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まさかの転生物語  作者:
ちびちびドラゴン
13/53

洞窟を満喫しましょう

 んきゅー、きゅるー。今日はお兄ちゃんたちと一緒にこの洞窟の探検だー。この洞窟は広いから、探検のしがいがありそうだよね。

 でも、私一人で探検をすると、間違いなく迷子になりそうなので、今日は案内役にお兄ちゃんたちがいるのだよ。これで迷子にはならないね!


「さて、まずはどこに行くよ? とりあえず奥から見ていってみる?」

「うん!」


 知らない場所は、見て覚える。というわけで、自分たちの住処くらい覚えておきたいから案内してー。


 というわけで、やって来ました、洞窟の最深奥。初めて純粋に行き止まり見た! ここが行き止まりだ!


「エーデルフィア楽しそうだね。洞窟の一番奥を見ただけでこのテンションって、大丈夫かな?」

「疲れて寝ちゃったらベッドに運んであげればいいんじゃない? ねー、エーデルフィア?」

「うん!」


 疲れたら、多分お姉ちゃんの頭の上ででも寝てると思うから、そのときはベッドに運んでくれると嬉しいかな。

 とりあえず、お兄ちゃんたちの頭の上で寝ることは無いと思う。だって、髪の毛つんつんで気持ちよくないし。

 というわけで、最奥部から少しずつ、入り口や私たちの居住空間のほうまで、のんびり進んで行こー!


「あ、何か置いてあるー! あれ何ー!?」

「ん? あぁ、ここ物置にしてる空間だからね。エーデルフィアが言ったのは、お父さんの料理道具の一つ」

「そして、ほら。これ、エーデルフィアが人態を取れるようになったら着せようと、お母さんが集めてる服たちだよ」


 ん? 私が人態を取れるようになったら? って、お母さん用意早くない? 人態って百近くにならないと取れないんじゃないの? 私まだ十歳なんだけど。

 っていうかさ、これって私よりも、ティアお姉ちゃんのって言われたほうが説得力あるよね。


「これ、正真正銘エーデルフィアのだからね? 私のは別にしまってあるし」

「あ、そなの?」

「お母さん、服とかってかなり早めに用意しておくタイプみたいだからね。お兄ちゃんもそうだったみたいだし、私も、サーファのときもそうだったからね」


 お母さん、結構早いうちに用意して、成長を楽しみに待つタイプ? うーむ、私がこの服を着れるのは何十年後の話だろう。

 ま、いいか。お母さんだって分かってやってるはずだしね。急いで人態を取ろうとせず、のんびり大きくなろう。

 でも、食べるときはいっぱい食べて、そんで動き回って疲れて、いっぱい眠るよ。そのほうが大きくなれるもん。


「さー、物置部屋を見てばっかりじゃ面白くないし、次行こうか」

「サーファの言うとおりだね。行こう、エーデルフィア、お兄ちゃん」

「おぉ、そうだな。行こうね、エーデルフィア」


 おー! 物置で自分がいずれ着るであろう服を見ていたって面白くもなんともない! 次だ次ー!!


 そして次についた場所は、カーヴお兄ちゃんの私室だった。お兄ちゃん曰く、元々の状態から追加して掘って、部屋を広くしているらしい。どおりで広いと思った。

 それにしても、カーヴお兄ちゃんの部屋って、何て言うか、殺風景? お兄ちゃんがドラゴンに戻っても眠れるようなベッド? って言うのか、これ。

 前世で見た某アニメの干草のベッドのようなものがあった。でけー、私が寝たら、どこまでも寝返り打てるよ、これ。

 事実、お姉ちゃんから下りてベッドに飛び移り、ごろごろごろごろどこまで転がっても、ベッドから落ちることはおろか、ベッドの端まで行くことすら出来なかった。


「エーデルフィア、俺のベッド、そんなに楽しい?」

「うん! カーヴお兄ちゃんのベッドおっきいー!」

「まぁ、エーデルフィアからすれば大きいよね。でも、ティアたちのもそんなものじゃないか?」


 た、確かに! でも、お姉ちゃんとか、サーファお兄ちゃんのドラゴンの姿ってあんまり見ないから、ベッドの大きさを想像し辛いって言うか………。

 ちなみに、お兄ちゃんの部屋には、あとはちょっとした箪笥と机が置いてあるだけでした。うん、次行こう?

