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まさかの転生物語  作者:
ちびちびドラゴン
14/53

元気いっぱいです

 うん、一晩ぐっすり寝たら、次の日の朝には元気いっぱいだった。のに、なのに! 今日は狩りに行くのはもちろん禁止だし、お父さんとお母さんの目の届かない場所に行ってはいけないという条件が出された。

 元気だと言っているのに、それでもそこまで私の行動を制限するか!


「エーデルフィア、自覚してないんだろうけどまだ熱いんだよ? 今無理をしたらまた昨日みたいに辛い思いをすることになる。いいのか?」

「………まだ熱い?」


 そう言いながら、甘えも兼ねてお父さんに頬ずりする。お父さん気持ちいいー。


「やっぱり熱い。お父さんの手、冷たく感じるだろう? エーデルフィアがまだ熱いんだ」

「でも、元気だよ?」

「昨日がひどかったから元気に感じるだけじゃないか? いいから無理をせずに休もう」


 くぅ! 逆効果だったか! でも、お父さんの手は本気で冷たくて気持ちいいんだよぅ。くそぅ。

 でも、大人しくなったからって、寝るわけじゃないよ! お父さん、私を無理やりベッドに下ろそうとしないでください。私はまだ寝るつもりはありません。


「きゅー! きゅるっくー!!」

「あ、こら暴れるな。暴れたらまた辛くなるぞ」


 やだー! ベッドに下ろされたら強制的に寝かされるはずだ! お昼寝と夜以外に寝るつもりは無いんだい!


「ほら、休みなさい、いい子だから」

「やだ! 元気だから寝ない!」


 子供の時間というものは短いのに、それをこんなことでふいにしてたまるか!

 だから、強制的に下ろそうとしないで! お父さんの頭の上でも十分に大人しくしておけるじゃないか!!


「エイシェリナ、手伝ってくれ」

「ふふ。エーデルフィア、お母さんの頭の上においで」

「うん!」


 寝なくていいなら移動するー。というわけで、現在お母さんの頭の上。え? ちゃんと大人しくしてるよ?


「フォンシュベルもまだエーデルフィアが分かってないみたいね。エーデルフィアは、頭の上では基本大人しくしているものよ?」

「むむ、そうなのか………」


 ま、お父さんの上だと、アレ見たいこれ見たいで動き回るけどね。お父さん、聞いたら丁寧な説明をくれるんだもん。お母さんは、言っちゃ悪いけど説明がすっごいアバウトなんだ。

 だから、お母さんの頭の上だと基本大人しめ、でも、お父さんの頭の上だと、質問尽くし。あはは、子供だからいいってことにしておいて。


 というわけで、お母さんの頭の上で大人しくしている。が、大人しくしようと意識すると、どうしても眠くなるものなのでしょうか。お母さんは温かいし、落ち着くし、気持ちいいしで………、眠くなってきた。

 だ、だがね! 寝ないよ、寝ないんだから! せめてお昼寝の時間って言っても違和感のない時間までは起きておきたい。今寝たら完全に"昼"寝じゃなくて"朝"寝だ。

 うとうと、ぐらぐら。眠い、眠いんだけど………。…………! きしゃーっ!!


「お、怒るなエーデルフィア。眠いならベッドで寝ような?」


 そろーっと私をお母さんの上から取って、ベッドに運ぼうとするなーっ!! そんな意味を込めて、私はお父さんにこの鋭い爪を見せ、威嚇する。人間の姿を取ったお父さんには、私のこの爪は十分凶器となるようだ。

 そうやって威嚇した私と、それでも私をベッドに運ぼうとするお父さん。睨み合いが始まったよ、負ける気は無いよ!


