ご馳走の時間です
「いっただっきまーす!!」
ご馳走ー! すっごい美味しそうー! いただきまーす!!
言うと同時にかぶりつく、味わう、美味しい!!
「美味しいかい?」
「美味しいー!!」
もう最高!! 昨日食べられなかった分、今日はいっぱい食べれて幸せだね。肉ー! 肉ー!
あ、ちゃんと草もあるんだね。草も食べなくちゃ。肉を食べて、草を食べて、平均的に食べると健康によさそうだし。
健康っていいよね。健康って、平和だよね。健康だったら何にも阻止されたりしないから、健康を目指すよ!!
それにしても、今日は最初から肉と骨が分けてあるんだな。食べやすくていいんだけどさ、いいんだけどね。
でも、ご飯のときにお姉ちゃんに骨と肉を分けてーって頼むのも楽しいんだよね。
でも、美味しいからそれでよし!!
「おっと、ペースが随分と早い。詰まらせないようにね?」
「きゅ!!」
分かってるよ! 詰まらせたくなんかないもん。でも、美味しいからついついペースは上がるんだよぅ!
もう、美味しすぎる! 幸せすぎる! 最高すぎだろ!!
「きゃふっ」
美味しかった、満腹ー。お腹ぽんぽこりんだ。今お腹を叩いたらぽんぽん音がしそうだな。
昨日ご飯を食べられなかった分か、ホントいっぱい食べたわー、幸せだわー。
「うっわー、まさか全部食べるとは思わなかった……」
「ふふ、かまわないさ。満足したか? エーデルフィア」
「うん! お腹いっぱいー」
それだけ考えればとっても幸せだよ、幸せさ。―――でもさ、お母さん、いつまで怒ってるの?
「お、お母さん?」
「何」
疑問形でもなんでもないよお母さん! まだ置いていったこと怒ってるの!? そろそろそのお怒りを解いてよー。
お母さんの言葉に感情を感じられないからすっごい怖いよー。おとうさーん、手伝って!
「エイシェリナ、何をそんなに怒ってるんだ。ほら、エーデルフィアが怯えてるぞ」
お父さんは飛び込んできた私を撫でながら言う。お母さんが怖いよー、お父さん何とかしてー!
「怒ってないから。ただちょっと悲しかっただけで」
「ん? 何があった? ほら、言ってみろ」
お父さんはそう言いながら私をお姉ちゃんたちに渡し、渡された私はそのままベッドへ直行することとなった。
お父さんとお母さん、今頃大人の時間を満喫してるのかな?
「さ、エーデルフィアは寝ようね。調子が善くなったって言っても、まだ万全じゃないでしょ?」
「それに、寝ないと大きくならないからね」
うん、そうだね。それに、お父さんとお母さんのいちゃいちゃラブラブな声は聞きたくないから早く寝るね。
………なのに、どうして途中で目が覚めるかな。二人の睦言が思いっきり聞こえるんだけど。前世の経験上、ちょっとやそっとくらいなら慣れてるけど、転生してからそんなものに一切縁が無かったから、ちょっと、その…………。
「エイシェリナ」
「フォ、フォンシュベルっ、……んっ」
甘い、甘いよ二人とも! 寝てる私に聞こえる範囲でそんな睦言呟かないで!!
あ、あああああ、熱い。体熱い。せっかく元通りになったのに!!! あぁ、体から湯気が……。
「……ふしゅるー? ―――って、起きてたの!? エーデルフィア!」
「あ、あうあうあう」
「な……っ! って、うわっ! 熱いな、大丈夫か?」
「るきゅるるー」
うん、熱い。すっごい熱い。でも、そのおかげでやっとまた寝れそうになってきたよ……。
っていうか、寝ないと死ぬ。
「よしよし、しっかり寝なさいね」
お母さんがそう言って私の体を撫でてくれる。それが、とっても気持ちよくて、幸せで。
だから、今は安心して眠れそうだ――――。
朝。目が覚めたら周りにみんなが揃っててびっくりした。何? え? 本当に何なの?