 っていうか、お兄ちゃんたちの部屋、結構並んでたんだね。お姉ちゃんたちも自力で掘って部屋を広くしてるんだね。


「ほら、私のベッドも大きいでしょ? 飛び込んでいいよー」

「うわぁい!」


 許可が下りたところで、思い切りダーイブ!! ごろごろ、ごろごろごろ。お姉ちゃんのもおっきいー、ごろごろしがいがあるー。

 いくらごろごろ転がっても、やっぱりベッドの端にすらつかないあたりが、ベッドの大きさと私の小ささを物語ってるよね。

 それにしても、私が自分の部屋を手に入れるのはいつの話だろうなぁ。まぁ、まだまだいらないんだけどね。


 そして、しばらくごろごろして落ち着いたところで、冷静にお姉ちゃんの部屋を眺める。お姉ちゃんの部屋は、お兄ちゃんの部屋と比べると、中々華やかだった。

 だって、ベッドのほかに箪笥、机が置いてあるのは変わらないけど、そのほかに花とかいっぱい飾ってあったもん。やっぱり、花の一つだけでも雰囲気がかなり変わるよね。

 って、あれ? 机の上に何か置いてある。何だろ? パタパタと飛んで、机の上に飛び乗る。

 机に飛び乗ると、そこに置いてあった本かな? これは。とりあえず、本の表紙が目に入った。………読めない。


「お姉ちゃん、何て書いてあるの?」

「観察日記」

「観察日記? 何の?」

「ナ・イ・ショ」


 ナイショって、ひどいなー。そう言われたら余計気になるじゃないか。だから、ね?


「おーしーえーてー?」


 んきゅる? とにかく、じっと見つめる。お姉ちゃんたちが折れるまで、とにかくじっと見つめるべし。


「ねぇ、お姉ちゃん?」


 少し首を傾げて問うてみるべし。


「お姉ちゃん、教えて欲しいな?」


 最終手段、少し目を潤ませて、じっと見つめるべし。


「んきゅ、知りたいのに……」

「わわ、ゴメンね! でも、教えられないって言うことは変わらないの、ゴメンね!」

「んきゅぅ………」


 何だ、結局教えてもらえないのか。うーん、私には難しい内容なのかな? それならそう言ってくれれば簡単に諦めるんだけど、何も言わずに断られるとちょっと辛いなぁ。

 あ、やばい。目にどんどん涙が溜まって来た。これは、―――落ちる。


「わーっ! なな、泣かないでエーデルフィア!」

「ティア姉、もう少し優しい言い方すればよかったんだよ!」

「ごご、ゴメン、エーデルフィア!」


 ふえ、謝らないで。泣いたのは私の勝手なんだからさ。泣いたことに関してはお兄ちゃんたちは何も悪くないんだから、謝らないでよぅ。

 考えてたらどんどんと涙が溢れ始めた。ふええぇぇぇええ。


「ゴメン、泣かないで!」

「そ、そうだ。今度本を読んであげようね。それで文字を覚えるといいよ」

「俺も読んであげる! だから泣き止んで!」


 ううう、それでも中々泣き止めないんだよぅ、えぐえぐ。とりあえず、今はお姉ちゃんに抱きついて宥めてもらっている。

 でも、やっぱり中々泣き止めず、お姉ちゃんの部屋を去れずにいる。お兄ちゃんたち曰く、この状態でお姉ちゃんの部屋を出て、仮にお母さんにでも見つかろうものならば何をされるか、何を言われるか分からないから、らしい。