「眠たいんだろう? なら、ベッドで休もう、な?」

「まだ寝ない! まだお昼寝の時間じゃないもん!」


 今はまだ朝だもん、早いもん。


「そういう問題じゃないだろう?」

「じゃあ、どういう問題?」

「そう言うのを考える余裕があるなら、今は眠りなさい、ね?」


 今は寝ない! まだ朝だから寝ない! 絶対に寝ない!! あ、お昼すぎたら寝るよ?


「まだ寝ないいやー! 元気だもん、大丈夫だもん!」


 きしゃー! とにかく爪を出した状態で前足を振り回す。お父さんにはいい威嚇。でも、今回はそこまで意味が無かったみたいだよ。

 あっさりと私の前足はお父さんに掴まれ、強制的に黙らされて捕獲された。


「さぁ、ベッドに下りようか。そのまま寝るんだよ?」

「やーだー!! 寝ない、寝ないからね!」


 くそぅ、どこまで徹底的に寝かすつもりだ!? まだ寝ないって言ってるじゃないか!!

 はーなーせー! はーなーしーてー! 足掻くのだが、お父さんはしっかりと私を抱き、というか捕獲していて離してくれない。このままでは完全にベッド一直線だ。


「寝ないー! 起きてるのー! 離してよー!」


 どれだけ訴えてもお父さんは離してくれない。しまった、ベッドはすぐそばだ!!


「ほーら、いい子だからベッドで寝ような」


 寝るもんか! ベッドに下ろされた瞬間に起き上がり、羽を広げ飛ぼうとする、が、当然ながらお父さんに阻止された。お父さんは私の羽を掴み、羽ばたけないようにする。

 くそぅ、離してー! 寝ないんだからベッドにいる必要なんて無いじゃないか!


「寝なさい。いい子だから大人しく寝なさい。いいね?」

「よくない!」

「いいね? 寝なさい」


 ………うーむ、今のお父さんには何を言っても無駄かな? 仕方ない、今は寝たふりでもして、しばらくしてから元気いっぱい動き回るか。

 くりっと丸まる。お父さんが安堵の息をつくのが聞こえる。……しばらくは寝たフリを遂行します。



 ――――………あ!! 寝てたし! 普通に寝ちゃってたよ! しばらくは寝たフリをしておく予定だったのに!!

 それなのに、目が覚めたらご飯の少し前か! お兄ちゃんとお姉ちゃんたちがそばにいたよ。


「おはよう、エーデルフィア。調子はどう?」

「よく寝てたね。もうすぐご飯だけど大丈夫?」

「辛いんなら、無理せずに言ってね?」

「きゅー、へーき……」


 ちょっと寝惚けてるだけだし。しかし、まだ結構調子悪かったんだね、こんなにずっと寝ちゃうなんて。

 目的としては、あのときしばらく寝たフリをして、こそっと起きてお昼過ぎに完全にお昼寝してご飯前に起きるつもりだったのに。


「本当に大丈夫? 無理はしなくていいんだよ?」

「だいじょーぶだよー? まだちょっと眠いだけだから」


 これから動けば目も覚めるから何の問題もないって。だから、動きたくなるネタが欲しいな、お兄ちゃんお姉ちゃん。

 とりあえず、今はお姉ちゃんの頭の上に移動するか。

 そうやって移動したら、何でかな? すぐに下ろされて、抱きしめられた。


「うん、昨日と比べるとそんなに熱くないね。昨日は焦ったよ、本当に」

「えっと、その………ゴメンね?」

「謝らなくていい、エーデルフィアは悪くないからね」


 そうしてたら、お兄ちゃんたちからも手が伸びて、思いっきり撫でられた。気持ちいいからもっと! もっと撫でて!


「うん、そんなに熱くない。もう大丈夫かな?」

「エーデルフィア、今日はいいのを手に入れたからご馳走のはずだよ。今日はしっかり食べて、完治させようね」

「ご馳走!? うん、いっぱい食べる!」


 ご馳走楽しみ! 昨日は食欲なかったからお母さんの血しか飲んでないんだ、今日は食べるー!!