「おはよう、エーデルフィア。大丈夫? 無理してない?」
「え? うん、おはよ。大丈夫だよ、どうしたの?」
「いや、昨日の晩、聞いちゃったんだって?」
……そのことか!!
「結構キツイでしょ? アレ」
え? 経験者?
「今度からああいうのが聞こえたらすぐに耳を塞ぐんだよ? エーデルフィアにはまだ早いからね」
「う、うん………」
前世の私ならともかく、今の私にはかなりきついね。そういうのにまったく縁がないもんなぁ。
まぁそれは前世ではもちろんやることはやったけど……げふんげふん。訂正、何でもないよ!!
ななな、何でもないってバ!! 私の表情で危険を悟らないで!
「よしよし、辛かったね。今度お父さんとお母さんに時と場所を考えるように言っておくからね」
「う、うん……。お願い……」
今の私には辛いからね、辛すぎるからね!! 聞いているだけで、人間で考えれば顔が真っ赤に染まるんだよぅ!!
まぁ、私は赤いドラゴンだから顔が赤く染まることはない、若しくは染まっても分かりづらいんだけど、その分相当体が熱くなる、みたいだね。
―――って、その張本人たちもすぐそばにいるんだけどね。
「だから、抑えてねお二人さん」
「エーデルフィアにはまだ早いんだからさ」
「分かってる。大丈夫か?」
「今は大丈夫のようだけど、辛くなったらすぐに言ってね?」
そうしていると、お母さんが私に触れてくる。うん? 今日は大丈夫だよ? 平気平気。
んしょ、よいしょ。のんびりと起き上がるのだが、その瞬間阻止された。何をする!?
「一応まだ寝ていて? 無理せずにいて?」
「えーっ!!」
「せめて、太陽が真上に上がるまで、お昼まで寝ていてよ。その後は草を取りに行こうか」
あ、今日はお外行ってもいいんだね。なら、今はとりあえず寝るか。今はまだベッドの上だから眠れるかな。
「いい子だね、お休み?」
「うん―――――」
って、まだ眠れないよ? さっき目が覚めたばっかりで話をして目が覚めてるのに、今さらまた寝ろって?
あはははは、無理無理、絶対無理。完全に目が覚めちゃってるよ。
「無理ー、寝れないよー」
「じゃあ、せめてベッドで丸まっててね。起き上がらないでね?」
「んー」
丸まっとくだけでいいならそうするー。それだけでお昼から草を取るために洞窟を出れるのならね。
そうしないと、間違いなくお父さんとかお母さんに止められるもん。止められたくないもん、出たいもん。
「丸くなってれば、お昼から外に行っていいの?」
「うん、無理をしなければね」
よし、無理しない! 外に行くためにきちんと休んでおくよ!
というわけで、今はあげていた顔を下げて、きれいに丸くなっておくことにしよう。
やっぱり眠れないんだけどね!!
「んきゅー、ひーまー、たいくつー!」
「あはは、じゃあ、エーデルフィアがそのままの体勢でいるって約束するなら本の読み聞かせ、してあげるけどどうする?」
「約束する! 本読んで!!」
ちょうどいい暇潰し!! この世界にどんなお話の本があるのか知らないけど、聞くだけ聞きたいー!
昔々あるところに、少年と少年と少年と少年がいました。(後、少年A・少年B・少年C・少年Dと表記)
――どこの犯罪者!?
少年たちはある日、罪を犯してしまいました。それは、許されない罪。彼らは許されない地に足を踏み入れてしまったのです。
もちろん、少年たちを国の大人たちは叱りました。思い切り叱って、罪を問いました。
それからの少年たちの話が、ここから紡がれていくのです。
――ちょ、本当に犯罪者!?
「エーデルフィアは突っ込むねぇ」
「突っ込むよ! ほのぼの普通の話かと思ったら、最初から主人公犯罪者!?」
「そういう話だし」
「普通のお話がいいー!!」
「ぜいたくだなぁ。ちょっと待ってね」
何で主人公が犯罪者っていうお話持ってくるのさ! 私まだ子供だよ!? 子供にそんな話を聞かせようとするなー!
