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まさかの転生物語  作者:
子供ドラゴン
22/53

戻ってました

「……っぱり、………って……わー」

「……ら、黙れ」


 みゅー? 何か、一度聞いたことのあるような感じのやり取りが聞こえるな……。


「んみ?」

「あぁ、起きてしまったか」

「おはようエーデルフィア。よく眠れた?」

「むー、ゆふぃー」


 もうえっちなことしてない? 今の私にえっちなことはきついのだよ。

 って、見てみれば、何だかユフィーの肌がつやつやしてるんだけど。……随分とお楽しみだったようで。

 うん、カイルスさんの肌もけっこうつやつや? まぁ、男にしては、だけどね。


「あははっ、寝惚け顔も可愛い」

「んみゅ、ねみゅい、もん……」


 うーん、何だろうね今日は。目いっぱい寝てるはずなのに、まだ寝たいと思ってしまう。うーん、謎。


「あらら、でも、もうすぐご飯だから起きててね。今日はカイルスの仕留めた巨大熊の肉を焼くからね」

「きょだいぐま!? あ、あれを……?」


 あ、あの超巨大熊を……!? カイルスさん強い! すごい!


「おぉ? エーデルフィアの目が輝いてるな。そんなに肉が楽しみか?」

「カイルスさん、すごい!!」

「お、おお? 何がすごいのか全く分からないんだが、どういうことか教えてもらえないか? 義兄さん」

「ん? 巨大熊はエーデルフィアから見ればかなり大きいからな。それを倒すのがすごいと思うんだろう。そうだろう、エーデルフィア?」

「うん!」


 だって、私から見ればホント、超巨大熊だよ、あれ。それを倒せるのがすごいー。


「ははっ。ありがとうエーデルフィア。ユフィー、美味いのを頼むぜ?」

「今日は兄さんもいるから美味しいの期待してて。兄さんも料理上手なんだから」


 うん、お父さん料理上手だよ! お父さんの料理美味しいの! ……お母さんの料理は怖いけどね。


「今日の食事は楽しみにしていろ、エイシェリナ、カーヴァンキス、オースティア、サーファイルス、エーデルフィア、それとカイルス」

「俺はオマケっすか!?」

「当たり前だ。俺の一番はエイシェリナや子供たちだからな」


 あはは、お父さんの基準はやっぱり私たちが一番だよね、お父さん大好きー。

 お父さんのご飯、お父さんのご飯ー。うふふ、楽しみに待っておかなくては……。ふふ……。


「さて、ご飯まで義姉さんたち、一緒に山を探検しようか」

「そうね。よろしく、カイルス」

「いってらっしゃーい。私、お出かけしたらご飯前に寝ちゃいそうだからここにいるー」


 私が言った瞬間に、カイルスさん含み、全員の顔が一気に私に向いたよ、怖い。


「エーデルフィアも行こうよ! ここにお留守番なんて、寂しいよ?」

「そうだよ、一緒に行こう? 疲れたら負ぶってあげるから」

「お父さんもユフィーもいるから寂しくないよー?」

「私たちが寂しいよぉぉぉ! 一緒に行こうよぅ!」


 うわぁ、お兄ちゃんもお姉ちゃんも必死だね。でも、行っても疲れちゃうからお家(洞窟)に引きこもるね。


「行こうよ! 負ぶるから!」

「なら、私もここにいるわ。エーデルフィアが来ないなら面白くないもん」

「じゃ、俺も残るわ」

「えー、じゃあ俺も残るー」

「となると、お母さんとカイルスだけ? ……やめようか」

「だな。俺と義姉さんの二人じゃ、義兄さんやユフィーに浮気を疑われかねん」


 二人とも、そう簡単には疑わないと思うんだけどな。


「なら、出来るまではエーデルフィアを愛でようかな」

「俺もいいか? あー、こんな子供、本当に早く欲しいよ」

「ふふ、ユフィーと頑張りなさい。……私たちが帰った後にね」


 お母さんは最初は明るく告げ、そして少し時をおいて小さく、軽くドスの効いた感じで告げた。

 お母さん怖い! でも、私たちの前できゃっきゃうふふな展開は止めて!!


「はは、ユフィーには覚悟しておいてもらわなくては」

「ええ、頑張りなさい。頑張れば子に恵まれるでしょ」


 あぁ、つまりお父さんとお母さんは頑張った、と。その結果が私たち四匹か。

 ってか、お父さんとお母さんって本当に仲いいよね。ユフィーとカイルスさんも仲良しみたいだし、ドラゴンは基本、みんな仲良しなのかな?



