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まさかの転生物語  作者:
子供ドラゴン
21/53

バカップルです

最初の方は軽くR15……かもしれないです。


 カイルスさんとユフィーはどう見てもバカップルですね。ラブラブですね、お熱いですね。


 ―――さっきから、甘い声が聞こえてきているわけですよ、はい。


「んっ……カイル………」

「ユフィー、俺の、俺の愛するユフィー」


 とまぁ、部屋を借りたのはいいんだけど、さっきからこの調子で甘い声が聞こえる聞こえる。

 だから、私はお母さんやお兄ちゃんたちに耳を塞がれているのだが、それでもしっかり聞こえるドラゴンの耳に悪意を覚える。


「ユフィー、カイルス。少し声を抑えてくれると助かるんだがな? こっちにはエーデルフィア(小さな子供)がいることを忘れちゃいないか?」

「あー、うん。ちょっと、今は無理っす」

「んっ……、カイルス……、止めちゃイヤ………」


 聞かない聞かない聞こえない。聞いちゃいけない、(エーデルフィア)にはまだ早い。

 でも、しっかり聞こえてしまう。普段はピンと立ててる耳をぺたんと寝かせ、その上からお母さんたちに押さえられていて尚、聞こえてきている。


「―――ユフィー、カイルス。俺たちは出てる。これ以上はエーデルフィアの教育によくない」

「あんっ、ゴメっ……ね………」

「すみません、義兄さん。俺も、抑えられないので」


 うん、出よう。お外行こう。この洞窟内は音が響いて危険すぎる! 今の私にはかなりきつい!!

 ってか、どうして(子供)のそばでそんな方向に突っ走るんですか!? ユフィー!!



「さて、何か欲しいものはないか? 欲しいものがあったら言いなさい。買ってあげるからな」

「う……うん……」


 欲しいもの……、欲しいもの……。考えても考え付かない。なら、見て決めるべし!


「こ、これは……竜神様、ですよね? ほかの町からいらしたのですか?」

「あぁ、この町には妹がいるからね」

「へぇ、妹様が。どちらの町からお越しで?」

「デリアだ」

「デリア!? 随分と遠くから……」


 うん? ここって私たちがいつもいる町からそんなに離れてるの? 気になったのでお父さんに聞いてみる。


「ねーお父さん、ここって、そんなに遠くなの?」

「ん? まぁ、人間から考えれば遠く、だな。お父さんが飛べばそんなに時間はかからないよ」

「お父さん早いもんね」


 うん、お父さんが飛ぶとすっごい早いんだ、これが。お兄ちゃんの背に乗って飛んだり、自分で飛んでお出かけするのに慣れてると、お父さんに乗って移動は早いんだよね。

 まぁ、今回は気づかぬ間って言うか、寝てる間についてたんだけどね。


 それは置いといて、とりあえず町回るー! いっぱい見るー!!


「あ! あれ何!? あれ、デリアには無い!!」

「ん? あー、あれはこの地の土産品だね。一つ買おうか」

「あぁ、一つ買っていくか」


 お父さんはそう言って店のほうへ向かい、一つ買ってきた。ってか、これ何なのさ。土産品って言っても、使用用途は?

 見てて考えられる使用用途って、飾るくらい?


「おかーさん、あれ、何に使うの?」

「あれ? 飾っておくと花のいいにおいがするの。あれ自体に花のにおいを浸み込ませてあってね、飾っておけばいいにおいがするの。――人間には」

「私たちにはちょっとにおいがきついから、少しにおいを抜いてから使おうね」


 うん? 言われてみればここからでもにおいがするな。まぁ、この距離ならまだ仄かなにおいって感じでいいかな。

 でも、うん、近距離でこのにおいは鼻が痛い! 咄嗟に鼻を押さえるのだが、やっぱいちゃい!!