もっと! 普通の! 至ってノーマルなお話はないわけ!?
「ちょ、怒らないでくれ、エーデルフィア。分かった分かった、ほかの話を持ってくるからな」
「普通のだからね!」
釘を刺しておかないとまた変なのを持ってきそうだ、お兄ちゃんたちは。
事実、また持ってきた本は変なヤツだったから、飛び蹴りを入れておいた。ざまぁみろ。
「い、痛いぞエーデルフィア」
「お兄ちゃんたちには大したことないでしょ!? お兄ちゃんたちの持ってくる本が悪い!」
「だからって、飛び蹴りはないだろう。避けたらエーデルフィアが危ないから、大人しく受けるしかなかっただろう」
知らない。避けても、私飛べるんだけど。飛べるから何とかなるんだけど。でもいいか、優しいから。
というわけで、とりあえずお姉ちゃんに飛びつく………って、今それしたら昼から外に行けなくなる可能性もあるね。やめとこう。
そうしている間にも洞窟の内部はひかりが指してきて明るくなってきている。もうお昼? お昼?
お昼なら、草を取りに行けるね!? 行けるよね!
「ん? あぁ、もうお昼なんだね。よし、お父さんたちに話に行って、草を取りに行こうか」
「うん!」
お兄ちゃんたちが言うと同時に、思い切り飛び上がった。飛び上がってお姉ちゃんの頭の上に着地する。よし、出発だ!
「お父さん、お母さん。もうお昼だし、エーデルフィアと草を取りに行って来るね」
「ん? あぁ、気をつけるんだぞ」
「何かあったら呼びなさいね」
うん、この間みたいなことがあったら思いっきり呼ぶからね。そのときは助けてね、しっかりと!
ということで、私たちは竜態を取ったカーヴお兄ちゃんの背中に乗って、草の採取場所へと向かう。今日もいっぱい草を取るぞー!
今日は、毒草を間違えて取らないように気をつけるぞー! 毒草を食べて、お腹を壊さないように気をつけなくては。
「エーデルフィア、今日は毒がある草を取らないようにしなくちゃね。だから、取る前に私たちに確認するんだよ、いい?」
「う、うん」
先に確認してもらえば毒のある草を取らなくて済むよね! 毒のある草は、危険だ。
前はお腹を壊したくらいで済んだが、草によると死ぬかもしれない。だから、確認をしてもらおう。うん、そうしよう!
「よし、ついたぞ。エーデルフィアは毒のあるものを取らないように気をつけような」
「うん!」
死なないためにもね! 今日はお姉ちゃんに確認してもらうから大丈夫だよ、死にたくない!!
「おねえちゃーん、これは?」
「あ、それは大丈夫だから取っていいよ」
「じゃあ、この横ー」
「それは毒があるからダメ」
「じゃ、じゃあ、これは?」
「それも毒があるねぇ」
「次、これ!!」
「残念、これも毒」
最初の草以外、全部毒ですか!! よかった、お姉ちゃんに確認して。私だけだったら、間違いなく食べて死ぬか、お腹壊してたね。
っていうか、どうして私は毒草ばっかり見つけるかなぁ? あ、ある意味特技?
あ、諦めない! 次、次こそは食べられるもの!!
「これ! これは!?!?」
「うん、これは食べられる。摘んでいいよ」
よっしゃ、今度こそ食べられるか。食べられる草二つ目ーっ!!
「あはは、エーデルフィア嬉しそうだね。なら、頑張ってほかにも食べられる草を探そうね」
「うん、次ー!」
わーい、食べられる草を見つけられると嬉しすぎる! 次次次ぃ!
「これは? これ!!」
「あらら、残念だけどそれは猛毒だ。触らないほうがいいよ」
「触るのもアウト!?」
「大して害はないと思うけど、一応ね」
うーむ、触ったら手がかぶれちゃうとかかな? なら、触らないようにしておくべきか。
しかし、私はまだ毒草と食べられる草の区別がつかないとか、ダメすぎる。
く、くそう! 諦めないぞ、分かるやつは分かるんだ! 次ーっ!!