「エイシェリナ、カーヴァンキス、オースティア、サーファイルス、エーデルフィア、……とカイルス。食事の準備が完了したぞ」


 なぬ!! ご飯、ご飯ー。パタパタと飛び、私たちを呼びに来たお父さんの後ろを移動する。ふふ、楽しみだなー。


 そして食事の部屋に行くと、そこにはご馳走がならんでいた。


「うわぁ! すごい、美味しそう!」


 ご馳走を見た私のテンションはもう最高潮だ。お腹空いたよー、見たら余計お腹空くよー!

 早く食べたいな、食べたいな。この洞窟ではテーブルと椅子が足りないため、全員地面に直接座ってご飯と対面する。


「カイルス、食事開始の挨拶をしろ」

「ん。じゃあ、食べようか」


 うわぁい、いっただっきまーす!!


「おいしーい!」

「うん、美味しい。さすがはお父さんとユフィー」

「俺も同意。これ、かなり大量に食っちまうぞ」

「たくさん食べるといいよ。褒められると嬉しいしね。たまにはカイルス以外に褒められるのもいいわー」


 うん、美味しすぎる! 食べる手が止められないよ。


「しかし、ホントこの子達いっぱい食べるね。この年頃って、こんなに食べてたっけ?」

「まぁ、それぞれだろう。それに、いっぱい食べてくれたほうが気持ちがいいだろう?」

「まぁね」


 うん? 普通はこんなにいっぱい食べないのか? でもいいじゃないか、いっぱい食べたほうが大きくなれるんだから。

 転生したばかりの頃と比べるのも何だけど、あの頃と比べると相当大きくなったよ。でも、もっと大きくなりたい!


「エーデルフィア、食べてるか?」

「ん!」


 今しっかり食べてるんだから話しかけないで! というわけで、食べながら返事をする。いっぱい食べてるよ!


「食べてるようだな、はは」


 そんな私を見てお父さんはクスクスと笑う。いいから黙って食べさせてー!

 そして、さり気にお兄ちゃんたちまで笑ってるしー! 何で笑ってるんだよー。でもいいや、とりあえず食べる。



「まんぷくー」


 ホントにいっぱい食べたよ、美味しかったよー。いつも以上にお腹がぱんぱんになってる。ちょっと食べ過ぎたかな。


「うっわー、エーデルフィア、食べすぎじゃない? お腹壊さないようにね?」

「う! ちょ、ちょっと危ない、かなぁ……?」


 ううむ、確かに食べ過ぎたかな……。お腹壊さないことを祈っておかなくちゃ。


「お腹が痛いと思ったらすぐに言いなさいね」

「うん」


 考えたくないけど、お腹痛くなったらすぐに言うからね! そのときはお母さんに甘えて甘えて、その喜びで痛みを吹っ飛ばすんだ。

 ま、今のところは何の問題もないからいいんだけどね、えへ。


「さて、後はしばらく話でもする? まだ寝れないし」

「うん! お話ー!」

「私も兄さんと久しぶりにいろいろ話したいかな」


 うん! みんなでお話しよう! みんなでお話楽しみだなー。ふふふふふ。


「あ、でもエーデルフィアは寝たほうがいいんじゃない?」

「何で!?」

「だって、今日はかなり疲れたでしょ?」

「その分寝てるよ!」


 だからまだ寝ないんだから! せっかくはじめてユフィーに会ったんだから、ユフィーともいっぱい話したいの!


「大人しく寝なって。お父さんたちも説得してよ」

「うん? いいんじゃないか、別に。エーデルフィアなら限界が来れば自動的に眠るだろ」


 それが子供というものです、お父さん。


「そら、お父さんの膝の上においで」

「うん!」


 大きくなってからはお父さんの膝の上って言うのも殆ど無くなってきてたから、久しぶりで嬉しいなー。


「おー、エーデルフィア嬉しそう」

「だって、喫茶店でも思ったんだけどさ、おとーさんの膝の上久しぶりだから」

「そういえば、あまりエーデルフィアを膝に乗せなくなったな。膝の上に来たいならいつだって来てもいいんだぞ?」

「うん!」


 いっぱい甘えるー! そんな意味を込めて思い切りお父さんに抱きついた。お父さん大好きー!


