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まさかの転生物語  作者:
ちびちびドラゴン
12/53

ただいまです

「おとーさーん!!」


 会いたかったよぅ、一日会わないだけで寂しかったよぅ。ぴにゅー。


「お帰り、エーデルフィア、エイシェリナ、カーヴァンキス、オースティア、サーファイルス。キースエリナは元気そうだったか?」

「ただいま、フォンシュベル。キースエリナはもちろん、ザッカスもチェイリンも元気そうだったわ」


 あ、チェイリンっていうのはキースエリナさんのお母さんの名前ね。会ったけど、会いはしたけど、恐怖で殆ど覚えてない、ごめんなさい。

 だって、知らないドラゴンだよ!? お父さんやお母さん並みに大きいドラゴンだよ? 怖いに決まってるじゃん。


「きゅー」

「んー? どうしたエーデルフィア。お父さんと会えなくて寂しかったか? そうなら嬉しいな」

「んきぅー」

「お? そうなのか? エーデルフィアは可愛いな」


 だって、お父さんに会えず、この大好きな空間(洞窟)にも戻って来れず、知らないドラゴンたちとの遭遇を果たしたんだよ? 怖かったんだよ?

 ―――おとーさん! 安心できる空間、存在。大好きだよお父さん。


「よしよし、今日はずっとお父さんと一緒にいような」

「うん!」


 お父さんがそう言うってことは、今日はとにかくお父さんと一緒にいてもいいって言うことですね、分かります。

 つまり、今日はずっと一緒にいれるから、疑問に思ってることも聞けるんだよね。――ドラゴンの属性についてとかね。

 大じいちゃんにドラゴンの属性を聞くつもりだったのだが、ついついというか、恐怖のせいか忘れてたんだよね。

 だからお父さん、おーしーえーてー?


「ん? ドラゴンの属性?」


 ドラゴンの属性は、まず六つに分けられる。お父さんやエーデルフィア、オースティアの赤色は、火。お母さんやカーヴァンキス、サーファイルスの青は水だな。

 そして、長老とは会ったんだよな? 長老は真っ白だったろう? 長老の白は、光を表す。


 次は、属性とは何かの説明に行こうか。ドラゴンにとって属性というものは、一番加護の受けられる力、だ。

 だから、カーヴァンキスたちは属性は水でも、炎の魔術を使えるだろう? それは、一番加護の受けられるものが水であって、火を使えないわけじゃないからね。


 そして、ドラゴンはその属性のものに接していると、何だか落ち着けるみたいだね。エーデルフィアは、近くで火を使っていると落ち着かないかい? お父さんは落ち着くよ。

 それに、お母さんは水と接していると落ち着くみたいだね。寧ろ、火は若干苦手らしい。それは、お母さんの料理を見ていれば分かるだろう?


 あ、これはお母さんには絶対に内緒だぞ? 絶対にお母さんに言っちゃダメだからな?

 ―――お母さんが、料理が壊滅的に下手だって。



 うん、言わない。約束する。だって、言ったら絶対お母さんが怖いもん!


「よし、いい子だ」

「うん! 私いい子だよ!」

「うんうん、いい子だな。ほかに聞きたいことはあるか?」

「んと、加護って言うのは結局どういうもの?」

「加護は、魔術を覚えたときに詳しく話してやろう。今のエーデルフィアには難しいからね」


 何ぞそれ。今知りたいのに、今は教えてもらえないのか。まぁ、属性のことを教えてもらえたからいいかな。

 まぁ、とにかく今は聞くこと聞いたし、お父さんに甘えておけばいいかな。すりすり、頬ずり。


「ははは、エーデルフィアは本当に可愛いな。ほら、この間買ってきたお菓子を食べようか?」

「きゅ!? うん、食べるー!」


 お姉ちゃんたちの脅しでいっぱい選ばされたお菓子。美味しいから幸せなんだよね。……昨日はお母さんの血しか飲んで(食べて)ないから余計。


「皿に盛るから少し待ってなさい」


 お父さんはそう言って、買ってきたお菓子を取り出して皿に盛って行く。その途中で、お父さんはお菓子を一つ取って、頭の上の私に手渡してくれる。はぐはぐ。あ、お父さんの髪にお菓子がぽろぽろ落ちて行くや。


「ちょ、食べるなら下りてから食べてくれ」

「きゅー、ごめんなさぁい」


 もらったから、ついつい早く食べたくなったの……。


「ふぅ、お父さんは頭を洗ってくるから、エーデルフィアはここでお菓子を食べながら待ってるんだぞ、いいね?」

「うん、ごめんなさい」

「謝ったからかまわないさ。今度からは気をつけるんだよ」


 お父さんはそう言って頭を洗うためにどんどんと進んでいく。さて、私はお菓子をはぐはぐと食べながらお父さんの戻りを待つことにしよう。

 あ、やっぱりお菓子美味しいわ。この世界のお菓子もかなり美味しくて幸せだわー。

 とりあえず、お父さん早く戻ってこないかな? どうせならお父さんと一緒に食べたいよね、美味しいし。

 お兄ちゃんたちやお母さんは、昨日いなかった分のお詫びとして、お父さんのために大きいのを仕留めに狩りに行っちゃったし。

 ―――お父さん、早く戻ってきてよ、寂しいよぅ。


「きゅる、んきゅぅー」

「お? どうしたエーデルフィア」

「きゅいーっ!!」


 寂しかったよぅ、寂しかったんだよぅ! おとーさん!

 私は髪を拭いながら戻ってきたお父さんに飛びついた。……片手にお菓子を持ったままで。


「お、おお? どうしたんだ」


 食べて。お父さんに目線で訴えながらお菓子を差し出す。一緒に食べて? 一緒に食べよう?