 あ、でもにおい的にはご飯までもうちょっと時間ありそうだよね。それまでどうしようかな。


 うん、まぁいいか。とりあえず今はお姉ちゃんに抱かれたままでいよう、落ち着くからね。


「カーヴ、ティア、サーファ。エーデルフィアは起きた? ……って、起きてるね、調子はどう?」

「おかーさん!」


 うわぁい、お母さんだお母さん。私はお姉ちゃんの腕から抜け出し、お母さんに飛びつく。

 おかーさん抱っこして! かまって! 撫でて!!


「あぁ、よかった。大分熱くなくなったね」

「うん! もう大丈夫だよ、元気だよ!」


 だから、遊んで、かまって! ご飯まで時間があるんだから、それまで遊ぼー!


「きょ、今日のこの子は随分と甘えん坊ね」

「いいんじゃない? 可愛いから」

「私も思う。可愛いは正義」

「確かに」


 あはは、何かよく分からない正義が出来上がってるけどまぁいいのかな? 可愛いは正義って何。

 でも、かまってくれるんならそれでいいや。


「わーい! 遊ぼー何かしよー何かしてー!」

「ふふ、何をする? エーデルフィアは、まだ無理はダメだよ?」

「んっと、えっと……。あ、そうだ! 何か本を読んで」


 私が大泣きしちゃったとき、お兄ちゃんたち言ってたよね? 本を読んでくれるって。だから、読んで!


「エーデルフィアの文字の勉強になるような本は何があったかな……」

「書庫を見に行く? あぁ、でもそうしたらその間にご飯出来るね」


 え? あれ? それだと本読めないって言ってるよね? 約束は? 面白くなぁい!


「ひーまー! 本ー!」

「ちょ、読まないとは言ってないんだから。読むなら明日書庫を見に行ってからにしようね」


 うむぅ、なら今日はどうしようか。ご飯、まだ出来ないかな。ご飯が出来るまでは退屈だよ。

 退屈なときって、何してたかな? こう、大体がお母さんと洞窟を出てどこか行ったり、お兄ちゃんたちとどこか行ったり……、って、どこか行ってばっかりじゃん!

 今日は、多分出れないよね、出してもらえないよね。でも一応……。


「お母さん、退屈だし洞窟の外に……」

「ダメ」


 行きたいな、って最後まで言えなかったよ。言い切る前に反対が飛んできた!


「だって、退屈だよ」

「今無理をしたらまた明日熱くなっちゃうでしょ。今日は洞窟から出たらダーメ」

「そうだよ。あぁ、そうだ。お父さんがご飯作ってるところを見に行こうか。うん、そうしよう?」


 お父さんの料理シーン……。うん、見る!


「目が輝いたね、行こう」


 あ、お母さん来ないでね、怖いから。手を出しそうで怖いから。黒魔術展開されるのいやだから。

 ちなみに、その意見はお兄ちゃんたちも同じようです。


「お母さんは来ないでね、料理に興味持たれると俺たちが危ないから」

「うん。前みたいにエーデルフィアに泣かれたら困るからね」

「お母さんの料理は呪いだ」


 うん、呪いだよね、黒魔術だもん。だから、お母さん除くでお父さんの料理を見に行こー!



「お、どうした? ご飯ならもうすぐだぞ?」

「お父さんがご飯作ってるとこ見に来ただけだよ」

「そうか。あぁ、近寄りすぎるなよ、危ないからな」


 お父さんはそう言いながらも忙しなく動いている。あ、いいにおい。


「エーデルフィア、今日は期待しておけ。カーヴたちがいいのを捕らえてきたからな」

「うん! 聞いた、楽しみ!!」


 すっごいいいにおいもしてるから、楽しみが増えたよ。ふふ、今日は本当にご馳走かな。



 ついで。置いていかれたお母さんにご飯のときに遭遇したら、何か怒ってた。怖かった。


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