追いかけようとしたのだが、それはお母さんが止めた。


「家で一番強いドラゴンのあなたが、子供の背に乗るつもり?」


 そのときのお母さんの表情は鬼のように怖かったと、お父さんは後に語る。



「あぁ! 全員無事か? 怪我は無いか? 大丈夫か?」


 カーヴお兄ちゃんの背に乗って、ようやくついた山の頂上。そこでは先に着いたお父さんが心配そうな表情をしながら立っていた。

 そして、私たちが降りると、お父さんはすぐにこちらへと駆け寄る。お父さん、心配しすぎ。


「お父さんは心配しすぎなんだよ、大丈夫だって。行く前にも言ったろ?」

「ホントよね。大体、この山は魔物なんて殆どいないじゃない」

「まったくだ。なぁ、エーデルフィア、安全だったよな」

「うん、何もなかったよ?」


 まったく、本当にお父さんたら心配しすぎなんだから。どこまで心配するんだか。


「心配なんて、して困るものじゃないだろう!」

「フォンシュベル、過干渉は嫌われるわよ?」

「なにおう!?」

「あなたは子供たちに干渉しすぎ。カーヴ、ティアたちを連れてあっちに行っててくれる? ちょっとお母さんは、お父さんに話があるから」

「ひぃっ!」


 あ、これはお母さん怒ってる。お父さん怒られるフラグだ。うん、お兄ちゃんたち早くここ離れようよ。お母さん、怖いなぁ?


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ここ、早く離れようよ」

「そうね。お兄ちゃん、サーファ、早く行こ。エーデルフィア、手、繋ごうね」

「うん!」

「あぁっ! 行くな、行かないでくれっ!!」


 お父さんが助けを求めてるけど、これで行かなかったら私たちまでお母さんの被害に遭うので勘弁してください。私たちは自分の身が一番可愛い。


「お、おい! お前たち、父を見捨てるなぁぁぁああ!!」


 ゴメン、お父さん。大人しくお父さん一人がお母さんに怒られてください。



 しばらくして戻ったら、そこでは一人しょんぼりしているお父さんと、何故かキラキラ輝いているお母さんがいた。


「あら、ちょうどいいタイミングで戻ってきたじゃない」

「……お父さん、大丈夫か?」

「聞くな、聞いてくれるな……」


 キラキラ輝いたままの笑顔で言うお母さんと、お父さんを心配するお兄ちゃんたち、そして、なんか泣きそうなお父さん。……何だかシュール。


「お父さんのことは気にしなくても大丈夫よ、フォンシュベルは強いんだから。だからほら、みんなこっちにいらっしゃい。一緒に景色、見ましょ」


 ほ、本当に大丈夫なのかな? でも、お父さんを一番知ってるのはお母さんだし、ここはお母さんの言葉に従うべき?

 ―――まぁ、それはどこかにおいやって、頂上に来たらこれをやらなくちゃいけませんね! これはいくつになっても変えませんよ!!


「やっほーっ!!」


 やっほー、やっほー、やっほー。私の叫びに山びこが答える。うん、やっぱり頂上ではこうやって叫ばなくちゃね。

 ちなみに、叫び終わった瞬間に、お姉ちゃんに抱っこしてもらっていた私はいつの間にかお母さんの腕の中に移動していました。


「相変わらず、エーデルフィアったら可愛い!」

「お母さんずるい! 私が抱いてたのに!!」

「うーん、確かにエーデルフィアを抱っこしてるオースティアも可愛いんだけどね」


 ってか、お母さん離して! 足が宙に浮いてる! ぶらんぶらんで不安定だから気持ち悪いんだよ!!

 でも、お母さんは離してくれない。結果、―――酔った、うえ。

 うーん、ドラゴンも普通に酔うんだねー、あははー。って、現実逃避したくなるくらいに気持ち悪い。うえ。


「……エーデルフィア、どうかした? 随分と静かだけど」


 そうしていると、お母さんとお姉ちゃんの言い合いを静観していたお兄ちゃんたちが静かになった私に気づき、近寄ってくる。


「って、顔色悪くない? どうしたの?」

「本当だ。お母さん、一旦エーデルフィア下ろして。エーデルフィア、少しここに座って休もうか」

「うん。――――気持ち悪い」


 うえぇ。本気で吐きそうだけど、吐かない、吐けない。それが余計気持ち悪い。

 お母さんに下ろしてもらった私は、フラフラしながら休もうと言ったカーヴお兄ちゃんの下へ向かい、そして、倒れこむように胸に飛び込んだ。


「ちょ! 大丈夫じゃないじゃないか。調子が悪いなら早く言わなくちゃ」

「だって、気持ち悪くなったの、さっき……だもん……」


 うー、気持ち悪いせいか、呼吸まで少し辛くなってきた。


「エーデルフィア、少しお休み? 辛いなら眠ったほうが楽になる。だから、ね?」


 そうしていると、私を抱いたままでいてくれるカーヴお兄ちゃんが私の頭を撫で、そして背中を一定のテンポで叩きながら告げる。

 うん、その一定のテンポ、気持ちよくて眠れそうだよ……。気持ち悪いのも、飛んで行っちゃいそうだ―――。


 *****


「さて、お母さん?」

「あ、あら? 怖いわよ、カーヴ? そんなところは私似?」

「そんなのどうでもいいよ。何で一番そばにいたお母さんが気づかないのさ。可哀想に、辛そうじゃないか」


 エーデルフィアがカーヴァンキスの腕の中で眠ると、抱いているエーデルフィアを優しく下ろし、横にしたカーヴァンキスは母や妹に文句を飛ばす。

 下ろされたエーデルフィアは一瞬身じろぎをし、目を覚ましたかと思ったが、それでも具合が悪いほうが勝ったのか、そのまま再び眠る。


「まったくもう、本当に何で気づかないんだか」

「うぅ、反省しなきゃ………」

「お母さんは?」

「お母さんも反省してるわよ。ゴメンね、エーデルフィア」

「それと、ティア?」


 母と妹がしっかりと一番下の妹に謝罪をすると、カーヴァンキスは次はすぐ下の妹に目を向けた。


「な、なに?」

「お前も少し、体調を崩しちゃいないか? 顔色が少しだが、悪く見えるんだが」

「へ? 大丈夫だよ?」

「ホントか? お母さん、どう思う?」

「うーん、お母さんには普通にしか見えないわ。オースティア、大丈夫、なのね?」

「大丈夫だってば。エーデルフィアじゃないんだから、そう簡単に体調崩さないよ」

「なら、いいけどな。でも、無理すんなよ?」

「大丈夫だって言ってるのに」


 その後、一家は揃って家路に着く。フォンシュベルのドラゴンの姿を怖がるエーデルフィアが眠っている今、全員がフォンシュベルの背に乗って帰る。ちなみにエーデルフィアは、カーヴァンキスの腕の中だ。


 そして洞窟に戻ると、すぐにエーデルフィアは部屋に運ばれ、ベッドに落とされ、それでも目を覚ますことなく眠り続けた。



 エーデルフィアはそれから約三日、昏々と眠り、薄ぼんやりと目を覚ましてはまた眠るという生活を続けたそうな。

 完全に目を覚ましたエーデルフィアは、自分が三日間そういった生活をしていたことをまったく覚えていなかった。目を覚まし、三日間寝てばっかりの生活を送っていたことを家族に聞いて、驚きの表情を隠せなかったという。



次の話から次の章へ行く予定……

なんですが、ネタがまったく浮かびません

プラス、気力が足りません。


もしかしたらですが、

来週の更新無理かもですー


そのときはごめんなさい、許してください


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