 そして、今日はようやくで泣きやめた頃には完全に疲れ切っていた。うん、もうお姉ちゃんのベッドでそのまま寝てもいいかな? おやすみなさい。

 だってね、だって、もう眠たいんだよ、泣きすぎて。だから、そのまま寝かしてね―――。



 目が覚めたら、自分のベッドに寝かされてた。あの後運ばれたらしいね。全然気がつかなかった。

 それにしても、何だか目元が若干腫れぼったい感じ? 泣いて眠ると目が腫れぼったくなるのは人間もドラゴンも同じなのか。

 それに、完全に泣き止めずに寝たからか、どうも頭がボーってするね。って言うか、熱あるときとかこんな感じだよね。

 ………熱出したかな? でも、ドラゴンって熱出すのか?

 聞きに行くか? でも、頭がボーっとしすぎて起き上がるのも辛いな……。


「エーデルフィア、目が覚めたの?」

「んきゅいー……」


 おぉ、グッドタイミングです、お姉ちゃん。


「あれ? ちょ、大丈夫? ちょっと抱き上げるよ」

「きゅー」


 おぉ、私に触れるお姉ちゃんの手が冷たくて気持ちいいぞ。っていうか、気持ちよすぎるだろ……。


「ちょ! お母さん、エーデルフィア熱い!」

「え!? オースティア、エーデルフィアを!」


 お姉ちゃんがお母さんにそう言うと、私の身柄はお母さんに移る。おぉ、お母さんの手も冷たくて気持ちいいぞ……。


「あ、ああ! 何てこと……。大丈夫? 辛いでしょう?」

「きゅー」


 うん、しゃべる余裕も無いくらいに辛いの、頭がボーってするの。


「可哀想に、今日は一緒に寝ようね。ずっと、看病するから」

「きゅいー、きゅ」


 あ、お母さんと一緒に寝れるのは嬉しいな。というか、今は頭ボーってするから起きていたくないな。寝てもいいかな?

 っていうか、もう寝るね。だって、お母さんの手が冷たくて気持ちいいしさ。



 また目が覚めたら自分のベッドだったよ。ただ一つ違うことは、ベッドの場所が移動してること、いつもみんなが集まる部屋に置いてあるって言うことかな。

 これは嬉しい。だって、目が覚めたらみんな、そばにいるんだ、そばにいてくれるんだ。


「目が覚めたのね、エーデルフィア。ご飯は食べれる?」

「んきゅ、いら、にゃい」


 ご飯は、珍しくというか転生して初めて食べようと思えないんだ。そうしていると、光るものが目に入る。

 ……お母さん、ナイフ持たないでよ、怖いよ。


「ほら、食べられなくても飲みなさい。お母さんの血は栄養があるんだから」

「んきぅ」


 あー、そのための刃物ね。でも確かに、今は何かを食べるよりは飲むほうが楽だよね。それに、飲むものはお母さんの血だ。美味しい美味しい、お母さんの血なんだ。

 そう考えている間に、腕からだらだらと血の流したお母さんは私の眠るベッドに近寄ってきていた。私はお母さんの血を求め、必死で体を起こす。


「ん……きゅ……」


 なのに、鼻先にいいにおいが漂っているのに、体を起こすのが辛い。


「よっぽど辛いのね。ほら、抱えあげるよ」


 お母さんは言うと、血の流れていないほうの手で、必死に起き上がろうと足掻く私を抱き上げ、血の流れる腕の目の前まで運んでくれる。

 やっと、目の前にご馳走が……!


「んっく、こきゅ、んきゅ」


 体は辛くても、目の前にいいにおいが漂っていれば本能的に求めに行くものなのですね。あまり食欲は無かったはずなのに、お母さんの血はすんなりと私の体におさまっていく。

 でも、やっぱり調子は悪いみたいだ。いつもよりもかなり早く、満腹だと感じられた。


「もういいの?」

「きゅ」

「なら、また寝なさいね。一晩ぐっすり寝れば元気になれるから」


 うん、その言葉信用してもいいんだよね? 早く、元気になりたいな。


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