「お父さんにくれるのか、これ?」

「きゅ」


 うん。お父さん一緒に食べよう。一緒にいて、一緒に食べて、いっぱいお話しよ?


「分かった分かった。ほら、エーデルフィア、あーんってするから……」


 ん? これは口に入れてくれってことですか? んしょ、よいしょ。私はお父さんの口元に持っていたお菓子を運び、口に入れる。お父さんはおいしそうに食べてくれたよ。

 そして次は立場逆転らしい。お父さんは片手で私を抱き、余った片手でお菓子を取り、私の口元へと運んでくれた。


「ほら、あーん」

「あー、むっ」


 うん、美味しい。だから、今度は私の番ー。


「おとーさん、はい」


「あら、楽しそうじゃない。エーデルフィア、お母さんにもちょうだい」


 そうやってしばらくしてたら、お母さんたちが帰って来た。お母さんにも求められたから、しっかりとお母さんにもあーんってしたよ。お母さん、喜んで食べてくれた。喜ばれると幸せに感じるからいいな。

 あれ? 今度はお兄ちゃんたちも? いいよ、順番にあーんってしてー。


「うん、美味しい。エーデルフィアもあーんってして、ほら」

「あーん」

「次私ねー。エーデルフィア、ちょうだい」

「うん! あーんってしてー」

「あーんっ。んぐんぐ、美味しいなぁやっぱり。次はエーデルフィアの番。口開けてー」

「あーん、むぐむぐ」

「次! 次俺!」


 こうして結局お菓子の食べさせ合いっこはお父さんと私じゃなくて、お兄ちゃんたちと私になっちゃったよ。楽しいけどね。楽しいからいいんだけどね。

 そうこうしていると、お父さんの用意してくれたお菓子はあっという間になくなってしまった。いっぱい食べたなぁ。


 ちなみに、お父さんはこの間にご飯の準備にかかっていたよ。

 でも、でもね……、いっぱいお菓子食べて、いっぱいお話してってしたからかな? 眠たくなってきたの……。


「眠い……、寝て、いい……?」

「ん? あぁ、俺たちが狩りに行っている間に寝てなかったのか。なら、眠たくなるだろうね」

「なら、寝ちゃえ、寝ちゃおう?」

「よしよし、俺たちがいるから安心してお休み?」

「うん………」


 もう、ベッドまで戻るのも面倒くさいから、そのまま眠るね……。おやすみ、なさぁい。




「……、……ルフィア……? 起きてる? ご飯だよ」

「んみゅ?」

「おはよう、ご飯の用意が出来てるよ。起きて、食べたらまた寝ようね」


 んあー、よく寝た。でも、さっきいっぱいお菓子食べたからそんなにお腹空いてないなぁ。

 でも、食べなくちゃね。だって、お父さんの料理だもん、昨日は食べられなかったご飯だもん!

 ―――だから。


「ふぅ、やっぱりお昼寝の後は自分で飛ぼうとしないんだね」

「だって、落ちたし」

「うん、でも恐怖は頑張って振り払わなくちゃ」

「お姉ちゃんは、私が飛ぶのに失敗して落ちてもいいの?」


 寝起きで、潤んだ瞳で訴えてみる。落ちるのは痛いからイヤだなぁ、痛かったもんなぁ。

 だから、お願い肩に乗せてー。肩に乗せて運んでー。


「ふぅ。ま、まだ十歳だからいいか。まだ小さいもんね」

「うん! おっきくなったらちゃんと自分で動くから、ちっちゃい間はお願い」


 そうして席に着くと、美味しそうな料理が私たちを出迎えた。お父さん、昨日の分も込めて、料理にかなり手を込めたね!?


「さ、食べようか」


 お父さんの言葉に、喜んで齧り付いた。にくー、くさー、ごちそうー!

 あ、いつも以上に肉に味がしみてるよ美味しいよ。これはかなり長時間煮込まなくてはここまで味がしみないのではなかろうか。

 んぐんぐ、はぐはぐ。って、今日は肉と骨を別の料理にしてるのか。骨は骨だけで別の味付けがされてるもん。


「美味しいか?」

「美味しいわ、さすがフォンシュベル」

「んまい」

「ホント美味しいー」

「この味付け、今度教えてくれなー」

「んきゅー!!」


 お父さんが問いかけると、みんなが順番に返事を返す。やっぱり全員の答えは一緒、美味しい、だ。

 だって、美味しいんだよ、これ。あんまりお腹が空いてなくても食べたくなるもん。


 でも、やっぱりお菓子でたまったお腹には、ちょっときつかったかな。


「ん? もういいのか?」

「うん、お腹いっぱいー」

「いつもはもっと………、あぁ! お菓子を食べたからか」


 うん、そのとおり。お菓子がまだたまってるから、ご飯がいつも以上に食べられないの。せっかく美味しいのに。

 でも、無理やり食べたらお腹が痛くなりそうだからやらない。ドラゴンは、お腹が痛くなっても温かくして寝るくらいしか治療法がないから、しばらく苦しまなくちゃだしね。


「さ、もう食べないのなら寝なさい。ぐっすり寝て、大きくなろうな」

「うん。おやすみ、お父さん、お母さん、カーヴお兄ちゃん、ティアお姉ちゃん、サーファお兄ちゃん」

「あぁ、おやすみエーデルフィア。よい夢を」


 さて、私はベッドに戻ってぐっすりと寝るとしよう。今の私は食べてすぐ寝て大きくなるのだから。

 食べた分の栄養をしっかりと成長にまわすためにも、とにかく今は眠らなくては―――。




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