「一応、袋を二重にしてもらったんだがな」

「それでも十分きついわ。私も鼻が痛くなってきちゃう」

「だな。帰りに取りに来るか」


 お父さんはそう言って持っていた袋を持って再び店のほうへと向かう。あぁ、においが離れただけで鼻がかなり楽になった。

 しかし、人間ってホント、あんまり鼻がよくないんだね。あのにおいを至近距離で嗅いでいても鼻が痛くならないなんて。

 うぅ、まだ鼻がいちゃいよぅ……。鼻の奥ににおいが残ってる感じ。


「さ、ほかに気になるものはないのか? ないなら少し歩こうか」


 言われてキョロキョロとあたりを見渡す。が、今のところ特になし。

 私がお父さんに言うと、お父さんはにっこりと微笑み、そして歩き始めた。さてさて、何か面白そうなものはあるかな。


 いやいや、小さな子供()の探求心は恐ろしいね。あれ何ー? あー、あれも何ー!?

 そんな言葉を何度も何度も繰り返したよ。言ってる私も驚くほどに、いろんなものに興味を持ってしまったよ。

 そして、お父さんたちはそんな私に一つずつ、丁寧に説明をしてくれた。ありがとー、大好き!


「お、菓子屋じゃないか。エーデルフィア、お菓子を買っていこうか、何が欲しい?」

「くっきー!!」


 うん、この世界にもクッキーあるのよ、しかもサクサクして美味しいのが。昔、初めてお兄ちゃんたちと町に行ったときに買ってもらって以来、クッキーは大好きなのだ。


「よしよし、ならクッキーを買おうな。この辺のクッキー、各種類いくつかずつ包んでくれ」

「畏まりました」

「オースティア、お前は欲しいものはないのか? あるなら言いなさい、買おう」

「え、いいの? やった。じゃ、そこの、そう、それそれ」

「これだな。包んでくれ」


 うわぁ、買うお菓子がいっぱいになってるね。なら、ほかのも欲しいのあるんだけど抑えたほうがいいよね。我慢しよう。

 だがそれを許してくれないのはお姉ちゃんたちだけではなく、お父さんたちも同じ模様。


「エーデルフィア、ほかは? 欲しいのがあったら遠慮せずに言いなさい」


 まぁ、お姉ちゃんたちと違うのは、強制してこないことかな。お姉ちゃんたちは強制だったからね、もっと買わないと町の人に八つ当たりに行くって堂々と言ってたからね。

 まぁとりあえず、ほかにもいいって言うのならば………。


「あそこのパン菓子も欲しいー!」


 ちなみに、パン菓子って言うのは日本で言えばラスクとかね? この世界ではパンで作ったお菓子は全部パン菓子で、一つ一つに名前がないんだ。

 つまり、ラスクもパン菓子、パンの耳を油で揚げて砂糖をかけて食べるのもパン菓子。


「んー、じゃあ、パン菓子も全種類いくつかずつ包んでくれ」

「畏まりました、ありがとうございます」


 えへへ、クッキーとパン菓子、食べるのが楽しみだな、うふふふふ。


「エーデルフィア嬉しそうだね。もっと欲しいのはないの? 今なら多分買ってくれるよ?」

「んー、これだけ買ってもらえたら十分だよー」


 本当に嬉しいよ、幸せなんだー、ふふふふふふ。


「じゃあ、後で取りに来るからそれまで預かっておいてくれ」

「畏まりました。お買い上げありがとうございました」

「よし、次だ次。次は何を見ようか」

「次は服を見に行こうよ。エーデルフィアが人態を取れるようになったときによさそうなのがあったら買おう?」


 うん? 服? 私が人態を取れるようになったらって、まだ先じゃん。それに、洞窟()にも結構買ってあるよね?

