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まさかの転生物語  作者:
子供ドラゴン
30/53

人は変わります


「お願いします竜神様、お助けください」


 ある日あの時森の入り口。人間たちが供物を捧げて、私たちに頼みごとをしている模様。

 でも、もちろんお父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも放置中。だって、人間の頼みを聞く必要、無くなったんでしょ?

 それに、私さ、今はまだ人間と関わりたくないな? だって、あの「じゃんね」ってしゃべるあの生き物を思い出すんだよね。


 だからか、お父さんたちは供物を受け取らず、そこに拒否の手紙を置いているらしいです。が、それが連日続くとさすがに鬱陶しいな。

 しかも今日は、お父さんたちが拒否の手紙を置きに行くタイミングを狙ったのか、ちょうど遭遇してしまった。

 しかも、今日は私も退屈だからってついて行ってたから、ちょうどよく遭遇しちゃったよ、怖いよ!!


「き、きゃーっ!!!!!」

「………急いで帰るか。よしよし、お父さんがいるから大丈夫だぞ」


 人間いっぱい! 怖いのいっぱい!!


「竜神様、お待ちください! お願いします!!」

「待つわけがないだろう、エーデルフィアが怯える。さ、帰ろうな」

「きゃー! きゃー! ぎゃー!!」


 人間怖い、人間いっぱい。とにかくお父さんにぎゅっと抱きつく。お父さんもそれでしっかり抱きしめてくれるけど、それでも怖いよ!


「あぁほら、お父さんがいるから大丈夫だ。今から走るから、しっかり掴まっているんだぞ」

「うん、早く帰ろう早くお家帰ろう」


 じゃないと怖いの、怖いよ。恐怖で体が震えちゃうよ。体ががたがた言ってる。そのせいか、体が冷えてるみたい、寒いの。

 お父さん、寒いよ、あっためて。お父さん………。


「エーデルフィア! 大丈夫か? ほら、あっためてやるからな」


 うぅ……、お父さん温かいよ。お父さん気持ちいい………。


「よしよし、帰ろうな。少し急ぐから風が冷たいかもしれないが、帰ったらまた温めてやるから我慢するんだぞ、いいな?」

「うん……」


 って、返事をする暇も与えてくれないの、お父さん!? もう走り出してる! 風が冷たい!!

 人間たちが何か言ってる気がするけど、もう聞こえないね。って言うか、お父さんの言葉がドップラー効果起こしてそう。


 とりあえず、今は風が冷たくて寒いです。



「よーし、家についたぞ、大丈夫か?」

「寒いー」


 がたがた、体が震えてるよ。寒い、寒いのぉ………。


「おっと、予想以上に冷えてるな。ちょっと待ってろよ」

「ううううう、うん………」


 ううう、お父さん寒いよぉ。お父さん少しは温かいんだけど、まだ冷たいよ、寒いよ。

 少しずつお父さん温かくなってるけど、まだ寒いよ………。


「あれ? どうしたのエーデルフィア。寒いの? おいで」

「おねーちゃーん」


 お姉ちゃん寒い温めて。そう思いつつ、お姉ちゃんのところへ移動する。うぅ。お姉ちゃん温かい。お姉ちゃん温めて。


「うわー、エーデルフィアってば冷たいなー。おいで、火の近くで温まろうね」

「うん」


 少しずつしか温かくなってないお父さんより、火の近くのほうが暖かくてよさそうだよー。

 うぅ、火を焚いてるから温かいよー。お父さんが寂しそうにしてるけど無視して、のんびりと温まろうっと。でも、お姉ちゃんからは離れない。


「しっかり温まらなきゃね。じゃないと、また熱くなっちゃうからね?」

「うん、分かってるよ。あの辛いのはもういや!!」

「そうだね、だからしっかりね」

「うん! お姉ちゃんそばにいてね」


 お姉ちゃんにべったり引っ付いて、そしてお姉ちゃんと火で暖を取る。ぬくぬくして気持ちいいわー。

 やっぱりお父さんが寂しそうにしてるけどやっぱり放置。だって、お姉ちゃんがいるし。


 あ、でもお母さん来た! おかあさーん!!


「どうしたのエーデルフィア」

「おかーさんおかーさんおかーさん」

「ふふ、可愛いけど本当にどうしたの?」


 甘えたいだけだよー! だからいっぱい甘えさせて!!


「よしよし、いい子いい子」

「おかーさん大好きー!!」


 お母さん温かーい!! 気持ちいーい!! すりすりすりすり。

 とりあえず、人間を見た恐怖をお姉ちゃんやお母さんに甘えることで徹底的に吹き飛ばす!!

 お母さん、人間見ちゃったよ怖かったよ! 人間なんてしばらく関わらなくていいよ!


「あぁ、人間に会ったの? 怖かったね、よしよし」

「今度鉄槌を下しに行って来るかな」


 いつの間にやらそばにいたお兄ちゃんが嫌な笑みを浮かべながら言う。普通にやめて、と言いたいが、今はよし。やっちゃえ!!