「よしよし、エーデルフィアは可愛いな」

「うー、兄さんいいなー。エーデルフィア、私の膝の上にも来てよー」


 えっと、その、どうしようかな? どうすればいいんだろう。お父さんのほうを見て、目で尋ねる。


「エーデルフィアの好きにすればいいさ。ユフィーとも話をしたいんだろう?」

「でも、お父さんにも甘えたいし……」

「お父さんにはいつだって甘えられるだろう? 明日には帰るんだから、甘えるなら今しか時間がないぞ?」


 え? 明日、もう帰っちゃうの?


「わーっ! なな、何で泣いてるのエーデルフィア!」

「ふえ………」

「どうしたんだ、エーデルフィア。ほーら、いい子いい子」


 ユフィーに会えたのが嬉しいのに、それなのにもう明日にはお別れなんだ。転生してからこんな別れは殆ど無かったから、寂しい……。

 キースエリナさんのときは怖かったから別れなんて何も考えなかったけど、今回はユフィーに恐怖は感じなかったから、別れが寂しいよぅ。


「ん、あぁ、ユフィーと別れるのが寂しいのか?」

「ふえぇ」


 泣きながらも小さく頷く。


「そう言うことか。安心しろ、二度と会えないって言うわけじゃない。何かあったらまたお父さんの背に乗って会いに来ような」

「そうだよ。それに、会いたくなったら私が会いに来るよ。だから、膝の上に来て?」


 言われて、涙をごしごしと手でこすりながら拭い、ユフィーの膝の上に移動する。すると、すぐに涙を拭う手を片手で掴まれ、余った片手で私の涙をきれいに拭ってきた。


「こすっちゃダメだよ、目が腫れるからね」


 うぅ、確かにそうだけど目はこすりたい、何となくかゆい感じがするから。だが、私の手はしっかりとユフィーに掴まれているため動かせない、くそう。


「うー、離してユフィー!」

「あ、涙は止まったみたいだね、よかった。でも、手は離さない。離したら目をこするでしょ?」


 むむむむむー、やはり読んでいたか。行動が読まれていると、抵抗のしようがなくなるんだ。


「あー、ホント子供っていいなー。ねぇ、カイルス?」

「ははっ、義兄さんたちが帰ったら頑張ろうな」


 って、私を膝の上に乗せた状態でそんな甘い空気をかもし出さないでよ! 私はまだ子供なんだよ!? 人態も取れないくらい子供なんだよ!?

 くうう、体が熱くなりそうだよ、止めてぇ!


「エーデルフィアー、こっちおいで」


 行く! 助けてっ!


「えー、ダメだよ行っちゃ。エーデルフィアは私の膝の上」

「じゃあその甘い空気を何とかして!」


 小さい子供()にその空気は本当にきついよ!


「えーっ、エーデルフィアを膝の上に乗せてる間は無理ー。兄さん、この子うちの子にしたいー」

「やらん」

「欲しいー」

「ダメだ」


 うおぅ、お父さんとユフィーで私の奪い合い? が始まっちゃったよ。でも、私はお父さんたちと離れるつもりはないもん!


「おかーさーん」

「あらら。おいで、エーデルフィア」


 何となく危険を感じてお母さんに助けを求めると、お母さんに呼ばれたので、速攻でお母さんの所に移動する。


「ユフィー、エーデルフィアを見ろ! エイシェリナに甘えて嬉しそうなこの子の笑顔を奪うつもりか!?」

「う! た、確かに可愛すぎる……」


 う? 何が? 何の話なの? 分からないけど、とりあえず今はお母さんにべったりです。

 そしてそんな私を、お兄ちゃんたちはいっぱい可愛がってくれます、幸せです。


「子供は欲しいけど、この笑顔は奪えない………。―――カイルスぅ」

「だだ、だから今、そんな瞳で俺を見るな! 抑えきれなくなる!」


 だから私の前で甘い空気をかもし出すな!


「そろそろ限界だな。寝ようか、エーデルフィア?」

「寝る! 寝よ!!」




 ちなみに、目が覚めたらもう家だった。お別れ言ってないよ! 言ってないのに、何でもう帰ってきちゃってるのさ!

 曰く、帰る前に私を起こしたそうだが、起きなかったので寝たままで帰って来たらしい。


 お別れ、言いたかったよ。寂しい…………。






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