 でも、それを聞いたお母さんは乗り気です。うん、大乗りしてらー。


「エーデルフィアには何色が似合うかしら。オースティア、どう思う?」

「うーん、どうだろう。エーデルフィアなら爽やかな感じの色合いとか合いそうだよね」


 うお、お母さんとお姉ちゃんの二人で私に似合いそうな服トークが始まっちゃったんだけど。

 ううむ、私にはついていけないし、お父さんやお兄ちゃんにもついていけないようだ。


「おかーさん、おねーちゃん。私に服ってまだ早いよ」

「用意しておいてよくないことはないよ」

「だって、もういっぱい買ってあったじゃない」

「あれだけじゃ足りないでしょ」


 いやいや、もう十分だって。お母さんたち、どれだけ服を集めたがるのさ。


「ねぇエーデルフィア、あれは確かにまだ足りないと思うよ」

「まぁ、俺たちもあれ以上に持ってるしな。エーデルフィアは女の子なんだから、俺たち以上にいるよな」


 お兄ちゃんたちまで敵に!? ……うん、まぁ敵じゃないだろうけど。


「でも、今はまだ早いよー。うーん、そうだね、八十歳くらいになったら欲しいかな」

「うー、まだ五十くらいだし………、それでいいか。じゃあ、オースティアの服を見に行こうか。ふふ、いっぱい見立ててあげる」

「うん、ちょうど新しいの欲しかったんだー、ありがと」


 よし、お母さんの気を逸らすことに成功したね。お姉ちゃんの服を買うと言った以上、これで私のほうに来ることはないだろう。

 あー、でも私も服新しいの欲しいなー。最近どんどん大きくなってるから、前に買った服がサイズ合わないんだよね、特注なのに。

 いやいや、だって竜態だし? 私くらいの年頃のドラゴンなんてほかにいないから、ドラゴン用の服は特注じゃないとないんだよね。


「くちっ」


 考えてたら、何だか冷えてきたな……。むむ、何か服を持ってきて、着ておけばよかったかな………。


「どうしたエーデルフィア? 寒いのか?」

「んー、ちょっと冷えてきたかな……」

「ふむ、少し気温も下がってきたみたいだな。何か温かいものを買って飲むか?」

「うん!」

「なら、喫茶店でも行こう。これ以上外にいたらエーデルフィアがまた熱くなりそうだ」


 うん、寒い。冷えてきてるもん……。


「さ、エーデルフィアはおいで。お父さんに引っ付いてなさい」


 そう思っていると、お父さんが抱き上げてくれる。反射的に私はお父さんに引っ付いて暖を取った。……あったけぇ………。

 っていうか、これは温かすぎじゃない? 気持ちよすぎるー。


「気持ちいいか? 寒いならもう少し体温を上げるが」

「上げるの!?」


 そんなこと出来るの!?


「お父さんは出来るな、お母さんは無理だが。お母さんは逆に体温を下げる」


 だから、エーデルフィアが小さい頃にすっごく熱くなったことがあっただろう? そのときはお母さんが少しずつエーデルフィアの体温を下げてたんだよ。

 うん、お父さんのその言葉に驚き。あぁ、だから熱が下がるのがまぁまぁ早かったのか。


「うー、あったかー、ぬくー」

「おっと、喫茶店についたな。どうするエーデルフィア? お父さんの膝の上にいるか?」

「……うん」


 お父さんにこうやって甘えるの、久しぶりな感じだからそうしよう。……お兄ちゃんたちが悲しそうにしてるのは見なかったことにしようっと。



「この子にホットミルク、ほかは全員コーヒーで」

「はい、少々お待ちください!」


 うー、ホットミルクー。ぬくぬくー。体があったまるー。

 ………今日、疲れたけどいっぱい寝た、のにまた眠たくなってきたよ。まだ、子供だってことかな。でも、いいよね……。


「おや? どうしたんだ?」

「ん……、眠い……の……」

「ははっ、いっぱい動いて疲れたんだろうな、また。眠ってなさい。エーデルフィアが眠っている間にユフィーの洞窟に戻っておくからな」

「うん。……ゴメンね、おやすみー」


 体力がすごい勢いで削られたのかな……。おやすみー……。



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