 人間は倒しましょう。人間は無視しましょう。人間は怖いです。


「しかし、あれから大分経ってるのに、エーデルフィアは中々ドラゴンに戻れないね。今度、長老に相談してみようか」

「そうね。いくらなんでも、こんなに戻れないなんて………」


 お父さんとお母さんは、私に哀れみの視線を向けながら言う。

 ん? 普通は初めて人態を取ってもすぐにドラゴンに戻れるものなの? 私が人態を取ってからどのくらい経ったっけ? 未だにドラゴンには戻れないよ。

 うーん、早くドラゴンの姿に戻りたいな。だって、一応少しは歩けるようになったけど、まだ結構頻繁に転ぶんだよね。


「じゃあ、今から俺が行ってくるよ。で、ついでに人間どもに鉄槌を下してくる。長老、一応まだ城にいるんだよな?」

「あぁ。いい住処を探してるからな」

「じゃ、今から飛んで行ってくる。ティア、エーデルフィアといてくれ。サーファ、お前は来るか?」

「ん、じゃあ行くか」


 お兄ちゃんたちはそう言って洞窟から出て行く。うん、長老に相談はいいんだけど、人間への鉄槌は一応手加減してね? 人間は脆いから。

 とりあえず私は、ここでお母さんやお姉ちゃんにいっぱい甘えておくからさ。あ、一応お父さんもね。


「さ、エーデルフィアは本でも読む? 字の勉強しようか」

「うん!」


 字の勉強は賛成です! と言うわけで、お姉ちゃんと一緒に書庫へ向かう。もちろん自分で歩いたよ。まぁ、ゆーっくりだけどね。

 だって、ゆっくりじゃないと私、簡単に転ぶもん!!


「さー、どれがいい? 子供用の本にする? それとも大人用の本でいっぱい勉強する?」

「大人用! 子供用は私だけでも読めるもん」


 だから、せっかく教えてくれる人がいるんだから難しい本を、読み方を聞きながら読みたいな。


「なら、少し難しい本を持って、お母さんたちのところで読もうか」

「うん! じゃ、これ!!」


 何とかタイトルが読めた本を掴む。タイトルは、アカルディアの冒険。何となく面白そう………って、これ子供用か!?

 ………でも、中身パラパラ覗いてみると。読めないところはぜんっぜん読めないね。ソレを考えれば子供用ではないのか?


「お姉ちゃん、これって子供用?」

「んー、子供用って言うか何て言うか、若者向け、って感じかな。それでいい?」

「んー、うん。これ読む」


 タイトルは若干子供向けっぽい感じもするけど、まぁ読めないのもあるからいいか。

 そして、私が選んだ本をお姉ちゃんが持ち、お母さんたちのところに戻る。あ、最初は私が持つって言ったよ? そしたら。


「エーデルフィアは転ばないように歩くことに集中してね」


 と言われ、結局本は奪われっぱなしになった。

 ―――まぁ、本はなくても転んだんだけどね! しっかりべしゃりと転んださ!! ちくしょう。


 そして戻った後は、お父さんの膝の上に座って本を開く。その右にお母さん、左にお姉ちゃんだ。ふふふ、みんなしっかりそばにいるね。


「さ、分かる分は自分で読んでごらん?」

「うん!」


 と言うわけで少しずつ声に出して本の内容を読み進めていく。途中でお父さんたちから修正が入るのはご愛嬌。

 そして、分からない言葉があったら考えずその都度聞く。それが勉強には一番言いことは前世からよく分かっている。

 だって、『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』って言うし。ついでに、私の場合は年齢も考えて、聞いても恥にならない! はずだからそれでよし。


「お父さん、これ何て読むの?」

「ん? あぁ、これはだな……」


 それに、聞いたらみんな嬉しそうな顔するから、聞く側としても何だか嬉しくなる。だから尚いい。


「エーデルフィア、お母さんのところに来ない? お母さん寂しいな」

「じゃあ行くー」


 そうしていると、お母さんがそう言って私を呼び寄せる。お父さんの膝の上から下りてゆっくりと移動。………転ばなかったよ!


「よしよし、エーデルフィアは可愛いんだから」

「おかーさん大好き」

「お母さんもエーデルフィア、大好きだからね? さ、続き読もうか」

「うん! この読み方は?」


 お母さんの膝の上に移動して、早速質問。だって、分からないもん。それに、お母さんもニコニコ微笑みながら読み方教えてくれるしね。おかげでどんどん読み進めることが出来ます。


 それからしばらくして………。


「読み終わったー!!」


 結構たくさんお父さんやお母さん、お姉ちゃんに質問したけど、頑張って読み終わったよ! 時間もかかったけど読み終わったよ!

 途中でお母さんの膝の上からお姉ちゃんの膝の上に移動したりもしたけど、それでもきっちり読み終わったよ! うん、頑張った!!


「よく出来ました」


 お父さんが私の頭をよしよしと撫でてくれる。お母さんは私をぎゅーっと抱きしめる。お姉ちゃんもお母さんと一緒に私を抱きしめる。うん、幸せ。

 でも、ちょっと離してー。ずっと声を出してたから喉渇いたよー。だから、お水飲みに行きたいな。……離して欲しいな?


「あぁ、ゴメンね。ゆっくり、転ばないよう気をつけながら行くんだよ」

「うん。行ってきまぁす」


 うぅ、本当に喉がカラカラだ。と言うわけで一人でゆっくり台所へゴーだ! 転ばないように細心の注意を払いながら台所へ行くぞ!

 まぁ、今回は転んでも長ズボンを履いてるから、前みたいに膝を擦りむくことは無いと思うけど。


 そして水を飲んでお母さんたちの待つ部屋へと戻る。

 ――――あれ? 人数増えてない?

 って、あぁ、お兄ちゃんたちが帰って来てるのか。だから増えてるんだね。

 ――――あれ? それでも人数私の考えてるより多くない?


 あれ? あれぇ? どゆこと?



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